「2017年新卒採用 選考解禁後の動向」調査結果【2】今年も内定保有率の大学格差は激減

選考解禁日が8月1日から6月1日に2カ月間の前倒しとなり、採用広報期間が短期化した2017年卒採用。前年と比べて何が起こっているのか、企業の新卒採用担当者調査、学生の就活動向調査の両データから読み解く4回シリーズ。
第2回目は、面接時期、内定出し時期、内定充足率、学生の内定保有数などの動向を見てみよう。

面接のピークは5月後半〜6月前半

【企業】
まずは、面接を実施した時期から見てみると、ピークは「5月後半」「6月前半」がともに65%で、ここが面接のピークとなっている。次いで、その前後にあたる「4月後半」「5月前半」「6月後半」が55〜57%で並んでいる。「4月前半」で4割以上、「3月後半」ではすでに3分の1の企業が面接を実施しており、採用広報解禁から1カ月もたたないこの頃から、早くも選考が本格化していることがわかる。

【図表1】面接実施時期

文系学生への内定出しは「6月前半」がピーク

【企業】
次に、文系学生に内定を出した(出す予定)時期を見てみる。「4月後半」までは2割を切っているが、「5月前半」には27%、「5月後半」には40%の企業が内定を出している。面接同様に、ピークは「6月前半」「6月後半」で、49%、48%とほぼ半数の企業がこのタイミングでの内定出しを行っている。「7月」以降にも内定を出す予定の企業は30%台に減少している。内定をほぼ出し終えた企業もあるだろうが、これから新たな学生を掘り起こすところからリスタートする企業も多そうだ。そのため、内定出し時期を特定できないということが考えられる。

【図表2】文系学生に内定を出した(出す予定)時期

早いペースで内定出しが行われる理系

【企業】
理系学生に対しては、文系学生よりも早いペースで内定出しが行われている。「4月後半」の段階で内定出しをしている企業はすでに3割に到達しており、「5月前半」36%、「5月後半」48%と推移した後、「6月前半」54%、「6月後半」52%とピークを迎えることになる。6月のピークの山が文系よりも高く、「7月」以降は文系よりもわずかではあるが低いところからも、文系よりも早いペースで選考を進めていることがわかる。

【図表3】理系学生に内定を出した(出す予定)時期

内定充足率8割以上の企業は4分の1

【企業】
6月下旬自点での採用計画数に対する内定者数の割合(内定充足率)を聞いたのがこちらのデータだ。まだゼロだという企業が19%、「20%未満」と「20〜40%未満」がともに11%と、充足率4割以下の企業で4割を超える。計画数以上の内定者(100%以上)をすでに囲っている企業は全体の1割程度しかない。8割以上の充足率の企業で全体の4分の1しかない。

【図表4】内定充足率(全体)

内定充足率40〜60%が多い大手企業

【企業】
内定充足率を従業員規模別で確認してみると、大企業で最も多いのは「40〜60%未満」で31%、次いで「80〜100%未満」の22%と続く。充足率が8割以上の企業の割合は、32%の大企業がもっとも多いが、中小企業でも23%と9ポイントほどの差しかない。従業員規模別に見て大きく異なるのは、内定者がゼロの企業の割合である。大企業6%、中堅企業14%、中小企業28%と規模が小さくなるにつれ、倍倍ゲームで増えていく。大企業の採用活動が落ち着くのを待って、選考を本格化する中小企業も今年は多そうだ。昨年は8月選考解禁であったため、大企業の選考が落ち着くのを待っていられないと、中小企業の多くがそれよりも早く選考を実施したものの、結局内定辞退に悩まされることとなった。2カ月前倒しとなった今年は、再び大企業の後から選考する道を選択した中小企業が増えてきたようである。

【図表5】内定充足率(従業員規模別)

昨年の8月よりはペースの遅い学生の内定取得状況

【学生】
今度は学生側の調査から、選考解禁後約1カ月の6月下旬時点での内定保有社数を昨年のデータ(選考解禁のあった8月下旬調査)と比較してみる。まずは文系から。「内定ゼロ(0社)」という学生の割合は昨年の14%から20%へ、「1社」という学生の割合は昨年の28%から32%へと増加している。逆にいえば、昨年は面接選考解禁1カ月の時点で6割近い学生が2社以上の内定を持っていたのに対して、今年の学生は5割以下にとどまる。選考時期を遅らせた中堅・中小企業の影響が出ているといえる。

【図表6】文系学生の内定保有社数(2年比較)

大学クラスによる内定保有率の格差は少ない

【学生】
内定保有社数を大学クラス別に比較したデータがこちらである。内定を2社以上保有している学生の割合は、「旧帝大クラス」や「上位国公立大」でも55%、57%で、「中堅私立大」の57%と変わらない。「その他私立大学」の学生こそ36%と、他の大学クラスと比べるとその割合は少なくなるが、これは地方学生の締める割合が高くなるためである。大企業を除けば、6月選考解禁を守ろうとする企業は、都市部ではなく、地方に多い特徴がある。

【図表7】文系学生の内定保有社数(大学クラス別)

大学格差が大きかった2015年卒採用まで

【学生】
学生の選考解禁日から約1カ月の時点での内定保有社数調査を3年分並べてみた。「2015卒」は倫理憲章時代のデータであり、「12月 採用広報解禁、4月 採用選考解禁」が採用スケジュールである。この当時は、4月の大企業の選考が落ち着くのを待って活動する中堅・中小企業が多く、解禁1カ月の時点では大企業の内定者の割合が高かったものである。従って、「旧帝大クラス」「早慶クラス」と「中堅私大クラス」「その他私立大学」を比べた場合、内定保有率において40ポイント近い差がついていた。それが昨年や今年の「8月 採用選考解禁」「6月 採用選考解禁」となると、中堅・中小企業でも早くから選考活動を展開する企業が増え、「中堅私大クラス」も上位校とさほど変わらない内定保有率となっている。

【図表8】文系学生の内定保有率(3年比較)

理系も文系と傾向は同じ

【学生】
続いて理系の状況である。文系よりも選考ペースの早い理系では、数値こそ文系とはやや異なるものの、全体傾向はこれまで見てきた文系と同じである。


【図表9】理系学生の内定保有社数(2年比較)
【図表10】理系学生の内定保有社数(大学クラス別)
【図表11】理系学生の内定保有率(3年比較)

内定先企業の従業員規模では、依然として残る大学格差

【学生】
内定保有社数の観点では、あまり大学格差は見られなかったが、内定先企業の従業員規模まで深掘りしてみると、依然として大学格差は残っていることがよくわかる。わかりやすいように、大学クラスごとに内定先企業の割合を並べてみたので、そのバランスを比べてみてほしい。
こちらは文系学生のデータである。「旧帝大クラス」や「早慶クラス」では、「5,000名以上」の超大手企業から最も多くの内定を取得しているのに対して、「その他私立大学」では「5,000名以上」だけでなく、「1,000〜5,000名」規模の企業からの内定も激減している。

【図表12】文系学生の内定先企業規模(大学クラス別)

理系も同様

【学生】
こちらは理系学生のデータである。「その他私立大学」でも「1,000〜5,000名」規模の企業からの内定は多い。メーカーは現業職の割合が多く、従業員規模は大きくなりがちであることと、文系よりも採用難であるため、大企業でも採用大学の幅は広い。ただし、「5,000名以上」の内定保有状況で比べてみれば、理系でも大学格差は歴然としている。

【図表13】理系学生の内定先企業規模(大学クラス別)

【調査概要】

■企業調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の新卒採用担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2016年6月22日〜6月29日
有効回答:149社

■学生調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査協力:楽天「みんなの就職活動日記」
調査対象:2017年卒の大学生・大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2016年6月22日〜6月29日
有効回答:1,355名(文系:803名、理系:552名)