~人材の良い側面は把握しやすいが、悪い側面は把握しにくい~

 「企業は人」と言われますが、人の採用に携わる皆様は、どのような人材を採ればよいか、特に新卒層では、将来のダイヤの原石をどうやって発掘するか、に苦労されていると思います。
 今回、着目したいのは「採ってはいけない人材タイプ」です。まず採用失敗のリスクを減らした上で、従来の「原石を探し出し、磨き上げるアプローチ」と合わせて選別することで、採用成功率の向上に役立つのではないかと考えるからです。
採用に携わっていると次のようなことはよく経験されるのではないでしょうか。「良い人材と思い内定を出した学生は、他でも何社も内定を持っていた」、「高い倍率で採用したはずなのに半年、一年後、一部の人材について配属された現場から、「なぜ彼を採ったのか?」と苦情にも近い声が人事部に届く(もしくは早期に休職・離職し戦線を離脱するケースがみられる)」

 ここからわかることは何でしょうか。それは、人材の良い面は比較的見極めやすいが、悪いネガティブな面は見極めにくいということです。優秀そうな人材は、経験のある面接官が会って話せばわかることが多いようです。だからこそ、内定が重複しがちです。しかし、一方で、優秀そうと思った人のリスク面を見極めるのは難しいのです。

 採用に携わっていると、後は、何を重視するのか優先順位で判断するしかない場面に遭遇します。例えば、「頭はよさそうで几帳面でまじめだが、打たれ弱そう」なタイプと、「考えが浅く、突っ走ってしまいがちであるが、粘り強そう」なタイプ。
 このような判断の際に、最低限、リスクが高い人材がわかっていれば、採用で失敗する確率を抑えることができます。「採用して⇒失敗して⇒脱落して⇒穴埋めを」、という悪いサイクルに入っていると感じている企業では、迷った時に、採ってはいけない人材タイプを認識しておくことで、採用の質と効率の改善が見込めるはずです。

 なお、リスクに着目するというのは、企業規模を問わず有効な視点です。大企業では、採用人数が多いこともあり、上記のようにネガティブリスクチェックの視点が抜けたままであると、それだけ多くの困った社員の対応に手間取られることになりかねません。また、中小企業にとってはより深刻な問題となりかねません。採用した一人一人が持つ影響が大企業よりも大きいからです。大企業で、数十人採用した内の数名が失敗だった場合に比べて、2人採用した内の1人が失敗だと50%に相当します。そのため、少なくともリスクの高い人材は採らないことが重要になります。

~「採ってはいけない人材」の明確化~

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