仕事をしていく上で、ストレスとは切っても切り離せない関係であると言える。ましてやストレスのない職場なんて存在しないのが現状ではないだろうか?

しかしながら、客観的にみて同じストレスと思える職場でも、不調者が出て休職する人が続出する職場と、そうでない職場が存在することは皆様も感じているところかと思う。逆にそれほど忙しくなく、もっと言えば雇用も安定しているような職場でも不調者が続出するような職場も存在しているのである。

ではどうすれば不調者が多い職場で、うまく仕事をアサインできるのだろうか?
高ストレスな職場でうまく仕事をアサインするには

自分の時間を自分でコントロールしている感

不調者が少ない職場では、従業員が以下の特徴を持っているように感じている。

ストレス研究の分野では、自分で自分の時間をコントロールしている感(専門的には裁量度と言います)が高いほどストレス反応が低いことが知られている。経営者などはとても激務なのであるが、ストレス反応は低い。これは裁量度が高いことで説明ができる。だからこそエグゼクティブと呼ばれる人は、年中働き続けているように見えるのだが、ある意味元気いっぱいなのである。

しかしながら、自由に部下に裁量度を持たせることは通常の職場では困難かと思う。そこで出てくるのが、この「自分の時間」を自分でコントロールしている感である。これはちょっとした工夫で高めることができる。

例えば、スケジュール帳に自分で休憩時間を記入しておき、その時間になったらきちんと自分の意志で休憩をとるのである。こうすることで、休憩自体の効果に加えて、自分でコントロールしている感が高まり、その結果ストレス反応を低減させることができる。このようなコツを部下に伝えることで、不調者を未然予防することができる。朝礼などでそのようなコツを伝えることでストレスに強いチームを作ることができるのでお勧めである。

信頼され認められている感

いつ終わるかわからない作業はとてもストレスフルである。そういう意味では、「いまは大変ですが、いついつまでには確実に終わる」と先の見通しをつけてあげることが大切だ。例えば「○月○日にはこの状況が変わるから、その日まで頑張ってくれ」等である。そしてその見通しは、ずるずる延長しないよう注意しないと、部下からの信頼がなくなってしまう。

職場のメンタルヘルス対策をしていて最後に必ず行きつくのが、この「信頼され認められている感」である。ある意味永遠のテーマかもしれないが、職場での信頼感が高いところはパフォーマンスも高く、不調者もあまりいない。さらにハラスメント問題等も少ないように感じている。そのためにはきちんと部下の存在を認めてあげて、信頼していることが大切である。具体的な工夫例としては、あるマネージャーは部下全員の名前を手帳に書いておき、朝の10時までに全員に一言話しかけることを自分に義務化している。このようにして、毎日コツコツと信頼関係を築いているのである。この職場は社内でも有数の数字をあげている職場で、激務で知られているが、不思議なことに不調者は存在しない。毎日のコツコツとした積み重ねが大切なのだと考えさせられたケースである。

以上はあくまでも一例だ。
働くうえでストレスはなくすことはできない。だからあきらめるのではなく、できることからやる。そんな考え方が大切であると言える。うまくマネジメントしていきたいものである。

Office CPSR臨床心理士・社会保険労務士事務所 代表 
一般社団法人ウエルフルジャパン 理事
産業能率大学兼任講師 植田 健太

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