株式会社Macbee Planetは2023年1月19日、「人的資本開示と人事戦略に関する意識調査」の結果を発表した。調査期間は2022年12月26日~27日で、上場企業のIR・人事・経営企画担当者110名より回答を得た。調査から、上場企業での人的資本開示に向けた取り組みの実施状況や、直近1~2年の人事戦略の変化などが明らかとなった。
8割以上の上場企業で「人的資本開示」に向けた取り組みを実施。直近1~2年で「人事戦略への変化」を実感する人事が多数に

人的資本開示に向けた取り組みを「実施していない」企業は1割未満

金融庁では、「『人的資本開示』を2023年3月から段階的に義務化する」との方針を示しているが、人的資本の情報開示に向け取り組みを実施している上場企業はどの程度あるのだろうか。はじめにMacbee Planetは、「勤務先では、人的資本開示に向けての取り組みを実施しているか」を尋ねた。すると、「実施している」は81.9%、「実施していない」は8.2%となった。
勤務先では人的資本開示に向けた取り組みを実施しているか

具体的な取り組みは「重要な人材課題の特定」が最多

次に、前設問で「人的資本開示の取り組みを実施している」とした回答者に、「実施している取り組み」を尋ねた。その結果、「重要な人材課題の特定」が53.3%と最も多く、次いで「経営戦略と人材の連動」と「目標実現に向けたKPI設定」が同率で46.7%だった。

自由回答では、「人事労務方針の情報整理」や「人材養成の過程の開示」、「経歴情報やスキル、成績の見える化」といった声があがったという。
人的資本開示に向けて実際に取り組んでいること

約6割が「働き方や個人の価値観への適応」を重視

続いて同社は、前設問と同じ回答者に対し「人的資本開示の進め方を検討する上で、重視していること」を複数回答で尋ねた。その結果、「働き方や個人の価値観への適応」(57.8%)が最も多く、以下、「社会情勢の変化の適応」(46.7%)、「経営理念や経営戦略との整合」と「エンゲージメントの向上」(ともに43.4%)が続いた。
人的資本開示の進め方を検討する上で重視していること

直近1~2年で「人事戦略への変化を実感」は8割以上に

次に同社は、全体に対し「直近の1~2年で、勤務先の人事戦略に変化があったか」を尋ねた。すると、「非常にそう思う」(28.3%)と「ややそう思う」(54.5%)の合計は82.8%だった。
直近の1~2年で勤め先の人事戦略に変化があったか

「ジョブ型雇用」や「デジタル人材(DX人材)」に対する意識変化も

また、前設問で「非常にそう思う」もしくは「ややそう思う」と回答した人に、「人事戦略にどのような変化があったか」を尋ねたところ、「ジョブ型雇用の実現に対する意識向上」が58.2%と最も多かった。以下、「デジタル人材(DX人材)に対する意識向上」が56%、「多様化する働き方への対応」が49.5%と続いた。
直近の1~2年で実際に人事戦略にどのような変化があったか
本調査から、8割以上の上場企業で「人的資本開示」に向けた取り組みを開始しており、主に「重要な人材課題の特定」や「経営戦略と人材の連動」を行っていることがわかった。人材の価値を最大限に引き出す「人的資本経営」への関心の高まりを受け、直近1~2年で人事戦略を見直している企業もあることがうかがえる。今後求められる人的資本の情報開示について動向を追いながら、自社の人事戦略もアップデートしていきたい。

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