「SQ」とはSocial Intelligence Quotientの略で、「社会的知性」「社会的知能」などと訳されます。EQ(Emotional Intelligence Quotient)を発展させた概念であり、「社会性、社交性、コミュニケーション能力など、社会生活を営む上で欠かせない知的能力や資質の総称」とされています。

SQという言葉は、1920年頃、アメリカの心理学者 エドワード・ソーンダイクが使い始めたもので、当時からその定義は「人々を理解し管理する能力であり、人間の世界でうまく生きていくために誰もが必要とするスキル」とされていました。

しかし、この定義には他人を利用して自分の利益を得る能力・スキルというニュアンスが含まれていることから、同じアメリカの心理学者 ダニエル・ゴールマンが、脳科学や心理学の最新の研究成果を取り入れ、2007年に新たに提唱したのが、現在のSQの考え方です。

ちなみに、ダニエル・ゴールマンはSQの前身となったEQの概念を世界的に広めた人物でもあります。

SQはリーダーに必須のものと考えられています。実際、ゴールマンの研究によると、SQの高いビジネスリーダーと低いビジネスリーダーでは、業績に大きな差が生じたとのことです。

では、SQが高いリーダーとはどのような人でしょうか。高い業績をあげているリーダーは部下たちの笑いを引き出す回数が、平均的なリーダーよりも多いという研究結果があります。

これはミラー・ニューロンという、脳内で分泌される化学物質が関係しています。フレンドリーで部下の笑いを引き出すのが上手な上司の元では部下のミラー・ニューロンの分泌が活発になり、不愛想で部下の笑いを引き出すのが苦手な上司の元では、部下のミラー・ニューロンはあまり分泌されません。

ミラー・ニューロンは他者を模倣する鏡のような役割を果たす物質です。つまり上司が明るく笑顔が絶えない人であれば、その部署も明るく笑顔が絶えない部署になるということです。明るい部署と暗い部署──やはり明るい部署の方が一体感が増し、業績も良くなりそうです。