「女性従業員は、出産を機に退職」ということがまだまだ多いのではないか。
もちろん「辞めたい。」というのを会社は止められないかもしれないが、(出産を理由に会社が解雇するのは違法)社員を新たに雇うよりも、勝手を分かっている従業員の方が会社もいいはず。この出産前後に所得補償として社会保険から給付が行われることを知っている人も多いだろう。
出産予定の従業員に対して、会社がすることは何か?

 これが「出産手当金」だ。金額は1日当たり、標準報酬日額(おおよそ1日の給料)×2/3で産出される。これは健康保険から出されるので、女性従業員が健康保険に入っていることが要件になる。
 給付の期間は、原則、出産予定日以前6週間から出産日後8週間まで休んだ日に対して給付する。この「給料(おおよそ)×2/3」だが、働いていないので、会社も従業員も雇用保険料は掛からない。また、この4月から社会保険料(健康保険保険料、厚生年金保険料)も申請することで掛からなくなる。

 この4月だが、4月30日(4月末)で産後休業が終了する従業員から対象(この場合4月分1月は免除)で、残念ながら4月29日で終了する従業員は対象外になる。
 ここで、免除になるからといって、その期間、健康保険証が使えなくなったり、将来の年金額が減る訳ではない。払っているものとして扱われる。そしてこの免除は、会社が申し出をすることが要件になる。会社が申し出をすることによって会社負担分、従業員負担分の両方共を払う必要がなくなる。ただ、申し出は産前産後休業したらすぐにする必要はないが、休業が終わった後はできないので、注意が必要だ。

 同様の社会保険の免除制度は育児休業にもある。ちなみに育児休業期間中(原則、子が1歳まで)は雇用保険からおおよそ、休業期間中、給料の半額の給付を行う。これは「育児休業給付金」。
 社会保険に加入している従業員は、産前産後休業期間中、育児休業期間中、社会保険は掛からず、従業員としての身分が保証される。また、この期間中、雇い続けた一定の会社には助成金の対象になる場合もある。会社にとっては、特に出費がなく、場合によっては、お金がもらえる。

 出産したら会社を辞めようと思っている女性従業員に伝えてみてはいかがだろうか。


京浜労務コンサルティングオフィス 宮澤 誠

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