最近、ドラマで身近になってきた労働基準監督官だが、いざ、会社に来るとなると、ちょっと驚いてしまう。
労働基準監督官がやってきた! そのとき、あなたの会社はどうする?

 労働基準法101条には、
「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」
とある。
 労働基準監督署が会社に来る。これを「臨検」という。では、どんなときに労働基準監督官は会社に来るのだろうか?

 臨検には、主に次に掲げる4パターンがある。
1.定期監督
 最も一般的な調査。労働局及び労働基準監督署の年度計画(労働行政方針)に基づき実施される検査。 
2.災害時監督
 一定以上の労働災害が起きた際に原因の調査、再発防止指導のために実施されるもの
3.申告監督
 労働者の申告があった際に行なわれる検査。一般的には、申告した労働者の保護のため、労働者からの申告である旨を事業所に知らせずに行う。
4.再監督
 是正勧告を受けた場合、その後、是正がされているか、是正勧告を受け、指定期日までに是正報告書を提出しなかった場合に行われるもの。

 臨検を行った結果、法令違反がみつかった場合に行われるのが、是正勧告。この是正勧告は、書面で交付される。これが「是正勧告書」。
 これには、違反事項、是正期日を記載し、事業所に渡される。たいていの場合、事業主が後日、労働基準監督署に指定された日時に出頭し渡される。

 臨検は予告なしで来る場合もあるが、大抵の場合は、予告して来ることが多い。電話で事業所に調査の日時を告げる場合やFAXなどで事前に用意しておくものを連絡してくれるケースもあり、予告なしで来るケースでも担当者不在の場合もあるので、日程を変えることは原則可能。その他、「出頭要請書」が来る場合もある。

 事業場には労働基準監督官が原則2名で来る。身分を証明する証票を携帯し、なぜ来たのかを告げて、事業主よりヒアリングを行う。一般的には、帳簿等の確認⇒事業主等からのヒアリング⇒事業場の巡回調査⇒従業員からのヒアリング⇒事業主への口頭での指導等が行われる。
 その後、是正勧告書が渡されたら、それに対する回答、「是正報告書」を提出する。フォーマットは任意だが、違反内容に対して、「どのように是正したのか」「是正日」を記載し、事業主の記名押印にて労働基準監督署に提出する。

 労働基準監督官は、会社の敵ではなく、会社として真摯に対応することが一番重要。対応に関しては専門家である社会保険労務士に依頼するのも一案かもしれない。


京浜労務コンサルティングオフィス 宮澤 誠

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