オープンワーク株式会社は、2021年12月16日、同社の「働きがい研究所」による調査レポート「OpenWork 残業と有休 10年の変化」を発表した。このレポートは、同社が運営するサイトで社員から投稿された情報を集計・分析したものだという。対象データは、2012年1月~2021年11月の「残業時間に関する投稿342,737件」と「有給消化率に関する投稿346,506件」となる。なお、業界別の平均値は各年50件以上の回答が得られた業界に限定しているとのこと。これにより、10年間の働き方の変化について、年代別および業界別の特徴が明らかとなった。
「残業時間」や「有給消化率」はこの10年でどう推移したか。年代別や業界別の「働き方の変化」が明らかに

10年間で残業時間は減少、有給消化率は改善傾向に

働き方改革の推進によって、「長残業時間の是正」や「有給休暇取得推奨」が進められているが、10年間で働き方はどう変化したのだろうか。

まず、本レポートで「10年間の月間平均残業時間の推移」を見ると、2012年から2015年にかけて、月の平均残業時間は40時間以上だった。しかし2016年以降は40時間を切り、2021年には24時間まで減少。2012年と2013年のピーク時と比べると、22時間も減少していることが判明した。
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次に、「有休消化率の推移」を見ると、2012年時点では半数に満たない41%だったが、最新結果の2021年では60%と19ポイントアップし、消化率は改善されていた。
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年代別の残業時間は、10年前と現在では逆転現象が見られる

続いて同社は、「残業時間と有給消化率の推移」を年代別に比較している。

「残業時間」では、10年前に最も残業時間が多かったのは20代の「48.5時間」となり、最も少ない40~50代の「40.1時間」とは8時間以上の差があった。しかし、その差は年々縮まっていき、2021年では20代が「23.5時間」で最も少なく、その反面40~50代は「24.3時間」となり、逆転している。

同社は、若い世代を中心に「ワーク・ライフ・バランス」を重視する傾向が強まったことや、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが普及し、自身で業務時間を調整しやすくなったことがこの結果に影響した、という見解を示した。
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有給消化率は全体的に改善したが、年代別にみると顕著な差が

また、「有休消化率の推移」を年代別に比較した結果では、20代と他年代の差が開いたことが見てとれる。10年前は、消化率はすべての年代で40%程度だったが、2021年の結果では、「20代」が63.3%、「30代」は57.4%、「40~50代」は56%だった。2019年の労働基準法の改正により、企業に対して、10日以上の有休を付与している労働者に「年間5日間」は必ず有休を取得させることが義務付けられた。このことが、若手の有給消化率の伸びに影響しているようだ。
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業界別の残業時間は、10年間で30時間以上減少した業界が多数

さらに、同社は「業界別」に残業時間の変化をまとめている。10年前と比べ大きく残業時間が減少した上位の業界は「建築・土木・設備工事」(-37.6時間)、「コンサルティング・シンクタンク」(-36.8時間)、「放送・出版・新聞・映像・音響」(-35.1時間)、「広告代理店・PR・SP・デザイン」(-33.6時間)、「不動産関連・住宅」(-33.6時間)などで、いずれも10年で30時間以上減少したことがわかった。

また、2021年時点で最も残業時間が少なかったのは、「ファッション・アパレル・繊維」の13.5時間で、以下、「旅行・ホテル・旅館・レジャー」の16.1時間、「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」の17.5時間が続いた。
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業界別に見た「有給消化率」の結果は?

「10年前と比べ有休消化率が大きく上がった業界」をピックアップすると、「証券会社・投資ファンド・投資関連」(+29.7%)、「建築・土木・設備工事」(+29.5%)、「不動産関連・住宅」(+28.4%)、「小売(百貨店・専門・CVS・量販店)」(+27.7%)などが並んだ。

2021年時点で有休消化率が高かった業界は、「通信・ISP・データセンター」の73.2%や「コールセンター・業務請負」の72.8%、「自動車・自動車部品・輸送機器」の71.8%などで、いずれも有給消化率は7割を超えた。特に、「通信」と「自動車業界」は10年前も6割以上と消化率は比較的高かったものの、この10年でさらにポイントを上げたことがわかった。
「残業時間」や「有給消化率」はこの10年でどう推移したか。年代別や業界別の「働き方の変化」が明らかに
分析結果から、「残業時間の削減」や「年次有給取得率」が、着実に改善していることが判明した。この状況にとどまらず、企業には今後も「社員の働きやすさ」と「事業の安定成長」を両立させられるような施策を講じていくことが求められていきそうだ。

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