HR総研:「2019年卒学生 就職活動動向調査」(3月調査)結果報告 vol.1就職ナビ2強に割って入る第三極とは

過去2回は2019年新卒採用を企業側の視点で見てきたが、今回から2回は就職活動をする学生の視点で見ていきたい。3月下旬にHR総研が楽天「みん就」と共同で実施したアンケート調査から、今年の学生の意識を探ってみたい。
1回目の今回は、就職したい業界と敬遠したい業界、会社選択時に重視すること、就職活動でアピールしたい自分の能力、許容できる残業時間、最も活用する就職ナビについて見ていきたい。

文系では総合商社が依然「最も就職したい業界」トップ

まずは、「最も就職したい業界」を見てみよう。学生には26業界区分から最大3業界までを選択してもらった。その結果を文理別に昨年と比較してみた。
文系の1位は昨年に引き続き「総合商社、専門商社」で、昨年の17.9%から21.4%へとさらに3.5ポイント増やしている。2位には昨年の4位から2.1ポイント増やした「建設、住宅、不動産」が入り、3位には「情報処理、システム開発」が昨年の11位から3.5ポイント伸ばしている。昨年3位の「地方銀行、信用金庫」、5位の「メガバンク、信託銀行」はそれぞれ4.0ポイント、3.9ポイント減少して8位、11位と後退している。
理系では、昨年3位の「水産、農林、食品」が5.0ポイント伸ばして1位に、2位には昨年と同じく「紙、パルプ、化学、素材」が入り、3位には昨年トップの「情報処理、システム開発」が7.1ポイントも減少しながらもランクインしている。「メガバンク、信託銀行」と「地方銀行、信用金庫」は昨年15位と22位で、両者の間には2.8ポイントの差があったが、今年はともに20位で並ぶ格好となった。

[図表1]最も就職したい業界

メガバンクが外食を抑えて敬遠したい業界のトップに

一方、「最も敬遠したい業界」では驚くべき結果となった。文系では、昨年1位は30.7%の「外食」で、調査開始以来、2位以下を大きく引き離して不動の位置を占めていた。2位には21.5%の「メガバンク、信託銀行」、3位には15.4%の「外資系金融」が続き、「地方銀行、信用金庫」も10位(10.3%)にランクインしていた。今年は、なんと不動の「外食」(24.6%)を抑えて、「メガバンク、信託銀行」が26.4%で1位となり、「地方銀行、信用金庫」も18.3%で3位に上がっているのだ。
理系では、昨年の1位は「外食」(31.0%)、2位には「メガバンク、信託銀行」と「外資系金融」が14.8%で並び、「地方銀行、信用金庫」は9位(10.1%)だった。今年は、上位3業界の順位こそ大きな変動はないものの、1位「外食」(25.8%)、2位「メガバンク、信託銀行」(25.2%)、3位「外資系金融」(22.2%)と、1位の「外食」に2位以下が迫るポイント差となっている。1位「外食」と2位「メガバンク、信託銀行」の差は、わずか0.6ポイントでしかない。「地方銀行、信用金庫」も17.0%と、昨年より6.9ポイントも伸ばして5位へと順位を上げている。これまで人気業界といわれていた「銀行」だが、大幅な従業員削減、新卒採用抑制の報道を受け、今年は大きなターニングポイントを迎えているようだ。

[図表2]最も敬遠したい業界

「若いうちから活躍できる」は魅力にはならず

会社を選択する際の視点を「仕事の魅力」「会社の魅力」「社会的責任の魅力」「雇用の魅力」「採用活動の魅力」の5つに分けて、最も重視するものを選んでもらった。こちらも昨年との対比で見てみよう。
まずは、「仕事の魅力」について。選択肢は、「仕事が面白そう」「スキルが身につく」「若いうちから活躍できる」「海外で働ける」「希望する職種につける」の5者択一だ。
傾向としては昨年と大きくは変わらないものの、若干の変化も見られた。最も多いのは「仕事が面白そう」で変わらないものの、昨年58%から今年53%へと5ポイント減少し、代わりに2位の「スキルが身につく」が昨年の18%から今年22%へと4ポイント上昇している。なお、企業のアピールポイントでよく目にする「若いうちから活躍できる」は、昨年7%、今年8%と、少数派である。「若いうちから活躍できる」は、学生へのアピールポイントとしては魅力に欠けるといえそうである。

[図表3]最も重視する「仕事の魅力」

大手企業志向と同義の「安定している」が依然強し

次に「会社の魅力」について見てみよう。選択肢は、「経営者・ビジョンに共感」「製品イメージが良い」「技術力がある」「安定している」「成長性が高い」の5者択一だ。
こちらも順位では昨年と変わらないものの、ポイントの面では少しばかり変化が見られた。1位は大手企業志向と同義ともいえる「安定している」に変わりはないものの、昨年の34%から4ポイント減少しての30%となり、代わりに3位の「成長性が高い」が昨年の16%から5ポイント伸びて21%になっている。現在の「安定」だけではなく、将来に向けての「成長」を気にする学生が増えてきている。

[図表4]最も重視する「会社の魅力」

「社会貢献」が過半数を突破

次に「社会的責任の魅力」について見てみよう。選択肢は、「事業自体が社会貢献」「法令遵守の姿勢が強い」「地球環境に配慮している」「女性活用の姿勢が強い」「文化・芸術・スポーツ活動に熱心」の5者択一だ。
他の視点と異なり、断トツ1位の項目があるのが「社会的責任の魅力」の特徴である。昨年1位の「事業自体が社会貢献」は48%から8ポイント伸ばして56%と、ついに5割を大きく超える結果となった。近年の若者を語る上で、「社会貢献」は重要なキーワードになっている。自社の事業の価値、社会への貢献度・影響度を丁寧に説明していく必要がありそうである。「事業自体が社会貢献」がポイントを伸ばしたあおりでポイントを落としている項目が多い中で、唯一ポイントを伸ばしたのが「地球環境に配慮している」で、昨年の8%から9%になっている。「環境配慮」も「社会貢献」に通ずる面がある。

[図表5]最も重視する「社会的責任の魅力」

「社風」よりも「福利厚生」を重視する学生

次は「雇用の魅力」で、選択肢は、「教育研修に熱心」「雇用を守る(解雇しない)」「福利厚生がしっかりしている」「年収が高い」「社風・居心地が良い」の5者択一だ。
こちらも順位に変動はないが、ポイントの移動を見てみたい。トップは昨年と同じ「福利厚生がしっかりしている」だが、昨年の41%から5ポイント減少の36%となっている。「会社の魅力」における「安定している」と同じく、「福利厚生がしっかりしている」も大手企業志向に通ずる項目である。2位の「社風・居心地が良い」とのポイント差は5ポイントにまで縮まっている。2017年卒の文系学生の調査結果では、「社風・居心地が良い」が「福利厚生がしっかりしている」を上回る支持を得ていた実績もあり、今後逆転する可能性を秘めている。
「福利厚生がしっかりしている」がポイントを落とした代わりにポイントを伸ばしたのは、「教育研修に熱心」と「雇用を守る(解雇しない)」で、ともに2ポイントの上昇となっている。

[図表6]最も重視する「雇用の魅力」

重視するのは「ヒト」の印象

最後に「採用活動の魅力」について見てみよう。選択肢は、「採用広報のイメージが良い」「セミナー・説明会での説明が詳細でわかりやすかった」「質問・疑問に明確に答えてくれた」「採用担当者と接して好感が持てた」「一般社員と接して好感が持てた」の5者択一だ。
こちらの結果はものの見事に昨年との変化がほとんど見られない結果となった。トップは「採用担当者と接して好感が持てた」で、今年も33%と3分の1の学生から支持され、2位「一般社員と接して好感が持てた」、3位「セミナー・説明会での説明が詳細でわかりやすかった」と続く。「採用広報のイメージが良い」は今年も1割に満たず、「イメージ」よりも実際に学生と接する「人事・社員」といった「ヒト」の具体的な印象が極めて大きいことを再認識させてくれる。

[図表7]最も重視する「採用活動の魅力」

アピールしたい能力は「チームで働く力」と「コミュニケーション能力」

今度は、学生が就職活動でアピールしたいと思う自分の能力について見てみよう。
文系・理系ともに1位は「チームで働く力」(文系:56%、理系:51%)で、いずれも5割を超える。2位も文系・理系ともに「コミュニケーション能力」(文系:49%、理系:47%)で、5割に迫る学生が選択している。3以下は、文系と理系でやや異なる。文系では、3位「適応力」(42%)、4位「目標達成指向」(41%)、5位「前に踏み出す力」(34%)で、ここまでが3割以上のポイントを獲得している。一方、理系を見ると、3位には理系らしく、「論理的思考力」(43%)が入り、以下、4位「目標達成指向」(42%)、5位「適応力」(36%)、6位「考え抜く力」(36%)、7位「前に踏み出す力」(34%)と続き、ここまでが3割以上のポイントを獲得している。選択する個数については制限を設けていなかったにもかかわらず、文系・理系ともに1人あたり平均3.7項目を選択しており、理系のほうが同じ選択肢にアピールポイントが集まる結果となった。
ところで、文系学生の「専攻学問の専門知識」がわずか5%で最下位というのはいかがなものであろうか。最近の学生は授業への出席率が極めて高いという評判を聞いたことがあるが、授業に出ているもののスマホばかりいじっていて、講義はまともに聞いていないというのが現実だということなのだろうか。

[図表8]アピールしたい能力

残業の許容時間は月間30時間まで

働き方改革が議論される中で、学生の意識を探るべく、残業について具体的な許容時間を聞いてみた。まずは、文系と理系での意識の違いを見てみたいと思う。文系、理系ともにトップは「月30時間くらいまでの残業ならいい」で、文系の37%、理系の46%が選択している。通常月であれば、1日平均1時間〜1時間半といったところだ。「残業はないほうがいい」「月15時間くらいまでの残業ならいい」までを合わせると、文系では85%、理系でも77%に達する。逆に言えば、1日1時間半以上の残業を許容する層は、文系では15%、理系でも23%しかいないということになる。社会に出てしまえば、実際にはそれ以上の残業になる会社のほうがまだまだ多く、好むと好まざるとに関わらず、それ以上の残業をせざるを得ないことになるだろう。企業側は、この学生の意識を認識した上で対応する必要がある。かつて、「24時間戦えますか!」などというCMが毎日のように流れた時代があったのは、もはや遠い昔というしかない。

[図表9]許容できる残業時間

理系の活用度では「リクナビ」が再逆転

最後に、毎年熾烈な競争を展開する就職ナビ2強の「リクナビ2019」「マイナビ2019」の動向を確認してみよう。
まずは、複数の就職ナビを活用するのが当たり前になっている中で、それぞれの就職ナビをそもそも活用しているかどうかを確認してみた。 昨年と比較してみると、文系は90〜91%で昨年とほとんど変化はない。一方の理系だが、昨年は「リクナビ」を活用率で凌駕した「マイナビ」が3ポイント落としたことで、僅差とはいえ再び「リクナビ」の後塵を拝する形となった。(左記のグラフは、差を強調するために左目盛の下限が82%となっているので、注意していただきたい。)

[図表10]活用する就職ナビ

就職ナビ2強のポイントを喰ったのは…

活用している複数の就職ナビの中から「最も活用している就職ナビ」をひとつだけ選択してもらったのがこちらのデータである。文系では、「マイナビ」が昨年と同じく47%だったのに対して、「リクナビ」は2ポイント落として37%となり、その分「その他」が2ポイント伸ばして16%になっている。
理系では、昨年は「リクナビ」「マイナビ」が43%で並んでいたが、今年はどちらもわずかにポイントを落とし、「リクナビ」42%、「マイナビ」40%と差がつくことになった。かつて、理系に強いと評判だった「リクナビ」の面目躍如といったところか。ただし、両ナビともにポイントを落としたため、こちらも「その他」が4ポイント伸ばして18%となっている。

[図表11]最も活用する就職ナビ
では、「その他」の中でポイントを伸ばしている就職ナビはどこだろうか。答えは、「みん就」と「OfferBox」である。両社は、いわゆる就職ナビとは趣を異にした、「クチコミサイト」と「逆求人サイト」である。昨年との比較でみると、「みん就」は文系:5%→5%、理系:7%→9%、「OfferBox」は文系:1%未満→3%、理系:1%未満→2%となっている。本設問で注目すべきは、逆求人サイトの「OfferBox」の支持率が、就職ナビ第3位の「キャリタス就活」の支持率と並んだことである。昨今の「ダイレクトソーシング」ブームの中で、逆求人サイトの勢いを感じさせる結果となった。

[図表12]最も活用する就職ナビ(その他3サイト比較)

【調査概要】

調査名称:【HR総研】「2019年卒学生 就職活動動向調査」
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みん就」
調査対象:2019年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2018年3月19日〜3月26日
有効回答:802名(文系:496名,理系:306名)

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