事業承継の見込み時期は「10年以上先」が最多
2025年には“国民の5人に1人が後期高齢者”という超高齢化社会を迎えるとの予測から、雇用や医療・福祉などでさまざまな課題が生じると言われている「2025年問題」。企業の事業承継においても、経営者が70歳以上である企業は増加しており、後継者不在による廃業・倒産の危機に直面する企業も多いと考えられる。そうしたなか、「事業承継をしたい」と考えている経営者は、事業承継に対してどのように考え、どのように準備を進めているのだろうか。はじめにYKプランニングが、「事業承継をしようとしている時期」について尋ねると、「10年以上先」が38.4%で最多となり、次いで「5年以上~10年未満」が21.3%となった。以下、「3年以上~5年未満」(18.3%)、「1年以上~3年未満」(16.4%)、「1年未満」(5.6%)となっている。
また、「事業承継の候補者は決まっているか?」と尋ねた結果、「はい」は39.1%と4割に届かなかった。
“親族内承継”が主流も、後継者は多様化している傾向
次に、前問で「事業承継の後継者が決まっている」とした人に、「誰に事業承継をする予定か?」と尋ねたところ、「親族」が58.3%で最も多く、以下は「役員・従業員」が32.0%、「社外の第三者(M&Aなど)」が9.1%となった。約6割が「親族」と回答しており、事業承継の候補者として親族を選ぶ方が多いことが明らかになったことから、同社は「親族内承継が依然として主流ではあるものの、社外の第三者など事業承継が多様化しつつあることがうかがえる」との見解を示している。また、「事業承継は問題なくできると思うか?」と質問したところ、「問題なくできる」(15.7%)、「おそらくできると思う」(48.4%)、「おそらくできないと思う(27.4%)」、「できないと思う(8.5%)」との回答結果になった。「問題なくできる」および「おそらくできると思う」の合計が64.1%と、約6割の人が「事業承継は何とかなる」との見通しを持っていることが明らかになった。
事業承継に向けた準備が進んでいない企業も
続いて、「事業承継に向けてどのような準備を行っているか?」と尋ねたところ、「会社の経営状況・経営課題等の把握」が最多の33.7%、以下は「まだ準備できていない」が29%、「事業承継に向けた経営改善が23.9%、「後継者の選定と育成が23.9%となった。多くの企業が経営状況や課題の把握、事業承継に向けた経営改善、後継者の育成などに取り組んでおり、現状の理解を行っている一方、準備が進んでいない企業も一定数あることがうかがえる結果となっている。そこで、「事業承継に向けて準備を行っている」と回答した人に、「事業承継の準備で最も重要だと思うこと」について尋ねたところ、「会社の経営状況・経営課題等の把握」(27.1%)が最も多く、以下は「後継者の選定と育成」(18.7%)、「事業承継に向けた経営改善」(13.6%)と続いた。事業の継続を支える基盤である経営状況や課題の把握が、事業承継の準備で最も重要な要素と考えているようだ。
事業承継に向けた「経営計画の作成」は“必要派”が8割以上
次に、「事業承継を円滑に進めるために経営計画の作成は必要だと思うか?」と尋ねると、82.9%が「はい」と回答した。8割以上と大多数が、「円滑に事業承継を進めるためには経営計画の作成が欠かせない」と認識しているようだ。すでに経営計画を作成している経営者が7割に迫る
最後に同社が、「すでに経営計画を作成しているか?」と尋ねたところ、66.8%と7割に迫る人が「いいえ」と回答した。前問の結果を踏まえると、多くの経営者が「事業承継に向けて経営計画の作成が必要」と考えているものの、現状では経営計画の作成に至っていないことが明らかになった。そこで、前問で「いいえ」と回答した人に、「経営計画を作成していない理由」を尋ねた。すると、「作成する時間やリソースが不足しているから」が最多の33.1%、次いで「どのように経営計画書を作成すればよいのかわからないから」が29%となった。