前回に引き続き、3月下旬時点での企業の採用動向を振り返ってみる。今回は、面接時期、内々定時期、そしていつ採用活動を終了しようと考えているのかを見てみる。

選考解禁後にも3分の1以上の企業がセミナー・説明会を開催

経団連の指針では、会社説明会・セミナーの解禁は3月1日であるが、実際にはITベンチャーをはじめ、それ以前から説明会・セミナーを実施している会社もある。自社の個別企業セミナーを開催する時期を聞いたものがこちらのデータだ。
個別企業セミナーが最も多く開催されるのは4月で57%、僅差で3月が56%で続く。3月は学内企業セミナーやナビ会社による合同企業セミナーなど、就職ナビによるプレエントリーと合わせて、母集団形成の時期とする企業が少なくない。解禁前の2月にセミナーを実施した企業が17%あるなど、早期から接触する企業があることがわかる。なお、ここではインターンシップは含まれていない。
選考解禁の6月以降にもセミナー・説明会を予定している企業が3分の1以上ある。

[図表1:個別企業セミナー・説明会開催時期]

6月の選考開始を順守する企業は2割

次に、面接選考をいつから開始するかを聞いたデータがこちらである。2月までに面接を開始している企業が1割以上あるのをはじめ、6月の面接選考解禁を待たずして面接選考を開始する企業が79%にも達する。中でも多いのは、「4月」に面接を開始する企業の28%、次いで「3月」が21%、「5月」が19%で続く。
面接選考解禁が8月だった昨年よりも、当然のごとく前倒しとなっている。企業の採用意欲は依然として高く、優秀人材の採用のための危機感は強く、早期化に拍車がかかる。

[図表2:面接選考開始時期(全体)]

選考開始時期が大きくばらける中小企業

企業規模別に見てみると、面接選考開始時期は大きく異なる。大企業では「6月」とする企業も24%あり、面接開始時期は「4月」26%、「3月」と「5月」が21%と、この4カ月はほぼ均等に分かれる。
開始時期が最も分散しているのが中小企業で、「6月」とする企業は8%にとどまる一方、「2015年10月以前」から選考を開始する早期活動企業が8%、逆に大手の選考が落ち着く「7月」以降に選考を開始する企業が13%もある。

[図表3:面接選考開始時期(企業規模別)]

企業規模で大きく異なる「グループディスカッション」の導入率

選考で実施される面接のタイプを聞いてみた。最も多いのは「個人面接」で94%の企業で導入されている。「グループ面接」の導入企業も多いと思われがちだが、40%にとどまる。
「グループディスカッション」は全体では18%にとどまるが、大企業だけに限ると38%の企業で導入されている。中堅企業20%、中小企業9%と、企業規模により導入状況に大きな差がある。

[図表4:導入している面接タイプ]

中堅・中小企業には面接1回だけの企業も

内定までの面接回数についても聞いてみた。まずは文系について見てみよう。全体で最も多いのは「3回」で43%、次いで「2回」が41%で続く。中小企業では面接は「1回」だけという企業が8%、中堅企業でも5%ある。大企業では「1回」という企業はない。逆に面接回数「4回」以上の企業が2割と最も多くなっている。

[図表5:内定までの平均面接回数(文系)]

大企業でもある、面接「1回」で合否を決めてしまう企業

次に理系の平均面接回数を見てみる。全体では「2回」が45%で最も多く、「3回」は40%となっている。
企業規模別に見てみると、中堅・中小企業では「2回」が最多であるものの、大企業では「3回」が最多となっている。文系では「1回」の企業がなかった大企業であるが、理系では「1回」の企業も2%とはいえ存在する。推薦応募しか受け付けない企業では、「1回」の面接で決めてしまうことも大いに考えられる。「4回」以上という大企業は、文系の20%よりは少ないものの17%もある。

[図表6:内定までの平均面接回数(理系)]

「サイレント」の企業は13%

合格者にだけ連絡をして、不合格者には何の連絡もないことを学生は「サイレント」と呼んでいる。今回初めて、面接選考における「サイレント」の状況を確認してみた。結果は、「合格者のみに連絡する」企業は13%に。企業規模別に見ても、大企業12%、中堅・中小企業13%とほとんど差はない。

[図表7:面接不合格者への連絡の有無]

過半数の企業が5月までに内々定出し

内々定出しをいつから開始するのかを聞いたデータがこちらである。全体でも最も多いのは「6月」の30%で、次いで「5月」22%、「4月」20%と続く。「3月」は4%と少ないが、「2月」以前に内々定を出し始めた企業を合計すると9%となる。「2015年10月以前」とする企業が5%もあるのに驚く。インターンシップからそのまま選考につなげてしまう例であろう。
「5月」までに内々定を出し始める企業の合計は55%と過半数となる。

[図表8:内々定出しの開始時期(全体)]

大企業では半数の企業が内々定出しは「6月」以降

内々定出しの開始時期を企業規模別に見てみよう。経団連加盟企業が多い大企業では、「6月」とする企業が43%、「7月以降」とする企業の7%と合わせれば、半数の企業が内々定出しは「6月」以降としている。中堅企業で内々定出しを「6月」以降とする企業は46%、中小企業では41%となっており、大企業の選考結果を待たずに内々定出しを始めると回答している。特に中小企業では、「2月」まで内々定出しを始める企業が18%と2割近い。「7月以降」とする割合も中小企業が20%で最も多い。面接選考開始時期が分散していたことに連動している。

[図表9:内々定出しの開始時期(企業規模別)]

年越しを覚悟する企業が2割以上

17卒採用活動をいつ終了する予定なのかを聞いてみた。全体で最も多かったのは、意外にも「2017年1月以降」で21%におよぶ。次いで「8月」16%、「6月」15%、「7月」「9月」がともに13%で続く。「10月」は6%と「9月」から半減する。大企業の内々定出しがピークとなる6月には、先行していた企業での「内定辞退」が大量発生することが予想され、採用活動の再開を迫られる企業も少なくないと予想される。
「10月1日」の内定式解禁日までには採用活動を終了したいと考えている企業が65%と、約3分の2の企業となる。

[図表10:2017年卒採用活動の終了時期見込み(全体)]

大企業も苦戦を覚悟

企業規模別にも見てみよう。「2017年1月以降」とする企業は、苦戦を覚悟する中小企業が24%で最も多いが、大企業も21%と多くなっている。16卒採用で苦戦した企業は、17卒採用でも同様なことを覚悟しているようである。
「8月」までに終了見込みの企業は、大企業が62%なのに対して、中堅・中小企業では49%と10ポイント以上の差がついている。

[図表11:2017年卒採用活動の終了時期見込み(企業規模別)]

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の新卒採用担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2016年3月23日〜3月31日
有効回答:215社(1001名以上:42社、301〜1000名:69社、300名以下:104社)