HR総研:「2019年&2020年新卒採用動向調査(6月)」結果報告 vol.1〜プレエントリー・説明会を経由しない面接者の増加〜

毎月、各就職ナビ調査の月次の内定率が発表されるが、早期の調査結果と比べると昨年同時期の調査データとの乖離幅がだんだん小さくなってきている。内定出しの早期化が進んでいただけで、最終的な未内定者数は例年と比べて劇的な改善を見せることはなさそうである。今回から2回に分けて、HR総研が6月下旬に採用担当者を対象に実施した「2019年&2020年新卒採用動向調査」の結果を見ていきたい。1回目の今回は、2019年卒採用の各採用ステップ(プレエントリー→セミナー・説明会→面接→内定)の状況を取り上げる。

大企業ほど減少したプレエントリー数

[図表1]プレエントリー数の対前年比

プレエントリー数の対前年比を聞いたところ、今年はいつもの年と違う傾向が出た。大手企業志向が強くなれば、当然、大手企業へプレエントリーが集中し、中堅・中小企業にしわ寄せがいくはずが、今年はその逆。中小企業は、わずかだが「前年よりも多い」企業が「前年より少ない」企業を上回り、一方、大企業では「前年より少ない」企業が「前年より多い」企業の3倍以上となっている。特にメーカーでこの傾向が顕著のようだ。
ただし、プレエントリー数の対前年比で少なくなっていることは、一概に「苦戦」しているとも言い切れない。1Dayインターンシップの開催によって、インターンシップでの接触人数が大幅に増えているケースもあるだろうし、広くプロモーションを展開するのではなく、ターゲットを絞ったプロモーションにシフトしたのかもしれない。3月調査の結果報告で記載したように、ダイレクトソーシングによる応募者が増えているのかもしれない。

半数近くでエントリーシート提出数が減少した中堅企業

[図表2]エントリーシート提出数の対前年比

次に、エントリーシートを導入している企業に、エントリーシートの提出数についても対前年比を聞いてみた。「前年並み」の企業が最も多かったものの、「前年より多い」企業が12%に対して「前年より少ない」企業が31%と、減少した企業が大幅に上回っている。こちらも企業規模別にみてみると、すべての規模で減少している企業が上回ってはいるものの、顕著なのは中堅企業である。「前年並み」の企業が35%しかなく、「前年より少ない」企業がそれを上回る47%にも達している。ほぼ半数近い割合である。今年も中堅企業の受難は続いていると言える。
ここでもうひとつ注目したいのは大企業のデータである。「前年より少ない」企業は29%で、中堅企業ほどの割合ではないものの、一方の「前年より多い」企業がわずか6%しかない。中小企業でも12%の企業が「前年より多い」としているのにだ。

合同企業セミナー参加数を減らした大企業

[図表3]合同企業セミナー参加数の対前年比

次に、就職ナビ等が主催する合同企業セミナーの参加数について確認してみたい。全体では、半数以上の52%が「変わらない」と回答し、「(前年より)増えた」企業と「(前年より)減った」企業がともに24%で並んだ。企業規模別にみてみると、中小企業は「増えた」企業と「減った」企業がともに27%で並び、採用に苦戦する中堅企業は「増えた」企業が「減った」企業を6ポイント上回り、逆に大企業は「減った」企業が「増えた」企業を10ポイントも上回っている。大企業での合同企業セミナー離れが始まっているようである。

企業規模によって異なる合同企業セミナーの評価

[図表4]参加した合同企業セミナーの満足度

参加企業が多かった合同企業セミナーを主催する3社(マイナビ、リクルートキャリア、ディスコ)について、面談学生数だけでなく、ターゲット大学・専攻学生の比率やセミナーの運営など、総合的に見て費用対効果に満足しているものを選択してもらう形で、参加企業に満足度を確認してみた。全体数字での満足度は3社ともに61〜71%に集中する形になったが、企業規模別に見てみると全く異なる傾向が表れてきた。1001名以上の大企業では、マイナビが87%という高い満足度を得ている一方、ディスコの満足度は33%に低迷している。301〜1000名の中堅企業では、トップは同じくマイナビながら、満足度は69%と大企業よりは低くなっている。大企業で78%とマイナビに次ぐ評価を得ていたリクルートキャリアは56%で最下位となっている。ただし、トップのマイナビとの差は13ポイントしかない。最後に中小企業だが、マイナビの満足度は50%と低迷して最下位となる一方、ディスコの満足度は100%と極めて高い満足度を獲得している。リクルートキャリアも80%と高い満足度を獲得している。かつては、大企業の評価は高いものの、中小企業からの評価はそれほど高くない傾向が見られたリクルートキャリアであるが、就職ナビ「リクナビ」への掲載パターンに中小企業プランを用意して中小企業の掲載数を爆発的に増やしているが、合同企業セミナーについても中小企業の評価が高くなっている。また、大企業ではマイナビ・リクナビに大きく水をあけられたディスコであるが、中堅企業、中小企業になるほど満足度が高くなっている。その結果、大企業と中小企業では、全く逆の評価結果となっている点が興味深い。ぜひ参考にしてもらいたい。

エントリーシートと比例するセミナー・説明会参加者数

[図表5]自社セミナー・説明会参加者数の対前年比

自社のセミナーや会社説明会への参加者数について対前年比を聞いたところ、結果は前述のエントリーシート提出数と極めて似た傾向となった。全体では、「前年より多い」企業(17%)よりも「前年より少ない」企業(43%)が大幅に上回っている。すべての企業規模で「前年より少ない」企業が「前年より多い」企業を上回っているが、特に顕著なのはやはり中堅企業だ。「前年並み」企業は28%しかなく、「前年より多い」企業は14%なのに対して、「前年より少ない」企業は58%と6割近くにもなっている。大企業では、「前年より多い」企業が中堅企業よりも少ない11%にとどまり、「前年より少ない」企業はその3倍近くに達している。

自社セミナー・説明会開催時期のピークは「4月」から「3月」へ

図表6]自社セミナー・説明会開催時期の2年比較

自社のセミナーや会社説明会を開催した(する予定の)時期をすべて選んでもらい、昨年の2018年卒採用の調査結果と比較してみたのが[図表6]である。セミナー・説明会開催企業が最も多かったのは、昨年は「4月」(66%)だったが、今年は10ポイント減少し、代わりに「3月」がポイントを伸ばしてトップ(63%)となった。その他の月を比較してみても、「前年11月以前」から「今年2月」まではすべて前年よりもポイントが伸びているのに対して、「今年5月」以降は「今年6月」を除いて前年を下回っている。2018年卒採用と比較して、自社セミナー・説明会開催時期の前倒し傾向が分かる。
「今年6月」が伸びているのは、後述する面接や内定時期の前倒しから、内定辞退も前倒しとなり、採用活動の第2ラウンド(再募集)の開始となった企業が多かったものと推測される。

企業規模間での差異が少ない面接者数の増減

[図表7]面接者数の対前年比

これまで面接した人数についても前年と比較してもらったところ、「前年並み」とする企業が最も多いのは他の採用ステップと同様であるが、少し異なるのは「前年より多い」企業の割合が多いことである。その分、「前年より少ない」企業の割合が少なくなっている。また、企業規模間での差異が少ないのも、面接者数の比較データの特徴と言える。
具体的に見てみよう。大企業、中堅企業は「前年より少ない」企業がともに34%と3分の1に達しているものの、「前年より多い」企業もそれぞれ2割を超える数値となっている。中小企業では、「前年より少ない」企業が25%と他の企業規模よりも少なくなっている。他のステップと違って、面接人数は企業側での調整が可能な面もある。例えば、エントリーシートの提出数は減少したとしても、合格点を調整することで合格率を高め、面接人数を増やすことが可能になるからだ。ただ、これがすべてではない。エントリーシート提出やセミナー・説明会参加のステップを踏まない面接者が増えていると考えられる。インターンシップ参加学生からは、企業からのフォローとして「早期選考会・面接の案内」を挙げる声が最も多くなっているし、年々企業と学生の利用度が高まっている逆求人サイトなど、ダイレクトソーシング経由での応募者の存在である。企業からのオファーから始まる逆求人サイト経由の場合、セミナーや説明会といった「マスの場」に呼ぶのではなく、「個別」に面談を実施することが多い。その結果、面談参加者が応募の意思を示せば、セミナーや説明会を経ることなく、そこからダイレクトに面接に進むことになる。

面接時期は、「山」から「台地」へ

[図表8]面接時期の2年比較

面接を実施した(する予定の)時期をすべて選んでもらい、昨年の2018年卒採用の調査結果と比較してみたのが[図表8]である。3月から7月までは、「前半/後半」の区分も設けている。
気づくことが2つある。1つは、「4月前半」まではすべての時期で前年を上回るとともに、「4月後半」以降は一転して、すべての時期で前年を下回る結果となっていること。特に「3月前半」は、前年(19%)から倍近い(34%)伸びを見せている。前年は「3月後半」が35%だったことを考えると、半月早まっていると言える。
もう1つは、面接時期のピーク(山)がなくなったということである。「3月後半」には早くも4割を超えた後、「4月前半」から「6月前半」までずっと5割前後で推移している。昨年は、「4月後半」から「6月前半」までは6割を超え、他の時期と比較して明らかに「山」を形成していたが、今年はなだらかな「台地」が長く続いた形になっている。昨年、62%の最高ポイントだった「5月後半」は、今年は逆に「台地」の中でもやや凹んで5割を切った時期になっている。

内定出しのピークは「5月後半」

[図表9]内定出しの時期(文系)
[図表10]内定出しの時期(理系)

最後に内定についてのデータを見てみたい。まずは、内定を出した(出す予定の)時期を文系と理系に分けて、前年と比較してみた。
文系を対象とした内定出しの時期では、「6月前半」までのすべての時期で前年を上回っている。特に「4月後半」は、前年よりも10ポイントも伸び、4割に達している。ピークは、
「5月後半」と「6月前半」でともに50%となっている。「6月後半」からは一転して、前年を下回ることが予想されており、内定出しが前年よりも速いペースで出されていたことが分かる。これが、結果的に各社発表の月次の内定率の数字を上げていたわけである。
理系の内定出し時期を見ると、「5月後半」まではすべての時期で前年を上回り、ピークは「5月後半」で前年よりも6ポイント多い55%の企業が内定出しを行っていたとしている。前年のピークだった「6月前半」は2ポイント減少、続く「6月後半」も1ポイント減少しているものの、「7月前半」以降はすべて前年を上回る27〜30%と高い水準で内定出しをすることになると予測している。理系のほうがまだ採りきれていない企業が多いということなのだろう。文系とは傾向が異なる。

大企業でも採用計画数の8割充足企業は4割以下

[図表11]6月下旬現在での内定充足率

採用計画数に対して、現在の有効内定者数(内定辞退者を除く)がどの程度なのかを聞いてみたところ、すでに100%以上に達している企業は大企業で8%にとどまり、逆に中堅・中小企業ではともに17%と、大企業よりも多くなっている。採用計画数が少ないケースでは、充足率が高くなることもありえるので、必ずしも不自然なデータとは言えない。8割以上の充足率で比較してみると、大企業でも37%と4割に満たず、中堅企業で28%、中小企業では24%と、企業規模が小さくなるにつれ、より厳しい状況になっている。
企業規模別で最も割合が多い充足率を見ても、大企業では「80〜100%未満」(29%)、中堅企業では「20〜40%」(24%)、中小企業に至っては「0%(内定者ゼロ)」(29%)となっているなど、企業規模による格差が明白である。

6割近い企業が「新たにエントリーを受け付ける」

[図表12]6月下旬現在の選考状況

現在の選考状況を確認したところ、「すでに選考を終了した」とする企業は、大企業でも18%にとどまり、中堅企業で15%、中小企業で14%となっている。前項で見たように、大企業で充足率が100%以上の企業は8%しかなく、必ずしも採用計画数に達したがための「終了」ではなさそうだ。前項との差分を考えれば、採用計画数が未達でも「終了」した企業は、少なくとも10%(=18%-8%)はあることになる。内定辞退の結果として、採用計画を下回ることになった例もあれば、出した内定数自体が採用計画を下回っていた例もあるだろう。
現在の選考状況で最も割合が多かったのは、どの企業規模でも「新たにエントリーを受け付ける」で、既存のエントリー者を対象とした選考ではコマ数が足らなくなっている現状が明らかになった。その割合は、全体で57%、大企業でも42%、中小企業で61%、中堅企業では62%に達している。企業からすれば、再募集からスタートする必要に迫られているわけであるが、まだ就職活動を続けている学生からすれば、「希望の持てる」数字と言えよう。

【調査概要】

調査名称:【HR総研】「2019年&2020年新卒採用動向調査」
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年6月18日〜6月27日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の採用担当者
有効回答:170件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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