安倍政権が推進する働き方改革が広まりを見せる中、テレワークを導入する企業が増えている。こうした動きに対応して、パソコン・IT関連事業を展開する企業を中心に、多様化する働き方をサポートするシステムの開発・提供が進められ、マーケットとしても注目を集めている。企業はいま何を求め、サービス提供会社はどのように応えているのだろうか。
生産性向上には「可視化」がキーワード。パナソニックやNECなどが働き方サポートを提供

テレワークを実施する大手企業が4割超え

近年、日本国内において問題となっている、長時間労働、労働生産性の低下、少子高齢化による労働人口の減少といった課題への取り組みとして「柔軟な働き方」、とりわけ「テレワーク」が多くの企業で導入され始めている。
テレワークとは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス」といった、場所や時間にとらわれない働き方だ。2017年5月にHR総研が行った「多様な働き方とダイバーシティに関するアンケート調査」では、全体の22%がテレワークを実施していると回答。1,001名以上の大規模企業では、4割以上で導入されていることがわかった。

同調査では、テレワークを実施する目的のトップ3として、「生産性向上/業務効率向上」(71%)、「仕事と育児の両立」(69%)、「ワークライフバランス」(63%)が挙がっており、寄せる期待は大きい。
そうした企業の多様な働き方をサポートすべく、各社が様々なサービスの開発、提供に乗り出している。

パナソニックが働き方可視化サービスを発表

パナソニック株式会社は、「働き方の可視化」により業務習慣を「見える化」し、分析・改善に役立てる「働き方改革支援サービス」を構築。法人向けサービスとして、2018年2月から順次提供を開始していくと発表した。

本サービスは、パソコンに専用ソフトをインストールすることで、パソコン使用状況をブラウザ上で可視化するもの。パソコン使用時間に加え、アプリケーションごとの使用時間の可視化もできる。テレワークやモバイルワークにおける勤務状況の把握や、オフィス業務を含めた所定労働時間外のパソコン利用状況など勤務実態の把握が可能になるため、適正な労務管理の助けになりそうだ。
また、アプリケーションの使用時間が可視化されることにより、社員一人ひとりの業務習慣を振り返りが可能になり、生産性の向上に活用できるという。
さらに、テレワークの普及でニーズが高まるモバイル通信を安全かつ快適にする環境の提供や、パソコンのフロントカメラがとらえた顔画像からリアルタイムに脈拍数を測定し、脈拍の変動からストレスレベルを推定するサービスなどが提供される予定。様々な環境下での快適な業務遂行や労務管理がサポートされる。

NECは顔認証をクラウド化

日本電気株式会社(NEC)も、長時間労働の是正やワークライフバランスの実現に活用できるサービスのひとつとして、顔認証クラウドサービス「NeoFace Cloud」の提供を発表。
本サービスは、世界No.1(注)の認証精度を有する顔認証AIエンジンをNECのクラウド基盤「NEC Cloud IaaS」上に搭載するもので、サーバ設置が難しい屋外や介護施設、また短期間のイベントや工事現場などでも顔認証が活用できるようだ。
これにより、オフィス以外の場所での入退出管理といったセキュリティ対策の強化が可能になるといい、テレワークのような多様な働き方にも対応することが可能になる。
また、従来のオフィスや現場向け顔認証PCセキュリティソフトウェアを強化。システム起動時にIDやパスワードが必要な人事給与、勤怠システムといった業務アプリケーションに、顔認証にてログオンできるようになる。
最新商品では、視線の検知や正面以外の角度からの顔の検知でも認証が可能になるようで、こうした機能は今後、セキュリティ管理だけでなく、PCを使用する社員の業務習慣分析やストレスチェックなどに活用されていくだろう。

※注)NEC、米国国立標準技術研究所(NIST)の顔認証技術
ベンチマークテストで4回連続の第1位評価を獲得

「見える化」から始める生産性の向上

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