2016年就活についてですが現在、大学の現場ではとても困った状況になっております。
というのは企業の選考時期が大幅にばらけてしまい、かえって就活が超長期化してしまっているために、4月に入ってから大学に4年生がほとんど来ないという状況が続いているからです。金沢大学の現在の状況は、昨年に比べると全体としては1か月遅れくらいの選考スピードのように感じております。内々定を持っている学生はかなりいるようなのですが、就活を終えた学生はほとんどいないように感じています。8月から選考開始する企業が志望企業群に入っていると、そこまでは就活を続けることになりそうな状況です
4年になると大半の学生は卒業までに必要な単位は履修できているので、それで卒業できなくなってしまうという学生が増えることになるとは思いません。しかし卒業研究に打ち込む時間が大幅に少なってしまう可能性が高く、大学教育の学修成果の品質を下げることになるのではと懸念しています。

昨年までの状況で言えば、遅くても6月末には就活のピークが終わり、そのあたりから卒業研究に向けて学生が気持ちを切り替えていけたのですが、今年はそれが大幅に遅れそうです。このままでは、おそらく大半の学生が9月くらいまで就活に区切りをつけられないような気がしています。

今回の後ろ倒しはもう一つ困った問題を生じさせています。それは「就活に躓いた学生を支援する期間が短くなってしまう」という点です。これまでのスケジュールの場合ですと、そうした学生に対して6月末くらいのタイミングで「リ・スタート」と銘打って、ガイダンスを実施し、個別支援を行い、場合によっては追加募集を行っている企業の方に声掛けして学内説明会なども開催し、卒業までの期間で何とか内定をもらうという支援ができていました。今年は活動が長期化しているために苦戦している学生をあぶりだすことも、大幅に遅れることになりそうです。

今年も当初は6月に学内合同説明会の開催を予定していたのですが、学生の第一クールの志望企業の選考が間延びしてしまっているので、「この時期に追加募集の求人を集めても学生が集まらないのでは」と考え開催を見送ることにいたしました(本学の場合は公務員志望者が多いので、そちらの結果が出そろう9月末には追加の説明会の開催は例年通り行う予定です)。したがって今年は、「リ・スタート」を仕掛けるタイミングが9月以降になってしまうという状況です。本学に関して言えば、それでも何とか卒業までに内定を得るような支援は行えるのではと思量しているのですが、大学生全体の内定率が落ちるのではないかと懸念しています。

今年の後ろ倒しに何の意味があったのか? 企業にも大学にも、いろいろな負荷をかけ、学生を振り回しているだけで、何もよくなっていないのではと思わざるを得ません。誰も得をしないという不思議で残念な状況になってしまっているように感じます。さらに今回の後ろ倒しについては政府から民間への働くかけもあり、そういう意味では自浄作用が効きにくい様相を呈しています。これまでの流れでは、おおよそ2年くらいは同じスケジュールを実施してから新たな取り決めが行われることが多かったのですが、来年も同じようなスケジュールで実施することにとても虚しさを感じております。早急に何らかの見直しをかけることはできないものなのでしょうか?

夏季に実施予定の3年生向けのインターンシップについても、このままでは受け入れ企業側が採用選考と日程がかぶってしまうために、受け入れ態勢が整わないことが予想されます。本学も大学教育に求められる役割の見直しの中で就業感を醸成したり、アクティブラーニングの一環として産学連携のスキームを構築する上で、インターンシップはとても重要なものだと考えているのですが、一方で企業側、特に中小企業にはとても負担感が大きくなってきますのでもう少し議論を深めていく必要があるように感じます。

やるべきことをきちんとやっている企業と学生が、その取組内容にあった成果が得られるような環境であることが望ましいと思うのですが、従来のやり方ではそうならないようにしか思えないために、個人的にはとても苛立ちを感じています。
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