HR総研:「2019年卒学生 就職活動動向調査(6月調査)」結果報告 vol.1〜インターンシップは事前選考不合格者こそケアが必要〜

HR総研が6月下旬に楽天「みん就」会員学生を対象に実施した「2019年卒学生 就職活動動向調査」の結果を、2回に分けて報告する。
1回目の今回は、インターンシップをめぐる動向について取り上げることにする。

※「みん就」会員は、早期から就職活動を開始する意識の高い学生の割合が多いため、他の就職ナビ発表の調査結果のデータよりも進捗率が高めに出る傾向があります。ご注意ください。

8割の学生がインターンシップに応募

まずは、インターンシップへの応募状況を見てみよう。応募が「0社」の学生は、文系で20%、理系で21%、つまり残りの約8割の学生は何社かのインターンシップに応募していたことになる。応募数別に見てみると、「1社」だけという学生は、文系・理系ともに12%に過ぎず、残りの7割近い学生は複数社に応募している。最も多かったのは文系・理系ともに「3社」で、どちらも14%となっている。「11社」以上という学生が文系、理系ともに1割以上いる。数年前までであれば、考えられない社数である。1Dayタイプのインターンシップが主流となり、セミナー感覚で参加している学生が増えていることが分かる。

[図表1]インターンシップへの応募社数

応募した学生のほとんどがいずれかのインターンシップに参加

次に、実際に参加したインターンシップの社数について見てみる。応募したものの1社にも参加できなかった学生は、文系で3%、理系で5%にとどまり、ほとんどの学生は応募したインターンシップのうちいずれかには参加ができている。参加できなかった学生の中には、事前選考ですべて不合格になった者もいるだろうが、せっかく合格したものの何らかの事情で当日参加ができなかった学生も含まれるものと思われる。
社数別にみると、申込では「3社」の割合が最多であったが、文系はそのまま「3社」が最多で19%となっているが、理系は「3社」よりも「1社」のほうが多くなり、24%にも及ぶ。理系の参加社数が少ないのは、大学経由の2週間程度のインターンシップ(かつては工場実習と呼ばれていた)の割合が多いことも影響しているのかもしれない。「2社」以上のインターンシップに参加した学生の割合は、文系で80%、理系でも72%に達する。かつては、インターンシップを実施するだけでアドバンテージが得られたこともあるが、これだけ複数のインターンシップに参加することが当たり前になると、学生は当然参加したインターンシップを比較することになる。通常はインターンシップに参加することで業界理解や企業理解や進み、志望度向上につながることが多いが、内容が陳腐で他社に見劣りするものであれば、かえって逆効果になることもある(後述)。プログラムの差別化とインパクトが重要になってきている。

[図表2]応募学生のうち実際にインターンシップに参加した社数

インターンシップで志望度が下がる例も

インターンシップは、採用活動の一環としてとらえた場合、自社を認知させるとともに、業界・企業・職種理解を進め、最終的には自社への志望度向上を狙って実施されるものである。インターンシップに参加した学生に、参加したことでの志望度の変化を聞いてみたところ、「(志望度が)上がった」と回答した学生が、文系で73%、理系で74%といずれも約4分の3に達している。当初の目的をほぼ達成できているということになる。「変わらない」とする学生が文系・理系ともに19%あり、この2割の層に対してはマイナスではないものの思った効果を上げられていない。もっとも、当初から志望度がかなり高いところにあった場合には、さらに高めることはハードルが高いため、1回のインターンシップでどうにかなるものでもないだろう。注目すべきは、「(志望度が)下がった」学生の存在である。文系で8%、理系で7%ほどいる。インターンシップのプログラムのまずさによるのであれば問題だが、学生がそれまでイメージしていたものと違ったということが早期のミスマッチ是正につながったのであれば、それはマイナスでなく、企業・学生の双方にとってかえってプラスだったとも言える。その見極めをはっきりさせるためにも、プログラムには工夫を凝らし、これで志望度が下がるのであれば、ミスマッチだったんだと自信をもって断言できるレベルにしたいものである。

[図表3]インターンシップ参加による志望度への影響

早期選考会への誘導がトップ

インターンシップに参加した企業から、その後にどんな連絡があったのかを聞いてみたところ、文系で最も多かったのは「早期選考会・面接の案内」で48%、次いで「(プレ)エントリー受付の開始案内」が46%、「特別セミナーの案内」39%、「次のインターンシップの案内」29%とつづく。理系では「(プレ)エントリー受付の開始案内」が52%でトップ、次いで「早期選考会・面接の案内」50%、「特別セミナーの案内」31%、「次のインターンシップの案内」24%とつづき、上位4項目の顔触れは共通している。「(プレ)エントリー受付の開始案内」を除き、3月の採用広報解禁日前に次のステップへと誘導していることになる。インターンシップを引き金にして、採用活動の前倒しが進んでいることがよく分かる。
ちなみに、「特にない」と回答した学生は、文系で17%、理系で16%にとどまる。後述する「事前選考に落選した学生へのフォロー」とぜひ比べてほしい。

[図表4]インターンシップ参加学生へのフォロー

8割の学生がインターンシップ先に応募

インターンシップに参加した企業に正式に応募したかどうかを確認したところ、文系で78%、理系で82%の学生が「応募した」と回答。もちろん、複数社のインターンシップに参加した学生の中には、「応募した」企業と「応募していない」企業が混在しているケースもあるが、1社でも応募していれば「応募した」にカウントされているが、文系、理系ともに8割前後の学生が、インターンシップが結果的に就職活動と深く結びついたことになる。
気になるのは、「応募していない」学生の割合が、文系で20%、理系で16%もあることである。前述した「志望度の変化」では、「(志望度が)下がった」としていた学生は1割に満たなかったことを考えると、それを上回る学生が応募につながっていない。就職ナビ等で募集が告知される自由応募型のインターンシップでは、もともと志望している企業や業界に応募するのに対して、大学の単位認定の対象となるゼミ・研究室を窓口としたインターンシップの場合には、本人の志望とは関係なくインターンシップ先を指定されることも少なくないため、応募につながらないことも多い。ただし、それらの学生も自由応募型のインターンシップにも参加した学生も多いことを考えると、「志望度の変化」の項で「変わらない」としていた層でも応募しなかった層が少なからずいたと推測される。当日のプログラムの充実ももちろんだが、参加後のフォローについても工夫を凝らす必要がありそうである。

[図表5}インターンシップ先への応募の有無

インターンシップ先が内定につながった学生は、文系4割、理系5割

応募したインターンシップ先で本選考を受けた結果、内定につながった企業があったかどうかを聞いたところ、文系の42%、理系の49%は「内定が出た」と回答。中には「11社以上」も参加した学生もいたわけだから、参加した企業1社に対する割合では当然もっと低くなる。また、内定はインターンシップに参加したことが有利に働いた結果なのかどうかも定かではない。ただし、この数字だけが独り歩きすると、「インターンシップに参加するとかなりの割合で内定につながるらしい」と学生間では広まりそうである。

[図表6]インターンシップ先からの内定の有無

上位校ほど事前選考での落選経験あり

インターンシップには定員があり、応募学生がそれを上回れば選抜のための何らかの事前選考が行われることになる。1Dayタイプで収容人数の多い、あるいは開催回数が多いインターンシップの場合には、セミナー同様に申し込みの先着順をとっているケースもあるが、多くのインターンシップが事前選考を課している。大学グループ別に見た場合、上位校ほど事前選考を通過する確率が高くなるだろうと考えがちであるが、結果はまったく逆である。例えば、文系の例で見てみると、事前選考で落選して参加できなかったインターンシップの有無を聞いてみたところ、「旧帝大クラス」や「上位国公立大クラス」で77%、「早慶クラス」で72%が「(落選経験が)ある」のに対して、「中堅私大クラス」で55%、「その他私立大」では43%にとどまる。これはどういった理由からなのだろうか。考えられる主な理由は2つ。ひとつは、応募先企業群の違いである。上位校学生の応募先は大手(競争率が高い)企業の割合が圧倒的なのに対して、そうでない大学グループ層は大手だけではない(競争率が低い)企業群にも応募していること。そしてもうひとつは、上位校学生は複数日程タイプのインターンシップを好む割合が多いのに対して、そうでない大学グループ層は1Dayタイプのインターンシップを好む割合が多いことである。前述したように1Dayタイプの場合には、複数日程タイプと比べて定員が圧倒的に多かったり、開催回数も多かったりする。応募先企業群だけでなく、応募先のインターンシップタイプ自体に差があるのである。

[図表7]大学グループ別 事前選考での落選経験の有無(文系)

事前選考に落選することで志望度が下がる学生が3〜4割

インターンシップの事前選考に落選した場合、学生の当該企業に対する志望度に変化はあるのだろうか。落選したことでかえって「(志望度が)上がった」という学生は文系で6%、理系でも3%と極めて少数派。文系で59%、理系で69%と6〜7割の学生は定員があることを理解し、「変わらない」としている一方で、文系で36%、理系で28%もの学生が「(志望度が)下がった」としている点は要注意である。もしかしたら落選の連絡方法が味気ないものだったのかもしれない。本番の就職活動が始まってしまえば、当たり前のように送られてくる不合格を伝える「お祈りメール」や、結果すら連絡の来ない「サイレント」の洗礼を受けたのかもしれない。

[図表8]事前選考の落選が志望度に与える影響

落選学生へケアのない企業が5割以上

参加した企業からのフォローを前述したが、ここでは事前選考に残念ながら落選してしまった企業からどんなフォローがあったかを聞いてみた。驚くべきことに「特にない」とする学生が文系で52%、理系で47%に達する。複数の企業の事前選考で落選した場合、すべての企業から「(フォローが)特にない」学生だけでこの割合である。1社でも「特にない」企業があったかを聞いたとしたら、この数字はさらに跳ね上がることは間違いない。フォローのトップは文系・理系ともに「(プレ)エントリー受付の開始案内」で、それぞれ32%と33%でほとんど同じ傾向である。ただし、この割合も参加学生の場合には5割前後だったことを考えれば、はるかに少ない。参加学生の約半数には、「早期選考会・面接の案内」がされていたが、落選した学生にはわずか3%である。インターンシップがセミナーや会社説明会の役割を果たしていることの証でもある。この落選学生へのフォローのなさが次の項で見るような結果を招くことになる。

[図表9]事前選考に落選した企業からのフォロー

事前選考に落選した学生の4割以上は本エントリーせず

最後に、事前選考で落選した企業に、採用広報解禁後に正式応募(本エントリー)したかどうかを聞いてみたところ、恐るべき結果が得られた。文系44%、理系も43%の学生が応募しなかったと回答しているのである。学生からしてみれば、「インターンシップの選考ですら落ちてしまうのに、本選考ではなおさら受かるわけがない」との思いに駆られてしまうのである。前述したように、事前選考にエントリーした後の企業の対応に幻滅した学生もいるだろう。
インターンシップの事前選考に落選したら、本選考で合格する可能性がゼロの企業など、インターンシップ経由でしか採用活動をしない外資系企業をはじめごく一部の企業だけであろう。つまり、インターンシップの事前選考で落選した学生の中にも、多くの企業ではターゲット学生、あるいは内定候補になるような学生も含まれているわけである。参加した学生のフォローばかりに気がいきがちであるが、もっともケアが大事なのは落選させてしまった学生のケアである。落選後のフォローもそうだが、別の角度から考えれば落選する学生を減らすことも考えるべきであろう。ひとつは受け入れられる定員を増やすべく、1Dayタイプのインターンシップを増やすこと、もうひとつはインターンシップの告知を最初から絞り込むことである。特定の大学(キャリアセンター、ゼミ・研究室)を通じての募集活動や、近年伸びているダイレクトソーシング(逆求人型サイトやリファラル採用)の活用である。やみくもに応募学生数を追い求めるのではなく、ピンポイントで学生を集める工夫をすることである。従来の母集団形成型の採用活動が見直されてきているのと同様に、インターンシップの募集についても見直すべきである。募集〜当日運営〜開催後のフォロー(事前選考落選者含む)〜選考活動と、インターンシップのプログラム内容だけでなく、トータルでデザインすることが求められる時期に来ていると言える。

[図表10]事前選考に落選した企業への正式応募

【調査概要】

調査名称:【HR総研】「2019年卒学生 就職活動動向調査」
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みん就」
調査対象:2019年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2018年6月14日〜6月25日
有効回答:1,658名(文系:1,048名,理系:610名)

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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