旺盛な企業の採用意欲を背景に、学生の「売り手市場」が続く2018年卒学生の就職活動の状況を2回にわたって報告する。1回目の今回は、就職意識とインターンシップ、プレエントリーの状況、そして毎年恒例の「最も活用している就職ナビ比較」を紹介する。
調査対象は、楽天「みんなの就職活動日記」会員である。

文系の1位は僅差で伊藤忠商事

この時期、就職ナビ各社から「就職人気企業ランキング」が発表されるが、弊社では今年初めて少し趣の異なった企業イメージ調査を実施してみた。それが、自分の就職希望や興味関心とは全く関係がない、「優秀な学生が入社するイメージの企業ランキング」である。「優秀な学生しか内定が取れないイメージの企業ランキング」と言ってもいいかもしれない。
まずは文系ランキングから見てみよう。
1位は「伊藤忠商事」だが、わずか2票差で「電通」が猛追している。3位の「三菱商事」とは40票以上の差があり、この2社が群を抜いている。
選択した理由を見てみると、
・周囲の優秀な知人友人がこぞって、伊藤忠の説明会に足を運んでいたから
・大手の中でも有名で、商社は東大京大早慶上智の人が採られるというイメージがあるから
・選考が難しいと聞いたから
・総合商社ということで速い頭の回転と言語能力の高さが求められるため
・大手商社は優秀な人が内定するイメージが強いから
など、「大手総合商社=優秀」というイメージの学生が多い。かつてであれば、「三菱商事」「三井物産」が先に名前が挙がるところであるが、近年の業績が明暗を分けた形になっている。

2位の電通に対しては、
・高学歴の人ばかりを採用していそうだから
・関東圏の大学生はみなここを志望しているイメージがあるので
・学歴重視で成績優秀者が多いことに加え、創造性も必要とされる会社というイメージがあるため
中には、
・亡くなった高橋さんが東大出身で、そんな人でも追い込まれるような環境があると感じたから
・東大の人がいたけど、残業詰めで自殺したニュースを見たため
と、昨年から大きく取り上げられているニュースを理由に挙げる学生も少なくない。

[図表1]優秀な人が入社するイメージの会社ランキングTOP20(文系)

理系の1位は電通

理系では、「伊藤忠商事」と「電通」が脚転して、「電通」がトップ。選択理由はいずれも文系とさほど変わらない。
3位には「三菱東京UFJ銀行」がランクイン。同率4位には、「全日本空輸」「三菱商事」と並んで、「トヨタ自動車」「野村総合研究所」という理系らしい企業が顔を出している。「トヨタ自動車」の理由を見ると、
・倍率が高い,世界トップ企業
・世界ナンバーワンの自動車企業だから
・最も世界に通用しそうなイメージなので
・トヨタが世界的にも大きい企業だから
と、「世界」企業であることを挙げる学生が多い。
野村総合研究所の選択理由は、
・インターンに応募する際にも文章力、志望度を問うような試験があるから
・企業の説明会や座談会に参加して、社員の人が優秀だと感じたから
・とても論理的で頭の良い学生が受かるイメージ
・優秀な先輩が入社したため
など。

[図表2]優秀な人が入社するイメージの会社ランキングTOP20(理系)

より大手志向が鮮明に

次に、思慕する企業規模から大手志向の学生の割合を確認しておこう。参考までに、昨年のデータと比較できるように並べてみた。
「絶対に大手企業」「できれば大手企業」とする学生の合計を「大手志向」と考えると、2017年卒文系では55%だった大手志向は、18年卒文系では58%に、17年卒理系では59%だった大手志向は、18年卒理系では64%へと拡大している。中堅・中小企業、BtoB企業、流通・外食などの採用苦戦企業は今年さらに厳しい戦いを強いられそうである。

[図表3]志望する企業規模

1日2時間の残業も「ノー!」

電通の過労自死事件を契機に推し進められている長時間労働の是正問題。「働き方改革」がいつの間にやら「長時間労働の抑制」にすり替わってしまっていることに違和感を覚えないでもない。さて、就活生に対して残業時間に関する意識調査をしてみた。
最も多かった回答は、「月30時間程度まで(の残業であれば構わない)」で文系、理系ともに半数前後に及ぶ。次いで多いのは「残業はない方がいい」で、文系では26%にも及ぶ。この2つを合わせると、実に4分の3の学生が「月30時間程度以下」を望んでいることになる。残業を奨励するつもりもないが、入社前から消極的ではないだろうか。
ちなみに、「月100時間超でも構わない」とする学生は、文系ではわずか1%という結果になった。

[図表4]残業時間に関する意識

6割の学生が複数社のインターンシップに参加

インターンシップへの参加状況を聞いたところ、文系、理系ともに似たような傾向となった。インターンシップに参加していない学生は、文系、理系ともに24%。逆に言えば、4分の3の学生は、何がしかのインターンシップに参加していることになる。
1社しかインターンシップに参加していない学生は2割もなく、2社以上のインターンシップに参加した学生が6割近くにもなる。「4社以上」のインターンシップに参加した学生が、文系では3割以上、理系でも4分の1もいる。インターンシップに参加した企業の比較もされるだろうから、インターンシッププログラムの内容においても他社との「差別化」が求められる。

[図表5]インターンシップ参加回数

インターンシップ参加のピークは2月

かつてはサマーインターンシップがピークであったが、採用スケジュールの解禁日が12月から3月に変更となって以来、ピークは8月から2月へと変わった。活動の開始が遅かった学生も参加するということもあるが、企業側のプログラムが「1週間」から「半日・1日」へ変わり、受け入れ人数が大幅に伸びていることも大きい。体験型よりもセミナーまがいなインターンシップが横行しているのが実情である。
8月にインターンシップに参加した学生は、文系42%、理系39%に対して、2月は文系で56%、理系では59%にも及ぶ。「12月」「1月」も文理ともに30%以上をキープしており、サマーインターンシップの「9月」にひけをとらない。

[図表6]インターンシップ参加月

圧倒的に1Dayが多い2月

8-9月のサマーインターンシップと、1-2月のウィンターインターンシップで、開催されるプログラムの内容を比較すると、サマーインターンシップでは「1日」だけでなく、「2〜3日程度」「1週間程度」も3〜4割くらいあるのに対して、ウィンターインターンシップでは「1日」タイプが74%と圧倒的で、「2〜3日程度」は22%、「1週間程度」は15%、「2週間程度」に至っては1%しかない。
経団連は、2019年卒向けのインターンシップにおいて、「5日間以上」としていたこれまでの規制を撤廃し、「1日」タイプも認めることにした。今年はサマーインターンシップから、さらに「1日」タイプが伸びることは必至である。

[図表7]参加したインターンシップタイプの比較

昨年よりも減少傾向の文系学生のプレエントリー

就職ナビの正式オープンから約1ヶ月時点でのプレエントリー社数の比較を昨年同時期調査のデータと比較してみた。まずは文系であるが、「81社以上」にプレエントリーした学生の割合が微増しているものの、その他では「20社以下」および「0社」が増えているだけである。「21社〜80社」では軒並み昨年よりも減少しており、全体的には減少傾向にあると言える。インターンシップに参加した企業からは、プレエントリーの有無に関係なく声がかかることもあるし、就職ナビの正式オープン前から業界・企業の絞り込みを済ませている学生が少なくない。

[図表8]プレエントリー数の昨年比(文系)

大量プレエントリー層が微増の理系

続いて理系のプレエントリーの状況を確認すると、「0社」が増えているのと、「81社以上」もわずかながら増えている。ただし、その分「1〜20社」「41〜60社」「61〜80社」は軒並み下げている。全体的には微減傾向になっているものと推測されます。


[図表9]プレエントリー数の昨年比(理系)

文系では「マイナビ」リードも、理系では「リクナビ」も譲らず

最後に、学生の就職ナビの支持状況を見てみよう。
活用している就職ナビを複数選択方式で回答してもらうと、文系では「マイナビ」91%、「リクナビ」90%とほぼ拮抗する形なったが、択一方式で「最も活用している就職ナビ」はどれかを聞いてみると、「マイナビ」47%に対して、「リクナビ」は39%と差が開いている。情報掲載企業数では、「マイナビ」よりも7000社以上も多い「リクナビ」だが、情報掲載数の多さだけでは学生の支持を集められないということである。全掲載企業の半数近くが100人以下の中小企業であることも影響しているのかもしれない。
一方、理系の結果を見ると、複数選択式では「マイナビ」86%に対して「リクナビ」89%と、「リクナビ」がリード。理系に強い「リクナビ」の面目躍如といったところか。ただ、択一式の「最も活用している就職ナビ」では、「マイナビ」「リクナビ」ともに43%で並んだものの小数点以下まで比較すると、ほんの僅差で「マイナビ」に軍配。

[図表10]最も活用している就職ナビ

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みんなの就職活動日記」
調査対象:2018年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2017年3月21日〜3月29日
有効回答:1,026名(文系:661名,理系:365名)