2021年を迎えても新型コロナウイルスはますます猛威を振るっており、首都圏をはじめ、関西圏や中部地方にも緊急事態宣言が再発令中です。政府は「出勤者数の7割削減」を目指しており、テレワークやローテーション勤務、時差出勤などを要請しています。しかし、昨年からの時流を見ていますと、大手企業はもちろん、中小企業も「テレワークを導入できるかどうか」が今後の命運を分けるといっても過言ではないと感じます。ここで今一度、テレワークにはどのようなメリットがあり、実際に導入するにはどうすればいいのかを解説していきましょう。
緊急事態宣言の再発令により改めてテレワークの必要性が高まる。企業のメリットと導入の手順とは

テレワークは費用面でも人材面でも大きなメリットをもたらす

日本では2020年から新型コロナウイルス感染症が拡大し、すっかり私たちの生活様式を変えてしまいました。前回の緊急事態宣言の際は、幼稚園や学校の休園・休校などの影響もあり、出勤したくてもできなくなった従業員の方が大勢いました。2021年になり、再び緊急事態宣言が発令されたことで、これまでテレワークに対応していなかった企業でも、改めて「導入するか否か」の決断を迫られています。そこで、テレワークを始めることで、企業にどのようなメリットがあるのかを具体的にお話しましょう。

テレワークとは、「テレ=離れて」、「ワーク=仕事をする」ということです。つまり、オフィスに出勤することなく、自宅などで仕事をすることを指します。もし、従業員がテレワークをする環境が整えば、出勤する必要がなくなるので、従業員の通勤費を削減できます。さらに、全従業員分のデスクを用意しなくてもよくなるため、オフィス規模を小さくして賃貸料をカットできる可能性も出てきます。

また、出産や育児、介護でやむなく退職せざるを得なかった人も、在宅勤務であれば仕事を続けられる場合もあり、人材の流出を防げます。そればかりではなく、今までは通勤圏外に居住しているため雇用に至れなかった優秀人材も、テレワークであれば住んでいる場所に関係なく業務を行なってもらうこともできますし、そもそも募集要項で「テレワーク可」とPRするだけでも、優秀な人が応募してくる可能性が高くなります。

ですが、実際にテレワークを始めるにはどうすればいいのでしょうか。キーワードは「小さく」です。

スタートは「特定のメンバー」からでもOK

「これまでオフィスで行っていた業務を自宅に移す」という行為は、経験がなければ本格的に導入するのは勇気がいることですよね。ですから、まずは小さくスタートすることをオススメします。テレワークを行うために必要なことは、「業務の棚卸し」と「ペーパーレス化」です。まずは現時点で「紙を使わずにできる業務には何があるのか」を明確化し、在宅勤務スタートの足がかりにします。

たとえば、定例会議をオンラインでやる、簡単な伝票入力作業を従業員の自宅で行うなど、「小さく始めて経験を積むこと」が大切です。ですから、「毎週月曜日の午前中に特定のメンバーでテレワークをしてみる」といったことから始めてみましょう。そこから少しずつ範囲を広げていき、同時に情報漏洩の対策も強化していくイメージを会社に浸透させていくと良いですね。

ただ、気をつけなければならないことは「テレワークの労務管理や費用管理をどのように行っていくか」です。労務管理であれば、始業時間と終業時間を把握する方法として、「業務の開始・終了時にはメールを送る」、「システムへのログイン・ログアウトの時間を就業時間とする」などがあります。

費用面では、「業務を行うパソコンをどうするのか」、「通信費用負担をどのようにするか」、「文具や切手などの消耗品をどのように支給するか」など、課題は色々と出てくるでしょう。パソコンはノート型を会社から貸与することとして、通信費などはテレワーク手当として一定額を支給することが考えられますし、文具などはあらかじめ必要な分を支給し、随時補充するやり方もあります。こういったルールは、就業規則などで「テレワーク規定」を定めて、ルール化していくことが大切です。

そうはいっても、規定類はどこから手をつければいいか分からないこともあると思いますので、労務管理の専門家であるお近くの社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

新型コロナウイルスの影響が続くいま、テレワークの導入を検討してみませんか?


社会保険労務士 山口善広 ひろたの杜 労務オフィス 代表
https://yoshismile.com

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