オランダに本社を持つランスタッド株式会社は2021年2月16日、グローバルで実施した労働者の意識調査「ランスタッド・ワークモニター」の2020年下半期の結果を発表した。調査は同グループが年に2回、欧州、アジアパシフィック、アメリカ大陸の世界34の国と地域で実施しているもので、今回の調査時期は2020年10月13日~26日。週24時間以上勤務する18歳から65歳の労働者を対象に、地域ごとに800以上の回答を得ているという。この記事では、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下で、自身の「エンプロイアビリティ(雇用され得る能力)」をどのように感じているかを、日本の回答結果とグローバル平均を比較しながら探る。
世界の労働者はコロナ禍での不確実性をどう捉えたか? 雇用主に望むサポートとは

日本ではより強い「心理的ストレス」を感じている可能性

世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、世界中の働く人々の意識にどのような影響を与えたのだろうか。「コロナ禍の中、雇用主から心理面で支えられていると感じるか」を尋ねると、「感じている」と回答した割合は、グローバル平均が71%だったのに対し、日本は53%で18ポイント低く、全ての地域の中で最下位となった。新型コロナウイルス感染症拡大の環境下で感じるストレスに対して、日本人は「心理面のサポートが不足している」と感じていることが判明した。

また、「デジタル化に適応するために必要な機器とテクノロジーを自社が備えているか」については、グローバル平均が79%だったのに対し、日本は54%となった。こちらも日本の回答は平均より25ポイント低く、他の地域と比べて最下位だった。急速に進むデジタル化対応に満足する日本の回答者は約半数で、グローバルと比較するとむしろ不安感を感じている可能性も示された。
世界の労働者はコロナ禍での不確実性をどう捉えたか? 雇用主に望むサポートとは

コロナ禍で「給与保障」が最優先に。日本では「雇用安定」を望む声が世界平均より高い

続いて、「新型コロナウイルスの流行下で、雇用主に給与保障を望むか」を聞いた。すると、「望んでいる」とした割合は、グローバル平均が58%、日本が56%と、ほぼ同水準となった。先行きが見通せない状況で、今の給与水準を保ちたいという考えは世界共通のようだ。また、「新型コロナウイルスの収束後に雇用の安定を望むか」について、「望む」とした割合はグローバル平均が36%だったのに対し、日本では7ポイント高い43%という結果となった。日本では「安定」を望む声がより強い傾向と言えるだろう。
世界の労働者はコロナ禍での不確実性をどう捉えたか? 雇用主に望むサポートとは

理想の働き方は「出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド型」、柔軟な就業時間については日本と世界で差が

最後に、「今後の理想の働き方」について聞いた。「オフィス出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド型の勤務形態」を望む声は、グローバル平均が35%、日本が34%と同水準だった。日本でもテレワークの標準化が進み、急速に普及した在宅ワークを含む新しい働き方が浸透しつつあることがうかがえる。一方、「フレキシブルな就業時間」を望む声は、グローバル平均が24%だったのに対し、日本は12%にとどまり、12ポイントの差が見られた。日本の労働者は「就業時間の柔軟性や自由度」へのこだわりは強くないようだ。
世界の労働者はコロナ禍での不確実性をどう捉えたか? 雇用主に望むサポートとは
新型コロナの流行から1年以上が経過した現在もなお、収束の兆しは見えない。不確実要素の多い今だからこそ、企業の安定運営に向けて雇用主が考えるべき重要性な取り組みは何かを、様々な動向から探っていきたい。

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