例年、3月から企業の採用活動の本格化に伴い、学生の就職活動も活発になる時期である。
ただ、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大による大きな影響を受け、企業が採用活動の予定を変更することで、先の読めない就職活動に対する学生の不安はおおいに高まっている。
このような異常事態の中ではあるが、「就職活動に取り組む学生の動向」と「就職活動への意識」について、HR総研は調査を行った。
今回は、「2021年卒学生の就職活動動向調査」【就職意識編】の結果を報告する。

<概要>
●依然として大手志向の学生が6割以上
●「仕事の魅力」に関して重視する項目は「仕事が面白そう」で4割
●「会社の魅力」に関して重視することは「安定感を持ちつつも成長し続けていること」
●「社会的責任の魅力」に関して重視する項目は「事業自体が社会貢献」で4割
●最も重視する企業の魅力は「仕事の魅力」で半数近く
●就職活動でアピールしたい自分の能力は「チームで働く力」が最多、理系では「論理的思考力」「専門知識」も
●働き方改革の取り組み状況が「気になる派」は9割近く
●「新卒一括採用方式」と「通年採用方式」の支持率はともに3割
●ジョブ型採用(職種別採用)の拡大への「賛成派」は半数以上
●「新入社員時からスキル・能力に応じた特別処遇の提示」に理系で6割が賛成

依然として大手志向の学生が6割以上

就職活動を行う学生に対して「就職を希望する企業規模」を聞いたところ、文系・理系ともに「できれば大手企業(※)」が最も多く、文系47%、理系54%と半数前後を占めている。また、「絶対大手企業」については文系で14%、理系で16%となっており、これらを合計した「大手志向」の学生の割合は、文系で61%と6割を超え、理系では70%にも達しており、依然として大手志向の学生が多くを占めていることが分かる(図表1)。
一方で、「企業規模は問わない」とする割合は文系で24%、理系で15%となっており、文系の方が企業規模へのこだわりがない学生が多いことがうかがえる。

※大手企業=1,000人以上、中堅企業=300~1,000人未満、中小企業=300人未満と定義して質問

【図表1】文理別 就職を希望する企業規模

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

「仕事の魅力」に関して重視する項目は「仕事が面白そう」で4割

学生が就職を志望する企業として重視する項目を「仕事」「会社」「社会的責任」「雇用」「採用活動」のカテゴリーに分けて聞いてみた。
まず、「仕事の魅力」については、文系・理系ともに「仕事が面白そう」を最も重視する学生の割合が高くなっており、文系で46%、理系で37%となっている。やはり、まずは「面白そう」と関心を持つ仕事に就きたいと思うのは当然であろう。これに次いで文系では「スキルが身につく」が20%、「希望する職種につける」が19%と同程度の割合で並んでいる。理系では、「希望する職種につける」が29%と3割であり、続いて「スキルが身につく」が22%などとなっている。理系学生は、大学で専門的な知識やスキルを習得してきているため、これらを生かせるような職種を希望する学生が多いと予測され、文系より「希望する職種につける」ことへのこだわりが強い傾向があるのだろう(図表2)。

【図表2】文理別 「仕事の魅力」に関して重視する項目

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

「会社の魅力」に関して重視することは「安定感を持ちつつも成長し続けていること」

次に、「会社の魅力」については、文系・理系ともに「安定している」がトップとなり文系で42%、理系で31%となっている。社会の変動が激しい世の中であるからこそ、就職する会社に対して、何よりも安定感を求める学生が多いのだろうか。これに次いで多いのは、文系では「成長性が高い」が27%、「経営者・ビジョンに共感」が21%となり、理系では「技術力がある」が29%、「成長性が高い」が23%となっており、文系と理系で「会社の魅力」として優先される項目が異なることがうかがえる。ただし、文系・理系いずれにおいても「安定感」と「成長性」は3位までに挙がっていることから、企業に対して「安定感を持ちつつも成長し続けていること」が学生から求められていることが分かる(図表3)。

【図表3】文理別 「会社の魅力」に関して重視する項目

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

「社会的責任の魅力」に関して重視する項目は「事業自体が社会貢献」で4割

「社会的責任の魅力」として重視される項目については、文系・理系ともに「事業自体が社会貢献」が最も多く、文系40%、理系でも41%となっている。世界全体でSDGsへの取組みが進む中で、企業としてもSDGsへの取組みを対外的にPRする場面が増え、学生も、自身が就職する企業による事業としての社会貢献について、意識する機会が増加しているのではないだろうか(図表4)。
また、「事業自体が社会貢献」に次いで多い「女性活用の姿勢が強い」については、文系の方が理系より3ポイント高く24%となっているが、この要因として、理系より文系の方が女子の回答者比率が高いことがあると推測される。

【図表4】文理別 「社会的責任の魅力」に関して重視する項目

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

「雇用の魅力」に関して重視する項目は、理系で「社風・居心地が良い」が最多

続いて「雇用の魅力」については、文系と理系で傾向が異なっており、文系では「福利厚生がしっかりしている」が最多で38%となっており、次いで「社風・居心地が良い」が37%となっている。理系では「社風・居心地が良い」が最多で35%、次いで「福利厚生がしっかりしている」が29%などとなっている。文系より理系学生の方が「社風・居心地が良い」を重視する要因としては、職種の特徴としてチームで製品開発をするなど、同僚とのチームワークの良さが必要となる業務を想定されてのことではないだろうか(図表5)。

【図表5】文理別 「雇用の魅力」に関して重視する項目

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

「採用活動の魅力」に関して重視する項目は「一般社員と接して好感が持てた」で最多

そして「採用活動の魅力」としては、文系・理系ともに「一般社員と接して好感が持てた」が最も多く、文系では35%、理系では45%にも及んでおり、次いで、「採用担当者と接して好感が持てた」が文系で33%、理系で25%などとなっている。これらより、学生は、採用担当者より実際に一緒に仕事をすることになるであろう「一般社員への好感」を重視しており、企業は、採用担当者だけでなく一般社員に対して学生との接し方について研修等を実施することで、学生に対する企業全体のイメージアップに繋がることがうかがえる(図表6)。

【図表6】文理別 「採用活動の魅力」に関して重視する項目

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

最も重視する企業の魅力は「仕事の魅力」で半数近く

ここまで、各カテゴリーの魅力について重視する項目を聞いてきたが、これらをまとめて、「最も重視する企業の魅力」について聞いてみた。
すると、文系・理系ともに「仕事の魅力」がトップで、文系42%、理系48%といずれも4割以上となっている。これに次いで「会社の魅力」が文系34%、理系29%と3割前後となり、「仕事の魅力」と「会社の魅力」で8割近くを占めていることが分かる(図表7)。
前述のとおり、「仕事の魅力」としては「仕事が面白いこと」が特に重要であり、「会社の魅力」としては「安定して成長性が見込めること」が特に重要で、理系学生においては「技術力」も重視されているという結果が出ている。したがって、今後の採用活動で学生に自社をアピールする際には、これらのことを特に意識してアピールすることで、学生の心を掴みやすくなるのではないだろうか。

【図表7】文理別 最も重視する企業の魅力

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

就職活動でアピールしたい自分の能力は文系では「チームで働く力」が最多、理系では「論理的思考力」「専門知識」も

「就職活動で企業に対してアピールしたい自分の能力」については、文系では「チームで働く力」が55%で最多となり、次いで「適応力」が文系で46%となっている。理系では「適応力」が49%で最も多く、次いで「チームで働く力」48%、その他、「論理的思考力」が文系より突出し42%、「専門知識」が28%である。インターンシップから採用選考に繋げたい学生の心理としては、ある程度の実施期間があるインターンシップに参加し、これらの能力をアピールしたいという意図も感じられる(図表8)。

【図表8】文理別 就職活動でアピールしたい自分の能力

HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査 結果報告【就職意識編】

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:HR総研×楽天みん就:2021年卒学生の就職活動動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、楽天みん就(楽天株式会社)
調査期間:2020年3月8日~3月23日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 2021年卒業予定の「楽天みん就」会員学生
有効回答:777件

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Eメール:souken@hrpro.co.jp

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詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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