企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化し続ける中、人事部門の担う役割にもより一層の変化が求められ、それに伴い必要な能力やスキル、さらには人事としてのキャリアプランにも少なからず影響が出ているだろう。当事者である人事担当者たちは、現状をどのように捉え、今後は自身を含めた人事部門が担うべき役割をどのように捉えているのだろうか。
HR総研では、毎年実施している「人事の課題とキャリアに関する調査」を今年も実施した。今回のレポートでは、「人事の課題編」としてフリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●今年の課題も「次世代リーダー育成」が最多
●3〜5年後でも「次世代リーダー育成」が変わらず、中小企業では「採用」も重視
●現状では「従業員のモチベーション維持・向上」が最多、コロナ禍の影響を考慮か
●3〜5年後でも「従業員のモチベーション維持・向上」に課題感、最重要課題としては他項目に
●特に大企業で「人事管理を精密に行う(人材管理のエキスパート)」へのシフトを意識
●「戦略人事」の重要性への認識、少なくとも8割前後
●「HRBP」の重要性への認識、大企業では6割以上、中小企業とのギャップが大きく
●戦略人事の推進を意識した能力やスキルを必要とする傾向
●半数以上の企業でコロナ禍以降での人事部門の役割・業務に変化あり

今年の課題も「次世代リーダー育成」が最多

現状における「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での課題については、「次世代リーダー育成」が最多で65%、次いで「新卒採用」が48%、「キャリア採用」が45%などとなっている(図表1-1)。
昨年調査においても「次世代リーダー育成」が最多(56%)となっており、継続して課題意識の高い項目となっている。

【図表1-1】“現状”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での課題(複数回答)
次に「最重要課題」について企業規模別に見ると、こちらも「次世代リーダー育成」が、いずれの企業規模においても最多となっており、従業員数1,001名以上の大企業では22%、301〜1,000名の中堅企業では31%、300名以下の中小企業では26%となっている。2位の項目は企業規模別に異なっており、大企業では「人員構成の是正」(13%)、中堅企業では「マネジメントスキル向上」(22%)、中小企業では「キャリア採用」(22%)となり、企業規模に応じた課題の特徴が浮き彫りとなっていることがうかがえる。中堅企業では他企業規模より顕著に多く3位に挙げられるのが「ミドル人材の活性化」(11%)で、大企業ほどの層の厚さがない中、次世代リーダー候補者でもあり組織の中心となるミドル人材の活性化に、注目している中堅企業も少なくないようである(図表1-2)。

【図表1-2】企業規模別 “現状”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での最重要課題(単一回答、上位抜粋)
さらに、現状における最重要課題の解決に取り組む際、ネックとなる要素を見てみると、大企業では「人事部門のリソース不足」が最多で42%、中堅企業では「経営戦略が不明確であること」が最多で42%、中小企業では人事部門に限らず「社内のリソース不足(人材等)」が最多で38%などとなっている(図表1-3)。

【図表1-3】企業規模別 “現状”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」最重要課題への対策でネックとなる要素

3〜5年後でも「次世代リーダー育成」が変わらず、中小企業では「採用」も重視

3〜5年後における「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での課題についても、現在と同様に「次世代リーダー育成」が最多で50%、次いで「マネジメントスキル向上」が34%、「新卒採用」が33%などとなっており、現在より「マネジメントスキル向上」の順位が「新卒/キャリア採用」より上回っているものの、上位4位までに挙がる項目に変わりはなく、全体的に課題として挙げる割合は、現在のそれより低いことが分かる(図表2-1)。
このような傾向は昨年以前の調査結果でも同様に表れており、現時点で3〜5年後の課題は明確には読めず、解決されていることを期待するものの、結局のところ上位に挙がる課題項目は近年大きな変化は見られておらず、慢性的な課題となっているという状況がうかがえる。

【図表2-1】“3〜5年後”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での課題
3〜5年後における「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での最重要課題についても、すべての企業規模において「次世代リーダー育成」が最多となり、大企業で24%、中堅企業で25%、中小企業で26%と割合も4分の1程度で揃っている。中小企業では、2位と3位に「キャリア採用」(14%)と「新卒採用」(12%)が続いており、今後の採用に関する課題意識が、他企業規模より高くなっていることがうかがえる(図表2-2)。


【図表2-2】企業規模別 “3〜5年後”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」での最重要課題(単一回答、上位抜粋)
そして、3〜5年後における最重要課題の解決に取り組む際、ネックとなる要素を見てみると、大企業と中堅企業では「経営戦略が不明確であること」が最多でそれぞれ42%、39%となっている。中小企業では現在と同様に「社内のリソース不足(人材等)」が最多で41%となり、最重要課題の上位に「新卒/キャリア採用」が挙がることからも、慢性的な課題となっていることがうかがえる(図表2-3)。

【図表2-3】企業規模別 “3〜5年後”の「採用・人材育成・配置・人材ポートフォリオ面」の最重要課題への対策でネックとなる要素

現状では「従業員のモチベーション維持・向上」が最多、コロナ禍の影響を考慮か

次に、「組織・制度・仕組み・システム面」について、現状の課題を見てみる。
全体では、昨年3位(36%)であった「従業員のモチベーション維持・向上」が6ポイント微増し最多となり42%、これに次いで昨年1位であった「評価の定着、評価者スキルの向上」が38%、2位であった「人事制度の改定」が36%などとなっている(図表3-1)。
「従業員のモチベーション維持・向上」は、企業全体の生産性や業績との関わりが強く、ただでさえコロナ禍の影響で業績悪化への懸念を持つ企業が多い現状において、これまで以上に課題意識を強くする企業が多いことがうかがえる。

【図表3-1】“現状”の「組織・制度・仕組み・システム面」での課題
様々な課題の中でも「最重要課題」として挙がるのは、大企業では「人事制度の改定」が最多で22%、中堅企業と中小企業では「従業員のモチベーション維持・向上」が最多でそれぞれ25%、17%となっている。「人事制度の改定」については、昨年調査において大企業と中堅企業で最多となっており、引き続き2割以上を保っている。やはりコロナ禍によって、従業員の働き方の多様化が社会的変化として注目されるなど、企業として人事制度の在り方の見直しを迫られている企業が、少なくないことがうかがえる(図表3-2)。

【図表3-2】企業規模別 “現状”の「組織・制度・仕組み・システム面」での最重要課題
このような「組織・制度・仕組み・システム面」に関する現在の最重要課題に取り組む際、ネックとなる要素としては、大企業では「課題に対するノウハウ・知識の不足」が最多で33%、中堅企業では「従業員の理解・協力体制の欠如」が最多で36%、中小企業では「社内リソース不足(人材等)」が最多で32%などとなっている(図表3-3)。

【図表3-3】企業規模別 “現状”の「組織・制度・仕組み・システム面」の最重要課題への対策でネックとなる要素

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に 「人材育成マニュアル」をプレゼント!

HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人事の課題とキャリアに関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年7月26日〜8月1日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:166件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HR総研へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL) と引用項目(図表No)
  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。