株式会社リクルートマネジメントソリューションズは2021年8月2日、「人材マネジメント実態調査2021」の結果を発表した。調査期間は2021年2月12日〜14日で、企業の人事業務に携わる管理職491名を対象に実施。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大下における、人材・組織マネジメントの課題や成果指標などが明らかとなった。
人事はマネジメントのどこに課題を感じているのか? コロナ禍による意識の変化が明らかに

「次世代経営人材の不足」と「ミドルマネジメント層の過重な負荷」が組織・人材マネジメントの課題

コロナ禍である現在、中長期を見据えた「組織・人材課題の認識」およびその変化は、どのようになっているのだろうか。

はじめに「自社の組織・人材マネジメントの現状としてあてはまるもの」および「コロナ禍において課題感が高まったもの」について、複数回答で尋ねた。

すると、「現在の課題認識」は、「次世代の経営を担う人材が育っていない」と「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」がともに55.2%でトップに。続いて、「新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」が51.9%、「中堅社員が小粒化している」が51.1%となり、これら4項目が突出していた。

この4項目は、「コロナ禍において課題感が高まっている」でも高い傾向を示した。その他、「コロナ禍での課題感の高まり」が指摘されるものとして、「テレワーク・在宅勤務に関する今後の方針が定まらない」(21%)、「職場の一体感が損なわれている」(20.6%)、「従業員にメンタルヘルス不調者が増えている」(18.7%)などが挙がった。
組織・人材マネジメントの現状課題とコロナ禍で課題感が高まったもの

人事評価の課題は「人事評価制度への納得感」。コロナ禍で「テレワーク下での評価の難しさ」が高まる

続いて、「人事評価に関する課題として現在あてはまるもの」および「コロナ禍において課題感が高まったもの」について複数回答で尋ねた。

その結果、「現在の課題認識」としては、「人事評価制度への従業員の納得感が低い」が48.7%、「評価基準があいまいである」が48.3%、「テレワーク下での部下の仕事ぶりの評価が難しい」が46%、「管理職によって取り組みや意識・スキルにばらつきがある」が40.3%となり、いずれも4割以上となった。

また、「コロナ禍において課題感が高まったもの」としては、「テレワーク下での部下の仕事ぶりの評価が難しい」が39.3%で突出していた。
人事評価の現状課題とコロナ禍で課題感が高まったもの

昇進・昇格の課題は「そのものの魅力」。管理職の資質が問われるように

次に、「昇進・昇格に関する課題として現在あてはまるもの」および「コロナ禍において課題感が高まったもの」について、複数回答で尋ねた。

すると、「現在の課題認識」としては「昇進・昇格そのものに魅力を感じない者が増えている」が57.4%、「昇進・昇格要件(基準)があいまいで納得性がない」が42.6%、「現管理職の後に続く人材が枯渇してきている」と「管理職全体の質(レベル)が低下してきている」がともに41.8%と続き、いずれも4割以上を占める結果となった。

また、「コロナ禍において課題感が高まったもの」では、「昇進・昇格そのものに魅力を感じない者が増えている」が最多で25.9%となった。

このように、コロナ禍でマネジメント層への負担が増えていることが、人事担当者の課題感を強めていると予測される。
昇進・昇格の現状課題とコロナ禍で課題感が高まったもの

約6割が人材マネジメントの成果指標を「従業員満足度」に。今後は「女性管理職比率」も増加か

続いて、「現在」と「今後」において、「『人材マネジメントの成果』を捉える指標として用いるもの」について尋ねと、「現在」では「従業員満足度」が60.3%で最多に。以下、「有給休暇取得率」が48.9%、「時間外労働時間」が47.7%と、半数近い数字で続いた。「今後」については、「女性管理職比率」(31.4%)が、「従業員満足度」(37.1%)に次いで多く選ばれた。
現在と今後において人材マネジメントの成果指標として用いるもの

従業員を動機づけるために重要なものは「仕事のやりがい」や「多様な働き方の選択」

最後に、「現在」と「5年後」において、「従業員を動機づけるために重要なもの」について複数回答で尋ねた。

すると、「現在」については「仕事のやりがい」が58%、「高い給与」が46.4%と多く選択された。「5年後」についても、「仕事のやりがい」が48.7%、「高い給与」が36.7%で同様に多い傾向だったが、「多様な働き方の選択」が26.9%で、「現在」の15.1%より10ポイント以上高い結果となった。

現在、コロナ禍によりテレワークが拡大しているが、多くの企業では急場の対応となっているため、「従業員の動機づけを高める」という目的での「多様な働き方」については、今後の中・長期的な課題として捉えられていることがうかがえる。
現在と5年後において、従業員の動機づけるために重要なもの
調査によりさまざまな課題が浮き彫りになったが、中でもコロナ禍やテレワークで「ミドルマネジメント層の負担」が増大していることが明らかとなった。また、「昇給・昇格に魅力を感じない」という若い世代も増えており、マネジメントを引き継ぐ人材が育っていないことも大きなネックとなる。こうした状況を打破するためには、「従業員満足度の向上」や「動機付け」により、従業員が働きがいを感じられるようサポートし、強固な組織構築を行う下地を作っていくことが重要となるだろう。

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