株式会社月刊総務は2021年11月26日、同社が発行する月刊誌の読者などを対象に実施した、「オフィスに関する調査」の結果を発表した。調査期間は2021年11月12日~19日で、全国の総務担当者212名から回答を得た。これにより、新型コロナウイルス前後におけるオフィスの課題や、これからのオフィスに求められる在り方などが明らかになった。
コロナ禍の1年間で「オフィスの見直し」をする企業が急増か。オフィスの役割は「コミュニケーション」や「チームワーク」の場に

新型コロナでオフィスの見直しが促進。実施内容は「レイアウトの変更」が約8割

新型コロナの影響で、オフィスにおいても新様式への変革が必要とされるなか、企業の意識や対応はどのような状況なのだろうか。

同社ははじめに、新型コロナの影響で働き方が変化したことによる、「オフィスの見直しの実施状況」について尋ねている。すると、「見直しを実施した」は43.4%、「見直しを検討している」は32.1%となり、オフィスの見直しを実施済および検討中と回答したのは、合わせて75.5%と7割以上にのぼった。

また、2020年8月に実施した同調査結果と比較すると、「見直しを実施した」との回答は、昨年の26.7%から16.7ポイント増と、大幅な伸びを見せた。この1年余りでオフィスの見直しが急速に実施された様子が見て取れる。

見直した具体的な内容は、「実施済み」と「検討中」ともに、「レイアウト変更」がトップだった。一方で、「見直す予定はない」は24.5%と、昨年調査結果(33.3%)と比べ8.8%減という結果だった。
コロナ禍の1年間で「オフィスの見直し」をする企業が急増か。オフィスの役割は「コミュニケーション」や「チームワーク」の場に

オフィス見直しの実施有無には経営層の意識も影響か

オフィスの見直しを「実施済み・検討中」または「実施しない」と回答した理由としては、それぞれ以下のような声が挙がっている。

●オフィスの見直しを実施済み・検討中の理由

・「出勤者数の減少によるフリーアドレス化で、執務エリアに余剰が生まれたため」
・「社員の自律性の向上や交流促進を目的とした、ABW化のため」

●オフィスの見直しを実施しない理由

・「コロナ禍でも出社前提だったため、今後も大きな改革の予定はない」
・「経営陣が、『新型コロナの流行が過ぎればそれでよし』という思考のため」

現在のオフィスの課題は「個別ブース不足」が最多。WEB会議への対応が急務か

同社は次に、「新型コロナ流行前と現在のオフィスの課題」についてそれぞれ聞いた。その結果、新型コロナ流行前では、「会議室や来客スペースの不足」が65.6%とトップに。一方、現在では、オンライン商談や1on1等で使用する「個別ブース不足」がトップとなり、63.7%だった。

これらの課題に対し、具体的に実施したことを聞くと、「WEB会議増加のため、個別ブースを増設予定」、「会議室や応接室がダブルブッキングしないよう、施設の使用を電子管理に移行した」、「広い会議室に間仕切りを設置し、会議室の数を増やした」などが挙がっている。このように、WEB会議増加への対策を検討する企業が多いようだ。
コロナ禍の1年間で「オフィスの見直し」をする企業が急増か。オフィスの役割は「コミュニケーション」や「チームワーク」の場に

新型コロナ前と比べ、オフィスでは「コミュニケーション機会」を重視

「オフィスだからこそ得られるメリット」について、回答者の意識が多く集まったのは、「簡単な打ち合わせ・質問がしやすい」(81.1%)や、「雑談ができる」(67.5%)などだったようだ。昨年調査と比べ、「コミュニケーション」に関連した回答に、より増加傾向が見られる結果だと言える。
コロナ禍の1年間で「オフィスの見直し」をする企業が急増か。オフィスの役割は「コミュニケーション」や「チームワーク」の場に

オフィスに求める役割は「社内コミュニケーション」や「チームでの作業」など

調査ではメリットに加えて、「これからのオフィスに求められる役割はどのようなことか」と聞いた。すると、86.3%が「社内コミュニケーションの場」、69.8%が「チームで作業をする場」と回答。メリットと同様に、「対面でのコミュニケーションを取る場」としての需要が高いことがわかった。

オフィス以外のサードプレイスを契約・検討している企業が半数以上に

最後に、オフィスや自宅以外の働く場所として、コワーキングスペースやレンタルオフィス、サテライトオフィスなどの「サードプレイスの契約予定」について尋ねている。その結果、「契約している」が23.6%と、昨年調査比10.7ポイント増となった。また、これに「契約を予定している」(4.2%)、「検討している」(25.9%)も合わせると、合計53.7%がオフィスや自宅以外にも働く場所を確保することに前向きな様子だ。
コロナ禍の1年間で「オフィスの見直し」をする企業が急増か。オフィスの役割は「コミュニケーション」や「チームワーク」の場に
新型コロナウイルスの流行に伴う働き方の変化により、企業ではこの1年でオフィス様式の見直しが進んでいるようだ。調査によって見えてきた「オフィスに求める役割」を参考に、自社にとってのオフィスの在り方を検討し、見直しを図っていく必要がありそうだ。

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