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「人づくり革命」における「社会人のリカレント(学びなおし)教育」の位置づけとその現状とは

HRプロ編集部
2017/11/13

人生100年時代を見据えた「人づくり革命」、そのなかのテーマのひとつとして「社会人のリカレント(学びなおし)教育」が挙げられている。リカレント教育は1970年代から世界各国において注目されてきた概念だが、日本においては浸透していないのが実情である。日本における社会人のリカレント教育における現状はどのようなものなのだろうか。

急速な環境変化に適応する「継続学習」「学び直し」という考え

「リカレント教育」とは、OECDが1970年の教育政策会議で提唱した生涯教育のひとつである。リカレントとは「反復」「循環」などを意味する。個人が若年期の学校教育を終えたのち仕事や家事などに従事してからも、希望と必要に応じて大学等の教育機関に正規の学生として戻り、繰り返し教育を受けられるというもので、「社会の変化に対応するため、生涯を通じて教育を受けることが必要である」という考え方に立脚している。社会の急激な変化のなか、既存の知識や技術が古くなり使えなくなってしまうことを防ぐために、知識や技術を更新していくのが狙いだ。日本においても、産業構造が変化し科学技術も急速に発展するなかで、企業内教育のみでは不十分になってきていることから、近年注目され始めた。

「人づくり革命」においては、国民一人ひとりの能力を向上させ、就業機会と教育機会を均等に提供できるようにするための施策として、社会人のリカレント教育が掲げられている。また、人生100年時代の文脈から、何度も学び直して職能を磨き、就労していくことも求められているだろう。

社会人のリカレント教育における現状と課題

社会人側におけるリカレント教育の需要はどのようなものなのだろうか。内閣府による「平成27年度教育・生涯学習に関する世論調査」によると、19%の人が、社会人になったあとも学校(大学、大学院、短大、専門学校など)で「学んだことがある(学んでいる)」と回答し、また、30%の人が「今後学んでみたい」と回答しており、一定のニーズがみて取れる。
しかし一方で、OECDの2014年実施調査によると、大学入学者のうち25歳以上である割合は、OECD各国平均が約37%であるのに対し、日本においてはわずか4.6%にとどまる状況だ。

文部科学省が2017年に発表した「生涯を通じた学習機会・能力開発機会の確保に向けた大学等における社会人の学び直し」の中では教育・生涯学習に関する世論調査を紹介しており、社会人が大学などの教育機関で学びやすくするために必要だと考える取り組みについては、「学費の負担などに対する経済的な支援」(46.1%)「就職や資格取得などに役立つ社会人向けプログラムの拡充」(35.0%)「土日祝日や夜間における授業の拡充」(34.0%)と経済面・環境面での支援も重要な要素であるとしている。

また、就業している企業側の評価も必要になってくるだろう。常用雇用者100人以上の企業1,475社を対象に行った「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」(労働政策研究・研修機構調査)によると、「業務命令の受講も、会社としての支援もない」が73.4%と大多数を占めており、企業側の後押しは弱い。また、「業務命令で受講させている事例がある」または「業務命令の受講はないが、会社として支援」と回答した393社に受講後の人事管理上の扱いについてたずねたところ「配転や異動にあたって配慮する」(32.3%)、「昇進・昇格にあたって配慮する」(25.7%)、給与・賞与の面で配慮する」(17.3%)と評価する一方で、「特に何も対応していない」(31.6%)もあり、企業間において割れる結果となった。
ただ、全1,475社に従業員が就学機関において学習することに関する評価については「従業員が幅広い知識を習得することができる」「担当業務における専門性を高めることができる」「従業員のやる気を高めることができる」など評価の声も一定数あり、今後企業側の理解が促進していく可能性があることも同調査では報告している。

日本におけるリカレント教育の浸透・活性化には、様々な制度・意識・環境変化が必要になる。

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