「キュレーション(Curation)」とは、インターネット上の情報を、特定の視点を持って収集、選別、編集することで新しい価値を持たせ、それを共有することを意味する言葉。

もともとは、芸術分野の専門知識を持ち、美術館や博物館で研究などを行う学芸員や、展覧会で展示する作品の企画から運用までを請け負う職業を意味するキュレーター(Curator)から派生したWeb業界用語です。キュレーションを行う人をキュレーターと呼びますが、彼らのことをわかりやすく言えば、インターネット時代に求められる、情報の目利き役のことです。

キュレーションが注目されるようになった背景にあるのは、インターネット上で大量の情報があふれかえる状況に、TwitterやFacebookなどのSNS台頭によるソーシャル化、モバイル化が拍車をかけ、玉石混淆の情報の海の中から欲しい情報を見つけようとすると、相当な労力を要するようになったこと。そこで、自分が欲しい分野の有益な情報だけに簡単に短時間でアクセスするニーズが生まれ、多種多様なテーマに沿って情報を収集、選別、編集したキュレーションサイト、あるいはキュレーションメディア、キュレーションサービス、まとめサイトとも呼ばれるものが次々に登場してきました。

その中で、IT大手のDeNAが提供する医療キュレーションサービス「Welq」が、不適切な記事が多数掲載されていたとしてサイト休止に追い込まれ、メディアで大きく報道されるという出来事がありました。問題とされたのは、掲載された記事の中に医学的根拠が不確かな情報や、著作権上の問題がある、他サイトの記事のいわゆるコピペが多数含まれていたことでした。

もちろん、こうした問題を起こすことは許されませんが、キュレーションという手法そのものには多様な可能性があります。例えば、キュレーションによってつくられたコンテンツをマーケティングに活用し、見込み顧客の獲得や育成に役立てようという取り組みも活発になっています。今後、ビジネスのさまざまな分野で、キュレーションを取り入れた新しい動きが出てくるかもしれません。