HR総研×就活会議:2021年卒学生の就職意識調査結果報告【2】〜学生の7割が就職活動を不安視、文系学生の3割以上が「リクナビ」利用を敬遠〜

前回に引き続き、「就活会議」(株式会社リブセンス)とHR総研が共同で実施した、2021年卒学生を対象とする「就職活動とインターンシップ」に関する意識調査の結果を報告する。今回は「2021年卒学生の就職意識調査(就職活動への意識動向等)」。
今年は、「経団連ルールの廃止」「リクナビ問題」など、就職活動をする学生とって他人事ではいられない社会の動きがあった。慢性的な企業の人材不足により売り手市場が継続しているとはいえ、企業の採用動向が変化し続ける状況の中、学生は就職活動に対してどのような意識を持っているのだろうか。
ここでは、調査時点である11月初旬における2021年卒学生について、「就職活動への意識」「経団連ルールの廃止への賛否」「新卒ジョブ型採用への賛否」「リクナビ利用への意向」等について分析した結果を、学生のフリーコメントも含めて以下に紹介する。

<概要>
●学生の7割が就職活動を不安視、その理由は面接や書類選考への苦手意識にあり
●「経団連の就活ルールの廃止」に対し、学生の半数以上は賛否を判断しかねる状況
●新卒ジョブ型採用に理系学生の7割が賛成、強みを活かし入社後ミスマッチの防止に期待
●「一律初任給の廃止」に学生の8割が賛成、能力開発へのモチベーション向上に期待
●就職活動を始めた時期は2019年6月が最多、文系の2割は3月以前から開始
●就職活動を終了したいと思う時期は2020年6月が最多、特に理系が早期終了を望む
●「就職ナビへの登録」「インターンシップへの応募」を9割以上がすでに実施
●文系の3割以上が「リクナビ」の利用を敬遠、内定辞退予測サービスが影響
●最も活用している就職ナビや逆求人型サイトは「マイナビ」で4割、今後「リクナビ」の利用率低下の可能性も

7割の学生が就職活動に不安感あり、その理由は面接や書類選考への苦手意識にあり

2021年卒学生に対して、2019年11月現在における「2021年入社に向けての就職活動に対する感覚」を聞いてみた。すると、「やや不安である」が44%で最多であり、次いで「とても不安である」が27%、「やや楽観している」が15%などとなっている(図表1-1)。
文系・理系別にみると、文系学生については、「やや不安である」が41%で最多であり、次いで「とても不安である」が33%、「やや楽観している」が12%などであり、理系学生については、「やや不安である」が49%で最多、次いで「やや楽観である」と「とても不安である」がともに19%などとなっている(図表1-2)。
「とても不安である」という学生の割合は、文系が理系より14ポイント高く、さらに、不安感のある割合(「やや不安である」と「とても不安である」の合計)については、文系74%、理系68%である。これらの結果から、学生の7割が不安を感じており、特に、文系学生は理系学生より就職活動に不安感を持つ割合が高いことが分かる。このような文系と理系の差は、文系では理系のような教授推薦による応募はほとんどなく、基本的には自由応募での就活になることが要因となり、生じているのであろう。
就職活動に不安感を持つ理由としては、「面接が苦手だから」が62%で最多であり、「自己分析ができていないから」が49%、「エントリーシートが大変そう」42%などとなっており、就職活動を前にして、面接や書類選考に対する準備不足による不安が大きいことがうかがえる。

【図表1-1】2021年入社に向けての就職活動に対する感覚
【図表1-2】文理別 2021年入社に向けての就職活動に対する感覚
【図表1-3】就職活動に不安を感じる理由

「経団連の就活ルールの廃止」に対し、学生の半数以上は賛否を判断しかねる状況

次に、2021年卒学生からが対象となる「経団連の就活ルールの廃止についての賛否」については、文系・理系ともに「どちらとも言えない」が51%となっており、「賛成」は文系24%、理系33%、「反対」は文系25%、理系16%となっている(図表2-1)。文系学生より理系学生の賛成派がやや多いものの、半数以上の学生が「経団連の就活ルールの廃止」の影響をイメージしづらく、賛否を判断しかねる状況であることがうかがえる。
「経団連の就活ルールの廃止についての賛否」の理由としては、賛成派は「元々、形骸化しているルールが撤廃されるだけだから」「自分に適したタイミングで就活ができる」という回答が多く、影響を感じない、または就活スケジュールの自由度が上がると感じていることがうかがえる。一方、反対派は「前年までの事例を参考にできない」「情報収集が追い付かない」という回答が多く、ルールの撤廃により就活スケジュールを掴みづらくなると捉え、より一層の就活戦線の複雑化に対する不安を感じていることがうかがえる。さらに、最も回答者が多い賛否不明派(どちらとも言えない)は、「影響がわからない」「決まったものは仕方がない」など、諦めの姿勢で経団連の就活ルールに対する関心の薄い学生が多いことがうかがえる。

【図表2-1】文理別 経団連の就活ルールの廃止への賛否
【図表2-2】経団連の就活ルールの廃止への賛否の理由(一部抜粋)
賛否理由文理区分大学区分
賛成それぞれが自分に適したタイミングで就活を始められるから文系上位国公立大
賛成チャンスが増えるから。同じ時期に行わないことは、たくさんの企業を受けることができるので理系その他国公立大
賛成自分が就活を行いたい時期に自由に決められることは、大学生活全体のプランを立てる上で自由度が大きく向上するため理系旧帝大クラス
賛成すでにルール自体が形骸化している他、そもそも経団連に加盟していない企業には制約にもなっていなかったため理系旧帝大クラス
反対前年までの例を参考にできないのは非常に困るから文系早慶大クラス
反対ただでさえフライングしてる企業もあるのに、早い所は早すぎて情報が追いつかない理系その他私立大
反対ルールがあった方が、選考時期が分かりやすい。また、ルール廃止により選考が早期化すると、大学院生などインターンに参加しづらい人にとっては不利だと思う文系旧帝大クラス
反対期間が決まっていない分、一年中気を張っていなければならなくなりそうだから文系中堅私立大
どちらとも言えない既に就活を始めているので、決まってしまっているものは仕方がない理系旧帝大クラス
どちらとも言えないそもそも現状のルールを把握していない理系上位国公立大
どちらとも言えない就活以外の活動を思いっきりできなくなるから文系早慶大クラス
どちらとも言えない撤廃されたところで、今すでに内々定や囲い込みは存在してるので、それが表に出てくるだけなのでは?という感じだから文系中堅私立大
どちらとも言えない優秀な人材を確保するために早く動くことについては理解できる。しかし、大学進学が現状よりもさらに就職のための進学になるのではないかと思う文系上位私立大

新卒ジョブ型採用に理系学生の7割が賛成、強みを活かし入社後ミスマッチの防止に期待

「新卒ジョブ型採用(職種別採用)の拡大の動き」について、文系・理系別にみると、文系では「賛成」が47%、「どちらとも言えない」が43%、「反対」が10%であり、理系では、「賛成」が67%、「どちらとも言えない」が28%、「反対」が5%となっており、明確な反対派は1割以下で、理系学生の方がジョブ型採用に対して寛容であることが分かる(図表3-1)。能力やスキルに関する企業のニーズに対し、より直接的にアピールしやすい専門知識や技術を学ぶ理系学生は、ジョブ型採用が自身の就職活動に有利に働くと予測していることがうかがえる。
賛否の理由として、賛成派については「入社後のミスマッチを防げる」「選考時に強みをアピールしやすい」など、すでに自身の適性や強みを認識していると思われる学生の意見が多い。一方、反対派については「視野が狭くなりそう」「一通りの職種を経験した上で自分に合う職種を見つけたい」など、現時点で職種を固定せず、自分の可能性を広げた上で慎重に考えたい学生が多い傾向がうかがえる。さらに賛否不明派は、「専門知識を持つ人や希望職種が決まっている人は良いが、そうでない人は困る」「入社後に職種変更が可能であれば賛成」など、ジョブ型採用のメリットとリスクの両面を考慮し、現時点では賛否の判断をしかねていると推測される(図表3-2)。
新卒ジョブ型採用には、賛否問わず様々な不安を抱える学生がいることが見えてきた。したがって、より柔軟な制度設計やきめ細やかな情報提供により、就活生の不安感を払拭させ、応募者のニーズに合った採用制度として機能させる必要があるのではないだろうか。

【図表3-1】文理別 新卒ジョブ型採用(職種別採用)の拡大の動きへの賛否
【図表3-2】文理別 新卒ジョブ型採用の拡大の動きへの賛否の理由(一部抜粋)
賛否理由文理区分大学区分
賛成入社した後の仕事がイメージしやすくなるから文系上位国公立大
賛成自分のやりたいことと適性にあった就職が重要だと思う理系上位国公立大
賛成総合職採用で入った後どうなるか分からないよりも入る時からわかっていた方が、ミスマッチが少なそうだから理系上位私立大
賛成選考時に自分の強みをアピールしやすくなるのではないかと思われるため文系旧帝大クラス
賛成自分の専攻を生かせる、やりたいことがやりやすい。しかし、これまで日本はジョブ型採用に消極的だったのに、その姿勢を変えられると戸惑う理系上位私立大
反対個人の能力がはっきりとしない中で職種を決めた上で就職することは不安と感じる文系上位私立大
反対視野が狭くなりそう理系その他国公立大
反対社会人として一通り職業経験を積んだ上で、自分の適性に合った職種を選ぶ形の働き方を希望しているため理系旧帝大クラス
反対文系の大学では、専門的知識習得に不十分であり、そのため就活時に職種別に募集したところで内定後新卒の想像と実際の仕事にギャップが生じるから文系上位私立大
どちらとも言えない転職の際に選択肢が狭くなる印象があるため文系早慶大クラス
どちらとも言えないやりたいことが決まってから入社するならいいが、マッチする職種を人事に選んでもらいたいという新卒もいると思う文系旧帝大クラス
どちらとも言えない特に専門的知識を持つ人にとっては良いと感じる。しかし、実際働いてみて不向きだったと感じた際にどうなるか、不安である理系その他国公立大
どちらとも言えないいわゆる配属ガチャが早期離職の原因の一つだと思う。その一方、仕事を経験したことの無い学生がある職種に向いているかを選考のみで判断するのは、企業にとってリスクであると思う理系旧帝大クラス
どちらとも言えないジョブ型採用がよく分からない。学生の間であまり認知されていないのではないだろうか文系上位私立大

「一律初任給の廃止」に学生の8割が賛成、能力開発へのモチベーション向上に期待

新入社員でも特別スキル・能力を持った人材には特別の処遇を提示する「一律初任給の廃止」の動きについて、学生の賛否を見てみると、文系では「賛成」が78%、「どちらとも言えない」が18%、「反対」が4%であり、理系では「賛成」が81%、「どちらとも言えない」が12%、「反対」が7%となっており、文系・理系ともに8割が賛成派であることが分かる(図表4-1)。
賛否の理由としては、賛成派については「能力のある人材がより多くの報酬を得るのは当たり前だから」「会社に有能な人材が集まるから」「モチベーションが上がるから」など、組織力の強化や自身の能力開発に向けて前向きな意見が多い。一方、反対派の意見は、「先輩社員の目が気になる」「自分の能力・スキルが低い」など、自分の立ち位置に自信が持てず不安を持つ意見が多く見られる。さらに、賛否不明派については、「処遇を判断する基準が大事」「制度はいいが、自分の能力に自信がない」など、制度の思想には賛成する反面、判断基準の明確化等の不安要素の解決が必要と思われる(図表4-2)。
この結果より、自分の適性や強みを生かした就職により、その能力に見合った報酬を求める学生が多い傾向にあることがうかがえ、今後、一律初任給の廃止は新卒ジョブ型採用に連動して導入され、評価基準を明確に示すことで、就活生に対し訴求力のある採用制度として広がることが見込まれる。

【図表4-1】文理別 一律初任給の廃止の動きへの賛否
【図表4-2】文理別 一律初任給の廃止の動きへの賛否の理由(一部抜粋)
賛否理由文理区分大学区分
賛成モチベーションにつながるから文系上位国公立大
賛成能力のある人が多くお給料をもらって当然だと思うから文系早慶大クラス
賛成能力UPにつながると思うから文系早慶大クラス
賛成年功序列制よりも、スキル能力を発揮した人達に良い処遇を送るべきだと考えるから文系その他私立大
賛成能力があると自覚している人からすると、不公平感を減らすことができる制度だと考えられるから理系旧帝大クラス
賛成能力がある人がそれ相応の対価を受け取ることでより多くの人材が集まってくるだけではなく、会社としても人材流出を防ぐ意味で非常に有効な方法だといえるため理系旧帝大クラス
賛成大学生の早いうちから、身につけるように行動するという方針を決めることができるから文系早慶大クラス
反対特別処遇を提示してもらっても、先輩社員たちから嫌な目で見られそうだから理系その他国公立大
反対同世代で収入に差が開きそうだから理系その他国公立大
反対自分が特別なスキルなど持っていないから文系上位私立大
反対自分のスキルに自信がない文系中堅私立大
どちらとも言えない処遇を判断する基準がしっかりとしていればどちらでも適切だと思う理系上位私立大
どちらとも言えない学んできたことを活かせる職につける人は良いが、大学に入って新たな道を見つけることもあると思います。両者のことを考えると、どちらとは言えません理系その他国公立大
どちらとも言えない制度自体はいいと思うけれど、自分の能力が高いと思えないから何とも言えない理系その他私立大
どちらとも言えない一律だからこそモチベーションを保てる場合もあるし、特別待遇がモチベーションに繋がるケースもあり、様々だから一概に言えない文系旧帝大クラス

就職活動を始めた時期は昨年同様2019年6月が最多、文系の2割は3月以前から開始

「就職活動(就職を意識した活動)を始めた時期」については、「(2019年)6月」が文系・理系ともに最多であり、文系24%、理系28%となっている。次いで「2019年3月以前」が文系18%、理系15%、「(2019年)5月」が文系15%、理系13%などとなっている一方、「まだ始めていない」学生は、文系・理系ともに5%である(図表5-1)。前回のレポートで掲載したとおり、9割の学生が「インターンシップへの参加は就職に有利に働く」と考え、実際に参加している現状から、9割以上の学生がすでに就職活動を始めていることは、当然であると考えられる。また、就職ナビがプレオープンする6月の時点で、文系67%、理系70%の学生が就職活動を始めている。このように6月が最も多い理由としては、プレオープンする就職ナビへの登録と、インターンシップへの応募が、就職活動の手始めとなっていることが推測される。
また、前述のように「2019年3月以前」、つまり、就職する2年以上前から就職活動を開始している学生も少なくないことが分かる。

【図表5-1】就職活動(就職を意識した活動)を始めた時期

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:「就活会議」×「HR総研」2021年卒学生対象インターンシップ及び就活意識に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、就活会議(株式会社リブセンス)
調査期間:2019年10月29日〜11月12日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2021年卒業予定の学生
有効回答:206件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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