パワハラと“嫉妬”

日本レスリング協会のパワーハラスメント(以下、パワハラ)問題が、世間を賑わせている。もちろん当事者にしかわからないことばかりだが、報道によると、選手や後任のコーチに対する「嫉妬」が原因の一つではないかと思われる。企業においても、パワハラ(パワハラに限らず、ハラスメント行為すべて)は、大きな問題になっている。以下、職場のパワハラの原因になりうる「嫉妬」について検討してみたい。

パワハラの定義

改めてパワハラという言葉の定義を確認すると、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」となっている。パワハラが起こる原因は様々であり、一概には言えない。しかしながら、パワハラを助長する要素としては、「欲求不満状態」と「背景となる体験」があると言われている。

嫉妬と欲求不満の関係

マズローによると、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されるという。(「マズローの欲求5段階説」下図参照)パワハラの原因となる嫉妬が、欲求不満から発生・助長されると考えると、「承認欲求」「所属欲求」との関連性が高いことがわかる。

欲求不満の背景

嫉妬含め感情の動きは、自身の過去の体験やプライベートも無関係ではないだろう。例えば、下記のような過去の体験もパワハラのきっかけ・助長原因になるかもしれない。
・怒鳴られた、暴力を受けた
・他人から怒られたことがない
・人から否定されたことがない
・家族関係が冷え切っている

予防策

上記のような仮説をとると、パワハラを生じさせないためには、その発生要素である感情のケアが大切であると言えそうだ。欲求(特に承認欲求と所属欲求)を満たすために「チームビルディング」等の活動(褒め合う社内文化の醸成、飲み会や社内運動会の実施等)、あるいは、過去の体験と向き合うためのメンタルトレーニングやカウンセリングなどを実施することも有効かもしれない。

いずれにせよ、社員の感情的不満を解消する仕組みを作ることは、企業におけるパワハラ予防の取り組みの一つとなるだろう。


社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭

著者プロフィール

HRプロ編集部

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