大東建託株式会社は2021年4月26日、事業所ごとに毎月1回「休業日」を設定する取り組みをスタートしたと発表した。これは「働き方改革」の一環により行うもので、有給休暇(以下、有給)を取得しやすい環境の整備を目的としている。今回は関西エリアの14事業所を対象としており、今後状況を見ながら全社への展開を検討していく予定だ。
大東建託、有給取得率の向上を目指して事業所ごとの「休業設定」をスタート

事業所の状況に合わせた休業日を設定し、有給をより取得しやすい環境へ

厚生労働省(以下、厚労省)による2018年発表の『働き方・休み方改革の取組及び仕事と生活の調和の実現に関する調査研究』によると、「有給休暇の取得へのためらいがあるか」との質問に対し、「ためらいを感じる」または「やや感じる」と回答した労働者は、52.6%と半数を超えた。また、「ためらいを感じる理由」は「周りに迷惑がかかると感じるから」が62.6%となり、上位を占めている。

このような状況の中、政府は「働き方改革」の一環として、2019年4月以降すべての企業で、年間10日以上の有給が付与される労働者に対し、年5日間の有給取得を義務付けた。さらに、2020年までに有給取得率を70%とすることを目標に掲げていた。

一方大東建託では、2018年より有給の取得を促進する取り組みとして、「年5日の有給取得の義務化」や「有給休暇取得促進デー」の設定など、法改正に先駆けてさまざまな施策を実施してきた。その結果、2020年度の有給取得率が76.4%と、政府の目標を上回る結果となっている。また、2023年度までには取得率を80%まで引き上げることを目指し、今回休業日を事業所ごとに設定する取り組みを開始した。各事業所がそれぞれの状況に合わせて休業日を設定することで、従業員が気兼ねなく休みやすい環境を整備することを目的としている。さらに、より有給を取得しやすい環境づくりとして、以下の項目も実施していくという。

(1)2021年度より、年6日以上の有給取得を義務化
(2)毎年4月末日までに、全社員が「個人別年次有給休暇取得計画表」を提出し共有
(3)有給休暇取得促進デーの設定
(4)アニバーサリー休暇(記念日や家族の誕生日など)やボランティア休暇など多様な休暇制度を導入
(5)毎月全社の事業所、部門別の取得状況を開示
(6)健全経営に欠かせない要素に着目した評価制度「健全経営ランキング」に有給取得率を設定


厚労省の調査によると、2019年(または2018年度会計)の有給取得率は56.3%と、政府の目標を下回っているのが現状だ。各社が独自の対策を実施していくことが、今後更に求められていくだろう。


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