HR総研では、株式会社リブセンスが運営する就活クチコミサイト「就活会議」会員を対象にして、2020年新卒学生の就職意識調査を11月20日~30日に実施した。2回にわたってその結果を報告する。
2回目の今回は、インターンシップへの参加状況について、文系・理系別の傾向を確認していきたい。

文系の5割、理系の3割は、すでに4社以上のインターンシップに参加

まずは、これまでにすでに参加したインターンシップの社数から見ていこう。インターンシップに一切応募をしていない学生の堀合は、文系で7%、理系にいたっては3%と極めて少数で、逆の見方をすれば、文系、理系ともに9割以上の学生がインターンシップに応募した経験を持っている。学生にとってインターンシップは、もはや「就職ナビへの登録」と同程度の基本的な就職活動となっていると言ってもよいだろう。
参加社数の内訳を見てみると、最も多いのは文系、理系ともに「4~6社」で、文系で27%、理系で25%になる。2019年卒業予定の学生に対して、採用広報が解禁となった昨年3月に、「楽天みん就」会員を対象に実施した調査でも、「4~6社」が文系23%、理系20%で、ともに最多だった。ただ、この調査はサマーインターンシップよりも参加者の多いウィンターインターシップを経た後の調査であり、今回の結果から、いかにインターンシップ参加学生が増えているのか、裏返せばインターンシップを実施する企業数やインターンシップ数が増えているかを物語っている。今回の調査では、「4~6社」「7~9社」「10社以上」を合計すると、文系では47%と5割近く、理系でも33%と3分の1を占めている。セミナー感覚でインターンシップに参加している学生の様子が伺える。

[図表1]インターンシップ参加社数

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

インターンシップ情報源として「企業ホームページ」が躍進

次に、インターンシップ情報をどこから入手しているのかを聞いたところ、文系、理系ともに「就職ナビ」がトップで、文系で74%、理系では81%と8割を超えている。昨年3月の調査(文系76%、理系69%)と比較すると、理系における利用度の伸びが目を引く。2位の「企業ホームページ」は、文系で48%、理系で42%と、トップの「就職ナビ」とは大きく水を開けられている。ただ、昨年3月の調査では、文系、理系ともに33%にとどまっており、これでも大きく伸びていることになる。「企業ホームページ」の利用度の伸びは、最初からインターンシップに参加したい目当ての企業が決まっている学生が増えていることを意味する。「就職ナビ」のオープン(「インターンシップ情報ナビ」としてのプレオープン)は6月1日との取り決めがあり、それを待てない学生が増えたとも考えられる。「企業ホームページ」でのインターンシップ情報の公開については、「就職ナビ」と違って特に日付の制約はない。4月だろうが、5月だろうが公開することが可能だ。今後、「企業ホームページ」での早期情報公開をする企業が、ますます増えるのではないかと推測される。

[図表2]インターンシップの情報源

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

事前選考で「適性検査」実施企業が大きく伸びる

インターンシップでは、参加したい学生を無尽蔵に受け入れるわけにもいかず、結果的に何らかの事前選考を行うことが普通だ。中には、申し込みの先着順で定員に達した時点で締め切る企業もあるようだが、多くは申込締切日を設定して、その日までに応募があった学生を対象に事前選考によって絞り込みを行う。事前選考の方法を複数選択で回答してもらったところ、「事前選考はなかった」と回答した学生は、文系で10%、理系で8%にとどまる。残りの9割以上の学生は、インターンシップに参加するために何らかの事前選考を受けた経験があるといいうことである。
事前選考で最も多かったのは「エントリーシート」で、文系の84%、理系の90%が経験している。昨年の調査でも「エントリーシート」が、文系、理系ともに82%でトップであった。注目すべきは2位の「適性検査」。文系、理系ともに6割以上の学生が受検したと回答している。昨年の調査でも、文系で僅差の3位、理系で2位と順位こそほぼ変わらないものの、その割合は文系37%、理系40%と4割程度だった。昨年と比べて今年は20ポイントも伸びていることになる。もちろんエントリーシートや他の選考方法と併用しているケースもあるだろうが、受ける学生側にとっても、検査結果によって判定する企業側にとっても、最も負担の少ないのが、この「適性検査」だ。事前選考方法として、今後、さらに伸びるのではないかと推測される。

[図表3]参加したインターンシップの事前選考方法

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

インターンシップ参加時期にも変化が

次に、インターンシップに参加した時期と、今後参加予定のインターンシップの時期についてまとめて見てみよう。さすがに「6月」までに参加した学生はそれほど多くはないが、これはこの時期に実施している企業自体が少ないことにもよる。6月に就職ナビがプレオープンすると、もう「7月」には文系で27%と3割近く、理系でも13%の学生が参加したと回答している。本番のエントリーシートの締め切りを就職ナビの本格オープンの3月に設定している企業が増えているのと同様、サマーインターンシップについての締め切りも年々早まる傾向にある。就職ナビがプレオープンした直後の6月上旬には、もう締切りを迎えるインターンシップも散見された。
参加した時期では「8月」が最多で、文系では70%、理系でも58%の学生が参加している。次いで多いのは「9月」(文系61%、理系54%)と、これまで同様、サマーインターンシップにあたるこの2カ月がピークとなっている。昨年3月の調査では、前半のピークの「8月」ですら文系、理系ともに5割を切っていたが、昨年の回答者には就職活動を遅く開始した学生が含まれていることを考えると、一概には比較できない。ただ、昨年の調査で年間のピークとなった「2月」ですら、文系で57%、理系で53%であったことを考えると、今年の学生の参加率はやはり急伸していると考えてよいだろう。

[図表4]これまでに参加したインターンシップの時期

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

もうひとつ注目すべきは、ピークの「8月」「9月」と、その他の月の落差の違いである。昨年3月の調査では、「10月」は文系で22%、理系では16%に、「11月」も文系で28%、理系でも25%と2割台に落ち込んでいたが、今回の調査では「10月」は文系で48%、理系で37%、「11月」は文系、理系ともに47%と5割近く、さらに今後も「11月」に参加予定があるという学生が文系で31%、理系でも20%もいる。調査時期が11月20日~30日だったことを考えると、11月21日~30日までの期間だけでの参加予定でこの数字である。さらに驚くべきは、「12月」の参加予定だ。文系で69%、理系でも62%と、6~7割の学生が「12月」に参加予定があるとしている。調査時点では、「1月」「2月」の事前選考結果が出ていないケースも多く、逆に「1月」「2月」のほうが「12月」を下回っているが、実際には「1月」「2月」の参加率が「12月」を上回ることは確実だろう。もはや、セミナー・会社説明会のピーク時期よりも高い参加率を記録することになるのではないかと推測される。

[図表5]これから参加が予定されているインターンシップの時期

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

サマーインターンシップから「1Day」が席巻

これまでに参加したインターンシップのタイプを回答してもらったところ、最多は「1日」タイプで、文系の73%、理系の74%が参加している。2位には「2~3日」タイプ(文系57%、理系39%)が入ったが、3位の「半日」タイプ(文系47%、理系34%)も併せて考えれば、「1Day(1日・半日)」タイプのインターンシップ参加者割合は、文系で84%、理系でも77%に上る。「1Day(1日・半日)」タイプのインターンシップがいかに多かったのか、またそれに参加した学生がいかに多かったのかが分かる。
ちなみに昨年の調査では、サマーインターンシップでの参加タイプは「1日」タイプが最多ながら、文系で59%、理系で56%、「半日」タイプは文系で22%、理系では18%に過ぎなかった。一方、昨年は「1週間程度」のインターンシップに参加した学生が文系で35%、理系でも32%と3分の1ほどいたのに対して、今回の調査では文系29%、理系では23%にとどまる。「1Day」タイプへの参加者が増えたことで、相対的に「1週間程度」のインターンシップに参加した学生割合は減少する結果となっている。
なお、昨年の調査では、「2月」「3月」に参加したインターンシップのタイプは、「1日」タイプが文系で77%。理系でも72%を占めていたが、この勢いで行くと今年は「1日」タイプ参加者がさらに増えることが予想される。

[図表6]参加したインターンシップのタイプ

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

学生が望むインターンシップは「2~3日」タイプ

参加者割合では「1Day」インターンシップが圧倒的ではあるものの、果たして学生は「1Day」インターンシップを望んでいるのだろうか。「半日・1日」「2~3日」「1週間程度」「2週間以上」の4択で、望ましいインターンシップのタイプを1つ選択してもらったところ、意外にも「2~3日」を支持する声が最多となった。文系では「2~3日」派が60%を占め、「半日・1日」派の27%の2倍以上となっている。理系はそこまでではないものの、「2~3日」派が45%を占め、「半日・1日」派とは20ポイント以上の開きがある。理系の特徴としては、文系と比べて「1週間程度」「2週間以上」の期間の長いタイプを支持する声が多いことだ。両方を合算した割合では、理系は3割を超える。

[図表7]望ましいインターンシップのタイプ

HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査結果報告【2】

以下、それぞれのタイプを選択した理由を抜粋して紹介しよう。

■「半日・1日」タイプ
・研究活動と両立可能だから(青山学院大学、理系)
・研究が忙しく、学業との両立が非常に厳しいから(千葉大学、理系)
・長期で体験型のインターンよりも一日で選考をかねたグループワークなどがあるものが好ましい(秋田県立大学、理系)
・研究室に所属しており実験があるので長く休めないため(神戸大学、理系)
・仕事を体験しに行くのが目的ではなく、本採用に向けて情報収集をするのが目的だから(早稲田大学、文系)
・何日も会社に行ったところでわかることはそれほどないと思う。本当に行きたい会社があるなら長期間通えばいいと思うけど、まだ決まってないなら複数の企業を見た方がいいと思う(東京都市大学、文系)
・企業によっては宿泊費や交通費がかかるため(同志社女子大学、文系)
・多くの企業を見たいから、あまり長いと都合が悪いと思う(立教大学、文系)

■「2~3日」タイプ
・1日じゃ短いけど一週間だと長い(京都大学、理系)
・5日以上予定を確保することが難しいから(名城大学、理系)
・研究室との兼ね合いと企業理解を考えるとこの程度が理想でした(東京大学、理系)
・1日だけだと深い内容まで理解できないから(名古屋大学、理系)
・より深く学べ、かつ参加しやすいから(慶應義塾大学、文系)
・社員さんと関わる機会が長く、人柄や会社の雰囲気が分かりやすい(東京外国語大学、文系)
・1日では社風などが分からないが2、3日あればしっかり学べると思うから(武庫川女子大学、文系)
・企業を深く知ることができ、人事の方から多くのフィードバックをいただける(立命館大学、文系)

■「1週間程度」タイプ
・企業説明だけでなく、仕事内容や社員の雰囲気、職場環境もわかるから(立命館大学、理系)
・実務経験を意識したら、必ず1週間の期間は必要だと思う(鹿児島大学、理系)
・サマーインターンなど、長期休暇中に複数社参加するとなると1週間程度が適当と考える(東京農工大学、理系)
・社風を把握する、社員の週間スケジュールを横目で把握できる(早稲田大学、文系)
・得ることのできる情報量も増えるし、企業側からも評価してもらえる機会が多くなる(同志社大学、文系)
・ある程度長期間出ないと、会社の雰囲気や仕事内容や自分とのマッチ具合はわからないと思う。1日だと、ただの業界・会社理解にしか繋がらない(国際基督教大学、文系)
・実際に社会人として働くサイクルを味わうのにぴったりだから(大阪大学、文系)

■「2週間以上」タイプ
・企業の雰囲気を知るためにはある程度の期間が必要だから(九州大学、理系)
・企業の人たちと実際に働くことで、うわべだけでなく職場の雰囲気がつかめるから(名古屋大学、理系)
・実際の企業の仕事の様子や雰囲気を感じるためには、そのくらいの期間が必要であるから(筑波大学、理系)
・細かいことまで知ることが可能になるから(名古屋大学、理系)
・長期のインターンに参加することができたら、選考でも多少有利になりそうだから(早稲田大学、文系)
・実際の業務をしっかり体験出来るから(法政大学、文系)

理系では、研究室での活動と両立を重視するタイプと、業務や社風をじっくり確認したいタイプに分かれている。一方の文系は、多くの企業を見たいというタイプと、選考に有利かどうかを気にするタイプなど、理系とはやや異なった視点からの理由が見受けられる。今冬のインターンシップにはもう間に合わないかもしれないが、今夏以降のインターンシップでは、ぜひ「2~2日」タイプのプログラムを計画してみてはいかがだろうか。

【調査概要】

アンケート名称: HR総研×就活会議:2020年新卒学生の就職意識調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、就活会議(株式会社リブセンス)
調査期間:2018年11月20日~11月30日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2020年卒業予定の「就活会議」会員学生
有効回答:369名

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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