コロナ禍により大きく揺れた2021年新卒採用だが、2022年新卒採用でもこれまでどおりに戻ることはなく、企業にはニューノーマルな新卒採用として望ましい在り方が問われている。2021年新卒採用の振り返りによりWithコロナ時代の新卒採用を検証することで、2022年新卒採用を成功させるヒントを導き出せるのではないだろうか。
そこでHR総研では、2020年10月末に実施した2021年&2022年新卒採用動向調査の結果として、企業の新卒採用の実態についてフリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●2021年新卒採用を継続する企業は4割、大企業の3割は11月以降も継続
●2021年新卒採用で重視した施策、「オンラインでの面接、自社セミナー等」が最多
●2021年新卒採用、中小企業で7割が「個別採用」を実施、大企業でも6割近く
●2021年新卒採用の面接形式、8割がオンラインを活用。大企業では9割
●2022年新卒採用計画数、4割が「前年並み」。大企業「減らす/採用なし」が3割
●2022年新卒採用で「個別採用」への取組みがさらに拡大
●2022年卒向けインターンシップの開催ピークは「1月」、「前年8月」は大幅減
●8〜9月のインターンシップ、「オンラインでの1day仕事体験」への偏りが顕著
●1〜2月は8〜9月より「オンライン活用で実施」が増加、「対面のみ」は2割
●大企業の6割が「インターンシップと採用選考を結び付ける」
●2022年新卒採用の選考面接の開始予定月は「3月」がピーク、年内開始が3割近く
●内々定出しの開始予定月、大企業は「1月」がピーク、「昨年より早まる」は2割
●2022年新卒採用での通年採用、「実施する」は3割

2021年新卒採用を継続する企業は4割、大企業の3割は11月以降も継続

まず2021年新卒採用活動の進捗を見てみると、全体では「終了した」が61%、「継続している」が39%となっている。
企業規模別に見ると、「継続している」とする企業の割合は、従業員規模1001名以上の大企業では28%、301〜1000名の中堅企業では35%、300名以下の中小企業では46%と半数近くとなっており、企業規模が小さいほど「継続している」企業の割合が高い傾向となっている(図表1-1)。大企業でも3割近くが11月以降も継続している。

2021年新卒採用活動を「終了した」とする企業において、終了した時期については、大企業では「2020年6月」が最も多く30%、中堅企業では9月が最多で27%、中小企業では8月が最多で29%となっており、終了時期が8月以降になった企業の割合は大企業で4割、中堅・中小企業で半数前後にも及んでいる。昨年6月における調査結果でも、コロナ禍での新卒採用活動では採用スケジュールに大幅な遅れが出ている企業が多く出ており、最終的な活動の終了時期の遅延にもつながったことが推測される(図表1-2)。

【図表1-1】2021年新卒採用活動の状況
【図表1-2】2021年新卒採用活動を終了した時期

2021年新卒採用で重視した施策、「オンラインでの面接、自社セミナー等」が最多

次に2021年新卒採用活動で重視した施策については、「オンラインでの面接」が最多で46%、次いで「オンラインでの自社セミナー・説明会」が44%、「就職ナビ」が37%などとなっており、上位2項目をコロナ禍でのオンライン採用への対応に関する項目で占めることとなった。昨年3月までは1位に挙がっていた「インターンシップ」は5位(25%)に後退し、3月以降のコロナ禍により、ニューノーマルな採用活動に対応するため施策の優先順位に変化が起きたことがうかがえる(図表2)。

【図表2】2021年新卒採用で重視した施策

2021年新卒採用、中小企業で7割が「個別採用」を実施、大企業でも6割近く

就職ナビなどを活用してできるだけ多くの母集団形成を行う「マス型採用」と1対1のコミュニケーションでより確度の高い採用を行う「個別採用型」の導入状況については、全体では「マス型採用に注力した」と「個別採用に注力した」がともに33%で同比率となっている。これを企業規模別に見ると、大企業では「マス型採用に注力した」が43%、「個別採用に注力した」が46%となり、どちらも中堅・中小企業より高い割合となっていることが分かる。したがって、大企業では、「マス型採用」か「個別採用」かのどちらかに振り切って実施している企業が多いことがうかがえる。一方、「マス型採用に注力した」の割合を中堅・中小企業で見てみると、中堅企業では3%、中小企業では30%となっており、大企業より10ポイント以上少なく、企業規模が小さいほど「マス型採用に注力した」割合は少ない傾向にある(図表3)。
また、「個別採用に取り組んだ」(「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」、「個別採用を主軸にマス型採用にも取り組んだ」、「個別採用に注力した」の合計)も企業規模が小さいほど割合が多く、中小企業では70%が「個別採用」に取り組んでいることが分かる。大企業でも57%と6割近くが取り組んでおり、これまでの主流であった「マス型採用」だけでなく、「個別採用」への取組みの必要性が広く認知されつつあることがうかがえる。

【図表3】2021年新卒採用での「マス型採用」と「個別採用」の比率

2021年新卒採用の面接形式、8割がオンラインを活用。大企業では9割

続いて、前述のとおり、重視した施策として「オンラインでの面接への対応」が最も多く挙がっていたが、実際の「採用面接の形式」の傾向について見てみると、全体では「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」が最も多く39%と4割を占め、次いで「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が28%となっている(図表4)。
「対面のみで実施」は21%で、少なくとも一部はオンライン形式で実施した企業の割合は79%と8割にも及び、コロナ禍において急速にオンラインでの面接が普及したことがうかがえる。
企業規模別に見ると、「対面のみで実施」は大企業と中堅企業で1割程度にとどまる一方、中小企業では3割であり、このことから中小企業でのオンライン化への対応の遅れとともに、小規模の採用活動であることから、オンライン化の必要性をあまり感じていないことがうかがえる。
しかし、就職活動をする学生にとっての安心感や企業への印象を考慮すると、オンライン化に対応できる体制を整えることは、ニューノーマルな採用活動において必須となってくるのではないだろうか。

【図表4】採用面接の実施形式(対面orオンライン)

2022年新卒採用計画数、4割が「前年並み」。大企業「減らす/採用なし」が3割

ここからは、2022年新卒採用の動向について考察する。
2022年新卒採用計画数を2021年4月入社予定の大卒者の数を比較すると、「前年並み」が43%で、次いで「未定」が24%、「採用なし」が16%などとなっている(図表5-1)。
いずれの企業規模を見ても、「増やす」は1割未満であり、「前年並み」以下、もしくは「採用なし」、「未定」とする企業が9割以上を占め、中小企業では「採用なし」が19%で2割近くとなっている。

「新卒採用予算の前年比較」については、「ほぼ変わらない」が圧倒的に多く61%、次いで「やや減る見込み」が22%、「かなり減る見込み」が10%などとなっており、「減る見込み」(「やや減る見込み」と「かなり減る見込み」の合計)は32%と3割以上を占める。一方、「増える見込み」(「やや増える見込み」と「かなり増える見込み」の合計)は7%と1割未満で、採用計画数と同様に予算も縮小する傾向が強いことがうかがえる。これはいずれの企業規模においても同様の傾向となっており、この背景には、やはりコロナ禍による急激な景況悪化があることは否めないだろう。

【図表5-1】新卒採用数の前年比較
【図表5-2】新卒採用予算の前年比較

2022年新卒採用で「個別採用」への取組みがさらに拡大

前年並み以下の予算内で2022年新卒採用を実施しなくてはならない企業が多い中、より効果的な採用手法に移行する企業が増加している。
「マス型採用」と「個別採用」の実施比率を見ると、HR総研で昨年3月に実施した「2020年&2021年新卒採用動向調査」(以下、昨年3月調査結果)の2021年卒実績では「マス型採用に注力する」が33%であったのに対し、2022年卒予定では17%に減少し、8割以上の企業が「個別採用」に取り組む予定としている(図表6-1)。Withコロナ時代において、リアルでの合同企業説明会などにより母集団形成に取り組む「マス型採用」からターゲット層の学生一人ひとりに向き合う「個別採用」に移行する企業が増加する傾向にある。

しかし、個別採用である「ダイレクトリクルーティング」を昨年10月末の時点で「実施している」企業の割合は22%であり、11月以降で実施していく企業が増えていることが推測される(図表6-2)。

また、実施しているダイレクトリクルーティングの内容は、「逆求人サイトの活用」が最も多く79%、次いで「社員からの紹介」(リファラル採用)が36%、「SNSの活用」と「内定者からの紹介」(リファラル採用)がともに15%などとなっている(図表6-3)。

【図表6-1】「マス型採用」と「個別採用」の取組み状況
【図表6-2】2022年新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの実施状況
【図表6-3】実施しているダイレクトリクルーティングの内容

2022年卒向けインターンシップの開催ピークは「1月」、「前年8月」は大幅減

続いてインターンシップの実施について見てみる。
まず、「2022年新卒採用向けのインターンシップの実施状況(昨年10月末時点)」については、全体では「実施する」が48%で最多で、「実施しない」は29%、「未定・検討中」が24%となっている。採用計画を「減らす」あるいは「未定」とする企業が多く、10月末の時点で実施を決めきれない割合が2割以上あり、昨年までより動きの遅さがうかがえる(図表7-1)。

企業規模別に見ると大きな差異はないものの、例年同様に中小企業の「実施する」が43%と、大企業・中堅企業より低い傾向にあり、10ポイント前後の差異が見られる(図表7-2)。
次に「インターンシップの実施月」については、2021年卒では「前年8月」(54%)と「2月」(61%)で2つのピークがあった一方、2022年卒では「前年8月」の実施率は37%と2021年卒より17ポイント低く大きなピークとはならず、9月以降も徐々に実施率が上昇し「1月」で61%とピークが訪れることが予測される。やはり、コロナ禍による2021年新卒採用活動のスケジュール遅延を余儀なくされる企業が多かったことで、2022年卒向けインターンシップの開催スケジュールにも少なからず影響したものと推測される。
 
【図表7-1】2022年卒採用向けのインターンシップの実施状況
【図表7-2】インターンシップの実施月

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:HR総研:2021年&2022年新卒採用動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年10月21日〜27日
調査方法:WEBアンケート(SurveyHR)
調査対象:企業の人事責任者、新卒採用担当者
有効回答:174件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
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