研究から事業化までをワンストップで。 東京大学とソフトバンクが「Beyond AI 研究所」開設のため協定締結

国立大学法人東京大学とソフトバンク株式会社は、世界最高レベルの最先端AI研究機関の設立を目的に、「Beyond AI 研究所」開設に関する協定を締結したことを発表した。この取り組みにより、AI研究とAIビジネスの発展を後押しし、日本のAI革命をけん引するとしている。

世界最高レベルの「人」と「知」を結集させた最先端AI研究機関設立へ

AI技術が世界中で目覚ましい進化を遂げている中、日本でもAI研究や産業が世界のリードをとるために国をあげての積極的な施策が求められる。このような中、東京大学とソフトバンクが、最先端のAI(人工知能)研究機関「Beyond AI研究所」の設立を発表した。この研究所には、東京大学および海外有力大学の世界最高レベルの研究者が集結する予定。AIの基盤技術研究やその他の学術領域との融合を目指す「基礎研究領域」と、社会課題・産業課題にAI活用で解決をはかること目的とする「応用研究領域」の2つの領域について研究する。

基礎研究領域では、物理・医学の分野に詳しい東京大学の研究者と海外有力大学から招聘する研究者で世界最高レベルのチームを結成し、「量子物理によるAI自体の抜本的進化」や「AIと生体機能の融合」といった新たな基礎研究の領域を切り開くことを目指す。一方、応用研究領域は、基礎研究領域の研究成果を事業化することや、健康医療、公共・社会インフラ、製造領域などの分野で「AI活用」を浸透させることを目的としている。

最先端研究から事業化までをワンストップ化。実用化を迅速にする3つの取り組み

「Beyond AI研究所」の設立に関しては、以下の3つの具体的な取り組みが公表された。

(1)東京大学と海外有力大学の世界最高レベルの研究者による最先端AIの研究
(2)新たなジョイントベンチャー制度を活用して研究成果を事業化
(3)研究所は「東京大学本郷キャンパス」と「ソフトバンクの竹芝新オフィス」の2拠点に設置

(1)の、「Beyond AI研究所」で研究に携わる人材については既述のとおり。日本の碩学と世界の英知が集結することを目指している。

(2)の「新たな制度」とは、研究で得られた最新の成果を即時に事業化するため経済産業省が新たに策定した「CIP制度(Collaborative Innovation Partnership制度)」だ。大学と企業のジョイントベンチャーを素早くおこなうための制度を積極的に活用するとともに、事業化によって得られた利益を研究活動や次世代AI人材育成に充当することでエコシステムが構築できる。

(3)について、設置される2拠点のうち、東京大学本郷キャンパスが基礎研究領域を、ソフトバンクの竹芝新オフィス(2020年移転予定)が応用研究領域を担う。両拠点は、NII(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構国立情報学研究所)が構築・運用する情報通信ネットワーク「SINET(サイネット)」で繋がれる。このSINETは、国内の大学や研究機関で情報共有するだけではなく、海外研究ネットワークとも相互接続している。研究成果の事業化までをワンストップでおこなう上で有利な情報環境だといえるだろう。
日本企業は「労働人口の減少」という深刻な問題を抱えており、AI秘術の発展や研究成果の事業化は、働き手の負担軽減や企業の生産性向上にも大きく貢献するだろう。言葉は社会一般に浸透しつつある「AI技術」ではあるが、研究成果を実用化・事業化するには、より強力なバックアップ体制が必要だろう。日本屈指の頭脳と世界の英知が集合する「Beyond AI研究所」の実現によって、国内のAI技術レベルが次のステージへと引き上げられることを期待したい。

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HRプロ編集部

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