株式会社フリーウェイジャパンは2023年4月24日、「給与デジタル払いに関する実態調査」の結果を発表した。調査期間は2023年3月31日~4月8日で、中小企業/零細企業の経営者および従業員の576名から回答を得た。調査結果から、給与デジタル払い制度の認知度のほか、導入意向の有無、運用面における課題などが明らかとなった。
「デジタル給与(給与デジタル払い)」を導入/導入予定の企業は1割未満。運用コストやセキュリティ面の課題解決がカギか

7割以上が「給与デジタル払い」の制度を認知

2023年4月より、キャッシュレス決済の普及や送金手段の多様化ニーズへ対応するため、「給与のデジタル払い」が可能となった。これまで労働基準法で、賃金の支払いは現金払いが原則となっていたが、労働者の合意があれば一部の資金移動業者の口座への賃金支払いが認められる。企業における、同制度の認知度はどの程度あるのだろうか。

まずフリーウェイジャパンは、「2023年4月から解禁となった『給与デジタル払い』制度の内容を知っているか」を尋ねた。すると、「詳細まで認知している」は5.4%、「詳細は知らないが制度自体は認知している」は70.5%で、制度を認知している人は計70.5%と、7割にのぼった。一方で、「認知していない」との回答も24.1%で、2割程度は認知していない現状も明らかとなった。
「デジタル給与(給与デジタル払い)」を導入/導入予定の企業は1割未満。運用コストやセキュリティ面の課題解決がカギか

8割以上が「給与デジタル払い」の導入を予定していないことが明らかに

次に同社は、同制度を「詳細まで認知している」「制度自体は認知している」との回答者に、「給与デジタル払い制度を導入するか」と尋ねた。すると、「導入しない」が60%、「わらからない・未定」が21.3%で、調査時点で導入を予定していない企業は81.3%と8割を占めた。一方、「導入している」は0.6%、「導入予定」は1.9%で、導入済みまたは導入予定とする企業は全体のわずか2.5%にとどまった。
「デジタル給与(給与デジタル払い)」を導入/導入予定の企業は1割未満。運用コストやセキュリティ面の課題解決がカギか

「給与デジタル払い」導入には運用コストやセキュリティリスクが課題か

続いて同社は、給与デジタル払いを「導入しない」との回答者に対し「その理由」を尋ねた。すると、「デジタル払いと賃金払いの二重運用が発生してしまうから」が41.7%で最多だった。以下、「事故の補償やセキュリティ面のリスクがあるから」が39.6%、「給与支払いに係る運用フローを再構築する必要があるから」が35.4%で続いた。
「デジタル給与(給与デジタル払い)」を導入/導入予定の企業は1割未満。運用コストやセキュリティ面の課題解決がカギか

8割以上が給与デジタル払い制度を「利用したくない」と回答

また同社は、給与デジタル払い制度を「詳細まで認知している」「制度自体は認知している」との回答者に、「制度が導入された場合、利用したいか」を尋ねた。すると、「利用したくない」(41.5%)と「あまり利用したくない」(27.8%)との回答は計69.3%で、約7割が利用したくないと感じていることがわかった。あわせて「利用したくない理由」を同社が尋ねると、「デジタル面のメリットを感じない」や「セキュリティ不備による不正引き出しなどに不安があるから」といった理由が多数を占めたという。

他方で、「利用したい(利用している)」(1.4%)と「場合によっては利用したい」(20.2%)との回答は計21.6%だった。同様に「利用したい理由」を尋ねると、「銀行などの金融機関やATMの手数料を軽減できるから」や「現金を持ち歩く機会を減らせるから」といった理由が多数となったとのことだ。
「デジタル給与(給与デジタル払い)」を導入/導入予定の企業は1割未満。運用コストやセキュリティ面の課題解決がカギか
給与デジタル払いについて、制度の認知度は7割以上と高かったものの、導入済みまたは導入予定とする企業は1割未満とわずかだった。また、従業員側も「利用したくない」との回答が多数を占めた。今後、給与デジタル払いを導入していきたい企業では、給与支払いのコストの増加やセキュリティ面などをカバーする方法を含め、給与支払いに関する運用を見直す必要がありそうだ。

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