◎生涯雇用能力形成の3つのポイント

「ミドル世代のキャリア開発支援の処方箋」~人事担当・ミドル世代への調査結果から~
では、自律型ミドル社員をつくるにはどうすればいいか。そのためには、社員の方々が70歳雇用時代に向けた生涯雇用能力、つまり、企業側から見れば組織貢献能力を形成していけるように支援することが必要だ。当社では、生涯雇用能力形成のポイントは3つあると考えている。
 1つ目は「自律意識の醸成」。主体的な仕事・キャリア価値観を持っていただくということだ。50代に比べて、40代は定年までの将来指向の意識をまだ持てる年代だ。そこで、40代中盤位までは、職位昇進を目指す意識を強化し、上に上がっていこうという仕事・キャリア価値観を持っていただくが、それ以降は「出世」型よりも「やりがい」型、「自己成長」型の仕事・キャリア価値観に変えていけるよう働きかけることがポイントになる。
 2つ目は「能力の変革」だ。能力にはマネジメントスキルなどの汎用能力と、環境変化によって陳腐化していく専門能力があり、前者を強化するとともに後者を更新し、学び直しを続けることが重要になる。40代のうちに専門能力の更新と体系化を行って自分の能力の「核」を確立できるように支援し、50代、60代になった時、その「核」を強みとして組織に貢献していただくことが大切だ。
 そして、3つ目は「職場での能力形成継続支援」と「活躍場所とのマッチング」、つまり、蓄積・更新した自らの強みや価値観が活きるキャリア・ワークプレイスとのマッチングだ。会社として「今以上の業績貢献を期待する」か「現状成果維持または改善を期待する」か、また「現職務・役割で活躍する」か「新たな職務・役割で活躍する」かという軸を設けて40代社員をセグメント化し、それぞれの活躍場所と求めるキャリアの方向性に応じた支援を行うことがポイントになってくる。
「ミドル世代のキャリア開発支援の処方箋」~人事担当・ミドル世代への調査結果から~
自律型ミドル社員をつくるためのキャリア開発支援の全体的な仕組みについても、簡単にご紹介したい。具体的な施策は大きく分けて3つある。
 1つ目は「キャリア開発を促進する制度・仕組みづくり」。CDP(キャリアディベロップメントプログラム)制度、キャリアカウンセリング体制の構築、評価・処遇制度の改定などが含まれる。
2つ目は「自己成長(キャリア開発)を考える場」で、40代向けキャリア開発研修や個別キャリアカウンセリングといった集合支援・個別支援を行っていく。3つ目は「職場での能力形成継続支援/活躍場所とのマッチング」。キャリア開発行動の継続支援として、上司向けキャリア開発支援研修を行ったり、自らの強みや価値観が活かせ、組織への成果貢献ができる活躍場所とのマッチングを上司や社内外カウンセラーが支援したりしていく。
 当社がご提供しているキャリアサポートは、「自主性を促す個人のキャリア開発」と「主体性を活かす風土づくりや個人と組織の健全な関係づくり」を同時に行い、その相乗効果によって個人と組織のパフォーマンスアップ、さらには経営力強化につなげるという考え方がベースだ。当社の蓄積するノウハウをぜひお役立ていただきたい。
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