HR総研:2020年&2021年新卒採用動向調査 結果報告大企業の「内定出し開始時期」は昨年より後ろ倒し、ジョブ型採用の導入は4分の1

今回は、「2020年&2021年新卒採用動向調査」の結果を報告する。
経団連ルールの廃止や東京オリンピック&パラリンピックの開催、それに加えてコロナウィルス感染拡大など、例年とは全く異なり社会情勢の混乱が続く中、2021年新卒採用活動が本格化している。
本調査では、「2020年4月入社の内定充足率」、「2021年新卒採用計画」、「インターンシップの開催状況」、「より重要となる施策」、「新たな採用手法の導入意向」などについて調査した。各企業の最新動向についてフリーコメントを含めて以下に紹介する。

<概要>
●入社式開催「予定どおり」が7割弱、大企業では半数以上が変更予定
●2021年4月入社の新卒採用人数は「前年並み」が半数、昨年よりシビアな採用計画か
●インターンシップ実施は6割以上、企業規模による温度差も
●中堅・中小企業の3割以上でインターンシップ参加者数が増加
●7割近くの企業がインターンシップ参加者を採用選考に結び付ける意向
●3月までに面接を開始した大企業は半数、昨年より2割減少
●2021年新卒採用の内定出し、大企業の開始時期は昨年より後ろ倒し
●新卒採用における課題は「ターゲット層の応募者確保」が半数、「大学との関係強化」も
●2021年新卒採用でより重要になると思われる施策は「インターンシップ」が4割弱
●学内企業セミナーを重要視する企業が半数、合同企業セミナーは1割未満
●2021年卒採用で能力差を考慮した特別処遇を「導入しない」が8割
●2021年卒採用でジョブ型採用を「導入する」が4分の1、昨年より増加傾向
●大企業の8割が「今後、通年採用の導入意向」

中堅・中小企業の3割で2020年4月入社の内定者充足率は「80%未満」

まずは、「2020年4月入社の採用計画に対する内定者充足率」について聞いてみた。
2020年卒採用活動を行った企業では「100%以上」が42%で最も多く、次いで「90〜100%未満」が21%、「80〜90%未満」が11%などとなっており、「80%以上」(「80〜90%未満」〜「100%以上」の合計、以下同じ)を充足している企業の割合は74%となっている。一方、「80%未満」(「0%」〜「70〜80%未満」の合計、以下同じ)で4月を迎える企業の割合は26%である(図表1-1)。
これを企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「80%以上」とする企業の割合は83%、従業員数301〜1,000名の中堅企業では70%、従業員数300名以下の中小企業では71%となっており、大企業における内定者充足率が中堅・中小企業より10ポイント以上高くなっていることが分かる(図表1-2)。

【図表1-1】2020年4月入社内定者充足率
【図表1-2】企業規模別 2020年4月入社内定者充足率

入社式開催「予定どおり」が7割弱、大企業では半数以上が変更予定

「入社式の開催」については、本調査時においては「予定通り開催する」が66%で圧倒的に多い状況にある。そのほかは、「少人数ごとに分割等、規模を縮小する」が9%と続いており、「中止」や「延期」という日程自体の変更をする企業は、本調査時点では、ほとんどないことが分かる(図表2-1)。
ただし、企業規模が大きい企業ほど「予定通り開催」の割合は低下する傾向が見られ、大企業では「予定通り開催する」は45%にとどまり、「規模の縮小」(13%)や「社長挨拶等をWEB視聴」(13%)に続き、「延期」が10%となっている(図表2-2)。

【図表2-1】入社式の開催について変更
【その他の内容】(一部抜粋)
「その他」の内容従業員規模業種
もともと実施の予定はない1,001名以上メーカー
状況次第で延期を想定していますが、まだ確定しておりません1,001名以上商社・流通
入社式は開催、懇親会は中止1,001名以上商社・流通
特に入社式はせず、辞令交付を個別に行う1,001名以上サービス
中止や開催規模の縮小を直前まで検討中301〜1,000名メーカー
未決定 3/19の政府方針発表後に決定301〜1,000名商社・流通
親会社の判断待ち300名以下情報・通信
【図表2-2】企業規模別 入社式の開催について変更

2021年4月入社の新卒採用人数は「前年並み」が半数、昨年よりシビアな採用計画か

続いて、2021年大卒採用活動の最新動向について見ていく。
2021年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数を2020年入社予定者数と比較すると、「前年並み」が52%で最多で、次いで「未定」が14%、「増やす」が13%となっており、「増やす」が「減らす」を2ポイント上回っている。ただし、昨年調査では13ポイントの差を付けて「増やす」企業が多い結果となっており、昨年よりさらにシビアな採用計画となっていることがうかがえる(図表3-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「増やす」と「減らす」がともに19%であるものの、昨年調査ではなかった「採用なし」が5%となっている。また、中小企業では「増やす」とする企業の割合はわずか7%で、昨年より11ポイントも低下する一方、「採用なし」が15%と昨年より4ポイント上昇しており、特に中小企業における新卒採用への需要が減少していることがうかがえる(図表3-2)。
昨年から、新卒採用の需給バランスに転換の兆しが見えていたが、今年は東京オリンピック・パラリンピック特需の終了(注)のみでなく、新型コロナウィルス感染拡大の影響も上乗せされ、急激な世界経済の悪化が不可避となる中、日本企業の採用活動はさらに縮小する可能性も推測される。

 (注) 調査時点は、オリンピックの延期決定の発表前

【図表3-1】2020年4月入社予定の大卒者に対する増減
【図表3-2】企業規模別 2020年4月入社予定の大卒者に対する増減

インターンシップ実施は6割以上、企業規模による温度差も

インターンシップの実施状況については、「前年同様に実施」が52%、「前年同様に実施していない」が33%などとなっており、2021年卒を対象としたインターンシップを実施する企業の割合は62%となっている(図表4-1)。
企業規模別に見ると、大企業と中堅企業では7〜8割がインターンシップを実施している一方、中小企業では未だ45%と半数未満にとどまっており、企業規模によりインターンシップへの温度差があることがうかがえる(図表4-2)。

【図表4-1】2021年卒を対象としたインターンシップの実施状況
【図表4-2】企業規模別 2021年卒を対象としたインターンシップの実施状況

中堅・中小企業の3割以上でインターンシップ参加者数が増加

インターンシップを実施した企業における「参加者数の対前年比」については、「前年並み」が57%であり、「前年より多い(2倍未満)」が22%、「前年より多い(2倍以上)が9%などとなっている(図表5-1)。これらより、前年より参加者数が増加した企業の割合は3割以上で、学生のインターンシップへの参加がより活発化していることがうかがえる。
しかし、この傾向は企業規模により異なっており、大企業では「前年より少ない」が16%に対して「前年より多い」が20%で、その差はわずか4ポイントであるが、中堅企業では「前年より少ない」(12%)に23ポイントの差を付けて「前年より多い」(35%)とする企業の割合が高くなっている。中小企業ではさらにこの差が大きくなっており、中堅・中小企業への学生の関心が高まっていることが推測される(図表5-2)。

【図表5-1】前年のインターンシップとの参加者数の増減
【図表5-2】企業規模別 前年のインターンシップとの参加者数の増減

7割近くの企業がインターンシップ参加者を採用選考に結び付ける意向

インターンシップ参加者に対する採用選考への考慮については、「選考と結びつける」が39%で最も多く、次いで「優秀な学生においては考慮する」が28%となっており、これらを合計すると、67%の企業が何らかの形で採用選考に結びつけている状況にあることが分かる(図表6)。
今年から経団連ルールが廃止される中、今後はさらに、インターンシップ等のイベントを活用して、早期に優秀人材の発掘と獲得を試みる企業が増加する可能性もある。

【図表6】インターンシップ参加者に対する採用選考への考慮

エントリーシートの提出締切月、4月までに終了する企業が4割以上

次は「エントリーシートの提出締切月」の傾向を見てみると、「2020年3月」までに提出を締め切っている企業は26%となっている(図表7-1)。企業規模別に見ると、大企業と中小企業では3月までに締め切る企業は3割前後で、中堅企業は2割となっており、中堅企業がやや遅れて4月に締め切る企業が28%と一気に増加する(図表7-2)。

【図表7-1】エントリーシートの提出締切月
【図表7-2】企業規模別 エントリーシートの提出締切月

3月までに面接を開始した大企業は半数、昨年より2割減少

選考面接を開始した(する予定の)月については、「2020年2月」までに開始している企業が29%と3割を占めており、3月に入ると一気に25%増加しており、これらを合計すると「2020年3月」までに開始する企業の割合は54%と半数以上に上る(図表8-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「2019年10月以前」に開始している割合が13%で、「2020年3月」までには半数を超えている。一方、中小企業では「2020年3月」に開始する企業が一気に32%に増加し、「2020年7月以降」に開始するという企業が21%もあるなど、企業規模により選考スケジュールの違いが顕著となっている(図表8-2)。
昨年の傾向と比較すると、3月までに面接を開始する大企業の割合は7割であったのに対し、今年は半数と2割も減少している。この変化の主な要因としては、昨年は5月の大型連休が10連休となることを受け、採用活動を例年より前倒しする企業が多かったことと、今年は新型コロナウィルスの影響もあり、対面型のセミナー・説明会を中止するなど、選考スケジュールを後ろ倒しせざるを得ない企業が多いことが推測される。

【図表8-1】2021年新卒採用の選考面接を開始した(する予定の)月
【図表8-2】企業規模別 2021年新卒採用の選考面接を開始した(する予定の)月

新型コロナウィルス感染拡大により、3割が面接方法を変更

採用スケジュールに少なからず影響を与えている新型コロナウィルスの感染拡大であるが、面接方法も変更している企業は31%となっている(図表9-1)。
変更の内容としては、「来社を伴わない面接(WEB等の活用)」が61%で最多であり、それに続き「会場入口に除菌スプレーの設置」(47%)、「マスク着用を推奨」(43%)、「会場内の衛生管理の徹底」(35%)など、対面での面接を前提とした衛生対策の項目が挙がっている(図表9-2)。

【図表9-1】新型コロナウィルス感染拡大を受けた、面接方法の変更の有無
【図表9-2】新型コロナウィルス感染拡大を受けた、面接方法の変更内容

2021年新卒採用の内定出し、大企業の開始時期は昨年より後ろ倒し

内定出しの開始時期については、「2020年4月」が24%で最も多く、昨年とも同じ結果となっている。それに次いで、「2020年3月」と「2020年5月」がともに17%となっており、こちらも昨年とほぼ同じ結果となっている(図表10-1)。
企業規模別に見ると、大企業では「2020年4月」が20%で最多であるが、昨年より4ポイント低下しており、一方、「2020年5月」(20%)は昨年より12ポイント上昇し、「2020年3月」(13%)は6ポイント低下している。「2020年2月」以前に開始する割合も昨年より低下していることから、「2020年4月」までに内定出しを開始する大企業の割合は55%となり、早期化が予想された2021年卒採用であるが、結果的には昨年(65%)より後ろ倒しの傾向となっている(図表10-2)。
一方、中堅企業での「2020年4月」までに内定出しを開始する割合は58%(昨年55%)で、中小企業では49%(同51%)となっており、大企業より内定出しの後ろ倒しの傾向は小さいことが分かる。したがって、この傾向の背景には、昨年の10連休を考慮した採用スケジュール前倒しが異例だったこともあるが、新型コロナウィルス感染拡大による内定出し開始時期への影響は、大企業がより強く受けていることがうかがえる。

【図表10-1】2021年新卒採用の内定出しの開始時期

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【調査概要】

アンケート名称:HR総研:2020年&2021年新卒採用動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2020年3月9日〜3月16日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者、採用担当者、人事全般担当者
有効回答:174件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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