株式会社ラーニングエージェンシーは2023年1月26日、「『人事の課題』実態調査(社員の育成編)」の結果を発表した。同社の研究機関であるラーニングイノベーション研究所とともに2022年10月26日~11月30日に調査を実施し、企業の人事責任者および人事担当者277名(従業員数300人以下:207名、301人以上:70名)から回答を得た。これにより、人事部が注力したい育成対象者や従業員の属性ごとの課題が明らかとなった。
6割の人事が注力したい育成対象を「管理職・リーダー」と回答。若手・新入社員や管理職に感じる課題とは

人事部が注力したいのは「管理職・リーダー」の育成。既任管理職の育成に課題感か

昨今、人それぞれが持つ能力を「資源」ではなく「資本」と捉え、最大限に活かせるよう投資する「人的資本経営」に注目が集まっている。その推進には従業員の育成が必要不可欠だが、企業の人事担当者は、従業員の育成面においてどのような課題を感じているのだろうか。

はじめにラーニングエージェンシーは、「特に注力して取り組みたい育成対象」を階層別に尋ねた。すると、従業員数が300人以下の企業(以下、300人以下)では、「既任管理職」が59.3%、「リーダー」と「中堅社員全般」がともに58.8%、「新任管理職」が57.1%と上位を占めた。一方で、従業員数が301人以上の企業(以下、301人以上)の企業では、「既任管理職」が64.2%と最も多く、次いで「新任管理職」が61.1%となった。

従業員規模別に見ると、「中堅社員全般」では300人以下と301人以上とで11.4ポイントの差があるものの、「既任管理職」は従業員規模を問わず育成に注力したい対象であることがわかった。
特に注力して取り組みたい育成対象

新入社員の課題は「主体性・積極性」。301人以上の企業では「メンタルタフネス」が次ぐ

次に同社は、「2022年度入社の社員について、知識・スキルや業務への姿勢において感じる課題」を尋ねた。その結果、いずれの従業員規模でも「主体性・積極性」が最も高かった。ただしその割合は、300人以下では37.4%、301人以上では53.7%と、16.3ポイントの差があった。

また、300人以下では「報告・連絡・相談」が28%、「目的・目標の理解」が27.5%と続いた。一方、301人以上では「メンタルタフネス」が43.2%、次いで「目的・目標の理解」が31.6%だった。「メンタルタフネス」については、300人以下と比べて20.1ポイント高かった。
2022年度入社社員の知識・スキルや業務への姿勢における課題

若手社員の課題も「主体性・積極性」が最多に。301人以上では7割を超える

続いて、「入社2~4年目の若手社員の、知識・スキルや業務への姿勢において感じる課題」を同社が尋ねると、両規模で「主体性・積極性」が最も多くを占めた。300人以下では57.7%、301人以上では70.5%と、「新入社員の課題」と同様ではあるものの、より高い数値であることから、若手社員には一層主体性や積極性が求められていると推測できる。

2位以降の項目を見ると、300人以下では「目的・目標の理解」(36.3%)、「改善施策の立案・実行」(33.5%)と続いた。301人以上では「メンタルタフネス」(43.2%)、「タスク管理・進捗管理」(37.9%)が上位だった。「主体性・積極性」以外の課題は、企業規模によって異なることがうかがえる。
入社2~4年目の若手社員の知識・スキルや業務への姿勢で感じる課題

管理職の課題は両規模で「部下育成力」が8割超。従業員規模によって選択項目にギャップあり

最後に同社は、管理職の課題を探るべく「管理職の知識・スキルや業務への姿勢において感じる課題」を尋ねた。すると、「部下育成力」が両規模で8割を超えて最多となった。以下、「ビジョン・方針・戦略の立案・浸透」、「チームビルディング」が半数以上で続いた。

新入社員および若手社員の課題では「301人以上」の結果が「300人以下」を上回ることが多く、より課題感が強かった。それに対し管理職における課題感は、逆に「300人以下」のほうが上回る項目が多く、特に「交渉力・説得力」は14.9ポイント、「主体性・積極性」が14ポイント高かった。
管理職の知識・スキルや業務への姿勢で感じる課題
本調査から、人事部で育成に注力したい対象は、企業規模を問わず「既任管理職」や「新任管理職」など「管理職層」であることがわかった。また、新入社員や若手社員には「主体性・積極性」が最も求められており、一人ひとりが自発的に動けるセルフマネジメント力が求められているといえる。自社の人材を俯瞰して見られる人事部が、属性ごとの課題を明確化することで、それぞれの解消に向けた糸口が見つかるのではないだろうか。

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