調査レポート

HR総研:「2018年&2019年新卒採用動向調査」結果報告 vol.1
3割近くが2018年新卒採用をまだ継続中

サマーインターンシップから実質的に始まっている2019年新卒採用。ただ、売り手市場の中、2018年新卒採用もまだ終わってはいない。
今回から2回にわたって、新卒採用に関する最新の調査結果を報告したい。まず1回目は、2018年卒採用の現状と、採用担当者の反省の弁をお届けする。

2018年新卒採用を継続している企業は28%
「超売り手市場」「内定辞退の増加」など、採用する企業に不利なワードばかりが目につく2018年新卒採用。12月下旬の時点で、採用活動を継続している企業はどのくらいであろうか。
全体では28%の企業が採用継続中と回答。企業規模別で見てみると、大企業(1001名以上)22%、中堅企業(301〜1000名)33%、中小企業(300名以下)27%と、中堅企業で採用を継続している企業が最も多くなっている。

【図表1:2018年新卒採用の活動状況】
企業規模によって異なる採用活動継続企業の内定充足率
採用活動を継続している企業の内定充足率を見てみると、全体では3分の1以上の36%の企業が内定充足率は「80%以上」であるものの、「50%未満」の企業も33%と同程度の割合となっている。ただし、企業規模別に見てみると、規模によって状況は全く異なる。大企業では、内定充足率「80%以上」の企業が62%に達し、まだ「50%未満」の企業はわずか8%にとどまる。これに対して、中堅企業では「80%以上」の企業は30%にとどまり、「50%未満」の企業が21%、さらに中小企業に至っては、「80%以上」の企業28%に対して、「50%未満」の企業は56%と大きく逆転する。中小企業の厳しい現状が浮かび上がってくる。

【図表2:2018年新卒採用活動継続企業の内定充足率】
採用活動を終了するも計画達成企業はわずか4割
採用活動を終了した企業の内定充足率はどうだろうか。充足率が「100%以上」の企業は、大企業でこそ54%と半数を超えているが、中堅企業は40%、中小企業は37%、全体でも42%にとどまる。充足率「80%以上」となると、大企業では91%にまで伸びる。中小企業でも64%の企業が充足率は「80%以上」ではあるが、その一方で「20%未満」の企業が19%もある。こちらは採用を諦めて、採用活動を終了したということであろう。活動を終了したからと言って、すべての企業が採用計画を達成できているわけではなく、達成の目途が全く立たずに諦めてしまった企業も少なくない。

【図表3:2018年新卒採用活動終了企業の内定充足率】
採用苦戦企業は内定辞退率の高さが原因ではない
採用活動を継続している企業は、採用活動を終了した企業と比べて内定辞退率に違いはあるのだろうか。内定辞退率が高いがために、内定充足率が高まらず、結果的に採用活動を継続せざるをえなくなるのではないかとも考えられるが、結論から言うとそうではなさそうである。内定辞退率を比較してみると、採用活動を継続している企業もすでに終了した企業も大差はない。それどころか、内定辞退率のバラツキを見てみると、採用活動を終了した企業のほうが、内定辞退率が高くなっている。例えば辞退率「20〜30%未満」では、採用活動継続企業が22%なのに対して、採用活動終了企業は15%、逆にそれよりも辞退率が高い「30〜50%未満」はそれぞれ16%と22%となっている。内定充足率の差は、辞退率が原因でないとすると、内定出しの数の差と言うことになる。採用活動継続企業は、採用計画達成のために必要な内定の数を出せていない。「応募者が少ない」、「選考中の辞退が多い」、「採用活動の開始が遅かった」などの原因が考えられる。

【図表4:2018年新卒採用における内定辞退率の比較】
6月に採用活動を終了した企業が最多
採用活動を終了した企業に、終了した時期を聞いてみた。最も多かったのは「6月」で18%、次いで「9月」が17%、「8月」14%と続く。選考活動解禁の「6月」には多くの大企業で内定ラッシュとなったわけであるが、その影響をあまり受けなかった企業が「6月」に採用活動を終了することができた考えられる。「9月」が多いのは、「10月1日」の内定解禁日を区切りとして、採用計画が充足できていなくても採用活動を終了した企業が多かったためである。「9月」までに採用活動を終了した企業は全体で70%に及ぶ。メーカーと非メーカーで比較すると、非メーカーのほうが終了企業の割合が多い。文系よりも採用しづらい理系採用が多いメーカーのほうが苦戦している。

【図表5:2018年新卒採用活動の終了時期】
女性採用がなかなか進まないメーカー
平成28年4月1日に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(通称:女性活躍推進法)では、301名以上の企業に対して、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表を義務付けている。数値目標の指標には、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率などと並んで、女性採用比率が挙げられている。そこで、内定者に占める女性の割合についても聞いてみた。その結果、従業員規模による違いもあるものの、それよりも大きく違いが見られたのが「メーカー/非メーカー」による差である。
女性内定者割合が「50%未満」の企業割合で比較してみると、非メーカーでは大企業53%、中堅企業71%なのに対して、メーカーでは大企業でも80%、中堅企業に至っては95%という状況である。メーカーの採用の中心となる理系では、化学や薬学といった女子学生の多い専攻もある一方、機電系や土木など女子学生がもともと少ない専攻も多い。また、文系採用においても、食品や住宅など女子学生に人気の業種もあるものの、総じてメーカー人気は低いのが現実である。メーカーで女性採用比率を高めるには、ターゲットとなる「リケジョ」を増やす教育変革から始める必要がある。

【図表6:内定者に占める女性割合】
それでも女性採用は増加傾向に
メーカーでは内定者に占める女性の割合は非メーカーに後れは取るものの、女性の採用を増やそうとの努力はしているようである。女性の割合を前年と比較してもらったのがこちらのデータである。どの従業員規模でも最多は「ほぼ前年通り」で、大企業では約5割、中堅企業でも約4割に及ぶ。ただ、増減の比較でみると、全体でも「前年よりも少ない」とする企業21%に対して、「前年よりも多い」企業は30%と、「前年よりも多い」企業のほうが多くなっている。「前年よりも少ない」とする企業は、大企業に限ればメーカーで14%、非メーカーでは10%でしかない。一方の「前年よりも多い」は、メーカーで27%、非メーカーでは40%に達している。メーカーも女性採用を増やそうとする姿勢が十分にうかがえる。
ただ、中堅企業となるとやや状況が異なる。メーカーでは「前年よりも少ない」と「前年よりも多い」のどちらも32%で拮抗している。中堅メーカーでは「前年よりも少ない」企業の割合が突出して多くなっているのが気になる。女性採用に消極的ということではないのだろうが、もともと人数が少ない理系女子を大企業に採られてしまい、結果的に採用ができていないということか。

【図表7:内定者に占める女性割合の対前年比】
早期化、インターンシップの活用、選考期間の短縮化を挙げる企業が多い
最後に、2018年新卒採用を振り返っての反省の弁を紹介しよう。

【大企業】
・学生との接触頻度をもう少しあげておくべきだったと感じる。(サービス)
・インターンシップでは実務体験を主体にしてきたが、「働き方」「職種」「職場」の魅力を伝える内容に変えた方が良かった。(メーカー)
・エントリーから選考終了までの時間を短縮し、他社に先行して内定を出されるケースを減らす必要があった。(メーカー)
・開始時期はもっとはやくすべきだった。4月に2次選考をした時にはすでに他社の3次や最終とかぶって、辞退をされた。(メーカー)
・もっと色々なチャネルを活用し採用してみたかった。(メーカー)
・3月以前の早期接触数を増やすべきだった。(情報・通信)
・内定を1、2社もらって就活を終える学生が多いが、業界研究、企業研究は不十分なまま終える学生の割合が高いように思う。もう少し活動を早期化すれば良かった。(商社・流通)
・内定を複数持っている学生がなかなか結論を出さないケースが多かった。もう少し早く決断させるために、先輩社員や経営陣のフォローの機会を増やした方が良かった。(商社・流通)

【中堅企業】
・インターンシップを行い、早くから学生との接点を持ったり、動きを注視してアクションを起こしたりしていくべきだった。(サービス)
・もっと早期からの活動が必要だった。予算は限られていたが、各地での合同企業説明会などに積極的に参加できればよかった。(サービス)
・当社のアピール・ポイントを表しきれず、期待した人間の取り込みに失敗したケースもあった。とくにホームページでの先輩の姿や会社体質(ホワイト企業・準なでしこ銘柄、他)をもっとアピールすべきであった。(サービス)
・構築化面接を開始すべきだった。来年度から所定質問を3つ設定し、回答を記録することで後々のデータ解析に使用する。(サービス)
・あえていうなれば、技術系採用における新規の研究室の開拓が進まなかったこと、また女性の学生に対するアプローチにも工夫の余地があった。(メーカー)
・予想していたより他社の内定出しのスピードが速かったため、選考辞退が多くなってしまった。選考開始から終了までの期間を短くなるよう、もう少し調整したかった。(メーカー)
・大学とのパイプをもっと構築していればよかったと思う。加えて、3月解禁前に、もっと企業の事を学生にアピールできていれば、接点を持っていれば、と思う。(メーカー)
・インターンシップ実施による早期からの学生との接点形成です。
重要性は認識していましたが、もう少し工夫の余地がありました。(メーカー)
・1DAYのインターンシップの回数をもう少し増やしたほうがよかった。(商社・流通)
・内定応諾の期間を長く待ち過ぎた。内定有効期間をもっと短くして、第2弾・第3弾への切り替えをもっと早く行えるようにしておけば良かった。(商社・流通)
・選考日程が間延びし、予定以上にフェーズごとの辞退率が高かったため、シッカリ過去データを分析し、問題点の改善をいれるべきだった。(情報・通信)
・これだけ売り手市場になった以上、中小企業は大手企業の採用内定が一巡するまではじたばたしても始まらないように思います。(情報・通信)

【中小企業】
・書類選考だけで落とさずもう少し多くの人と面談をした方がよかった。(サービス)
・中途採用との人員バランスを考えずに、しっかりと新卒で取り切るという指針を明確に出すべきであった。(サービス)
・会社説明会をもう少し早い時期に実施すればよかった。(3月中旬頃スタートしたが、2月開始でもよかったかも)(メーカー)
・即戦力人材の採用が難しいので、今後はインターンに力を入れていきたい。(メーカー)
・インターン参加者の採用が半数を占めていたので、もっとインターンの回数を増やしていればよかったと思います。(メーカー)
・早期(2016年内)のイベント参加等学生接点を持つ施策は実施したものの、選考自体は2017年1月からの開始となって、イベント&接触後にタイムラグが発生した。受け皿となるインターンもしくは選考も、より早期に開始すればよかった。(情報・通信)
・面接官、先輩面談者との意思連携が出来ていなかったこと。各々が学生へ向けて良いと思うことをしていたが、選考時に学生へ伝えることの共有が出来ていないために同じ対応が目立ち、学生の意欲の底上げをできなかったことが、辞退率にも響いていたように感じる。(情報・通信)
・計画時期がかなり遅れ、母集団形成時期も遅くなってしまった。
その結果、優秀層へのアプローチが出来なかった。(情報・通信)
・目的なく母集団を増やすのではなく、ある程度業界知識を持っている学生の集客を向上すべきと感じた。(商社・流通)
・内定辞退と、最初の出会いのときに志望度の見際目を、もっと論理的思考で確認する仕組みをつくるべきだった。(運輸)
・もっと早期に選考を開始し、内定を早く出せば良かった。(金融)
【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】2018年&2019年新卒採用動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2017年12月18日から12月21日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び非上場企業の新卒採用担当者
有効回答:196件

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