HR総研:「2019年&2020年新卒採用動向調査(6月)」結果報告 vol.2〜大手企業でAI活用の検討が進む〜

前回から引き続き、HR総研が6月下旬に採用担当者を対象に実施した「2019年&2020年新卒採用動向調査」の結果を見ていきたい。2回目の今回は、2020年卒採用に向けての動向やスケジュール感を取り上げることにする。

「インターンシップ」がトップ、ダイレクトソーシングにも注目

[図表1]2020年卒採用でより重要になると思われる施策

2020年卒採用でより重要となると思われる施策を聞いたところ、「インターンシップ」が43%で「学内企業セミナー」(36%)を押さえて2年連続のトップになった。経団連の指針の手引きの変更により、1Dayインターンシップも容認されたことで、企業としては採用施策として活用しやすくなった。3月解禁前に企業を認知させる施策の代表格となっている。「リクルーター」や「研究室訪問」を押さえて、今年は「リファラル採用」「逆求人サイト」といったダイレクトソーシング施策が注目されている。「逆求人サイト」は、全体では16%だが、大企業では29%にも上る。

過半数の企業が「8月」「来年2月」にインターンシップを実施

インターンシップ実施予定の企業に実施時期を聞いたところ、トップは「8月」と「来年2月」でともに53%と過半数の企業が実施するとしている。「未定」の企業も1割以上あるが、この時期に未定であれば後半戦での実施しか難しいだろうから、「来年1月」「来年2月」はさらに伸びることが予想される。サマーインターンシップとして実施する割合の多かった「9月」であるが、近年は「12月」「来年1月」に抜かれることが常になってきている。「12月」「来年1月」には年末年始休暇が含まれるものの、その休暇中に実施する企業は少ないだろうから、実質的には平日開催のものが多いものと思われる。

1Dayインターンシップ実施企業が圧倒的多数

[図表3]実施予定のインターンシップタイプ

「1日程度」が56%で断トツのトップで、次いでセミナーとほとんど変わらない「半日程度」も33%と多くなっている。昨年、大企業は「2〜3日程度」が多かったが、今年は1Dayに大きくシフトしている。大企業だけで見ると、「1日程度」は61%にも上り、「半日程度」も41%で他の企業規模よりも高くなっている。逆に、「2〜3日程度」や「1週間程度」は、大企業よりも中堅・中小企業での実施率のほうが高くなっている。学生をクラス別で見た場合、大企業がターゲットとする旧帝大クラスや早慶クラスといった上位校の学生ほど、複数日程のインターンシップを好む傾向があり、企業ニーズと学生ニーズの間にズレが生じ始めている。

「1回のみ」は今や少数派。大企業では「11回以上」がトップ

[図表4]インターンシップの実施予定回数

インターンシップの実施回数を初めて聞いてみたところ、全体では「6〜10回」が20%でトップ。ただし、「6〜10回」が突出しているわけではなく、「2回」17%、「11回以上」と「5回」がともに15%、「1回」が13%など、かなり分散している。ただひとつ言えることは、「1回」しか実施しない企業は13%しかなく、大半の企業は複数回実施しているということである。職場で受け入れてじっくり1〜2週間かけて就業体験といった、本来のインターンシップでは「11回以上」など、まず実施することは困難であり、これも1Dayが容認されたからこその実態と言える。企業規模別にみると、大企業では「11回以上」が23%でトップ、中堅企業では「6〜10回」が31%と断トツで多くなっている。中小企業ではやや回数が減って、「5回」が30%で最も多くなっている。

6割以上の大企業は複数拠点でインターンシップを実施

[図表5]インターンシップの実施拠点数(都道府県レベル)

こちらの設問も今回が初めてであるが、インターンシップを実施する拠点数を都道府県レベルで聞いてみた。大企業では62%の企業が2カ所以上で、29%が3カ所以上でインターンシップを実施する予定であることが分かった。中堅企業でも半数近い48%の企業が複数拠点で実施するという。中小企業は複数拠点で実施する企業が31%と、他の企業規模よりは少なくなる。ただ、「4カ所以上」とする企業が1割近くもあり、これは5%の大企業よりも多い。

面接開始は「3月前半」が最多

[図表6]2020年卒採用の面接開始時期

今回から3月以降は「前半」と「後半」に区分して調査してみた。最も多かったのは「3月前半」の18%で、次いで「2月」と「3月後半」が11%で続く。3月末までに面接を開始する企業が61%にもなる。3月と言えば、採用広報の解禁月であり、就職ナビの採用情報の公開やプレエントリーの受付、キャリアセンター主催の学内企業セミナーや就職ナビ主催の合同企業説明会もここから開始される。かつて3月は「母集団形成期」として位置づけられ、とにかくプレエントリーを獲得することや、各種セミナーや説明会でできるだけ多くの学生と接触することに力点が置かれ、個別企業主催のセミナーや説明会ですら3月末にようやく実施する企業が多く、とても面接を始められるようなタイミングではなかった。随分様変わりしたものである。

面接開始が早くなる企業が3割

[図表7] 2020年卒採用の面接開始時期の対前年比

面接開始予定時期を2019年卒採用の実績と比較してもらったところ、「早くなる」と回答した企業が28%と3割近い。一方、「遅くなる」と回答した企業はわずか2%にとどまる。残り70%は「変わらない」と回答しているものの、周りの状況次第では早くなることも十分にあるだろう。採用活動の一層の早期化が進みそうである。

内定出し開始は「4月後半」が最多

[図表8]2020年卒採用の内定出し開始時期

こちらも今回から3月以降を「前半」と「後半」に分けて調査してみた。内定出しの開始時期は「4月後半」が13%で最多で、4月末までに内定出しを開始する予定の企業が52%と過半数に達する。昨年の調査と比較すると7ポイント増加している。3月末までで比較してみても、昨年の調査と比較すると7ポイント増加の31%となっており、4月が増えているわけではなく、3月末までの内定出し開始企業が増えていることになる。3月末までに面接を開始する企業が61%、そして内定出しまで開始する企業がその半分ということになる。

4分の1以上の企業が内定出しも前倒しに

[図表9] 2020年卒採用の内定出し開始時期の対前年比

面接開始時期と同様に、内定出しの開始時期を2019年卒採用の実績と比較してもらったところ、「早くなる」と回答した企業が26%と、面接開始を早くする企業(28%)とほぼ同じ割合となった。「遅くなる」と回答した企業はたった1%しかなく、面接開始を早めた分、内定出しの開始も早めるということになりそうである。

大企業の3割以上がエントリーシートのAI活用に関心あり

[図表10]2020年卒採用におけるエントリーシートのAI活用

大企業でもエントリーシートの判定にAIを活用することをすでに決定している企業は5%とまだまだ少ないものの、26%の企業が「検討する」と回答しており、3割以上の企業が関心を持っていることになる。エントリーシートの判定にAIを活用することは、判定にかかる時間を大幅にカットすることができるだけでなく、担当によって評価がばらけることもない。さらに、コピペの有無も判定してくれるとなれば、導入のメリットはかなり大きい。学生に特に事前告知する必要もない。導入のハードルとしては、コストももちろんひとつではあるが、それよりもAIに判定させるのに必要な量の過去データきが整備されているかという点が大きいだろう。それも担当による判定のばらつきが少ないものでないと、AIが混乱してしまうことになる。その他、中堅企業よりも中小企業で「検討する」企業が13%もあるなど、おもしろい結果が出ている。

中堅企業はAIに関心なし

[図表11]2020年卒採用における面接でのAI活用

面接でのAI活用の設問でも、エントリーシートへのAI活用と似たような傾向が表れた。「活用する予定」「検討する予定」の合計では、大企業は32%と3割超もあるのをはじめ、中小企業でも1割超なのに対し、中堅企業で関心ありはわずか4%にとどまる。数多くの応募者を面接する必要がある大企業、あるいは面接担当者(人事担当)が人手不足の中小企業ではニーズがあるが、どちらも中庸の中堅企業にとっては、コストや導入の手間を考えると、導入メリットが少ないということか。

【調査概要】

調査名称:【HR総研】「2019年&2020年新卒採用動向調査」
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年6月18日〜6月27日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の採用担当者
有効回答:170件

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