「ミーティング」とは、複数人が集まり話し合いをすることである。意思決定をする会議の前に、メンバー間で情報や問題点を共有するために行われることが多い。最近では、テレワークの普及に伴い、一つの場所に集まらず、オンラインでミーティングを開催する機会も増えた。つまり、今まで以上にミーティングを効率よく進めていく必要が出てきたということだ。ファシリテーションを意識したミーティングで、業務効率化を図るにはどうすればいいのかを解説していく。
「ミーティング」の意味や目的とは? 効率化を意識した進め方のポイントも解説

そもそも「ミーティング」の意味や目的とは何か

「ミーティング」とは、複数の人が集まり、特定の議題に関して話し合いを行ったり、情報共有を行ったりする場のことである

会議と同じような意味で使われることも多いが、厳密には意味が異なる。まずはミーティングと会議の違いについて解説する。

●ミーティングと会議の違い

ミーティングと会議を明確に定義していない場合も多いが、多くは以下のような使い分け方をされている。

【ミーティング】
・情報共有のために行う
・各メンバーが意見を出し合う場
・打合せ・コミュニケーションの場としての意味が大きい

【会議】
・意思決定のために行う
・議題や目的が明確に決まっている


上記の違い以外にも、「一般社員が行うのがミーティング、課長以上も出席する会合が会議」のように、参加者の役職の違いで、ミーティングと会議を使い分けている企業もある。

●「ミーティング」の目的

ミーティングを行う目的として、多く挙げられるのが次の4つである。

・意思決定
一般的に意思決定の場として使われるのは会議だが、ミーティングである程度の方向性を決めておく、という場合は多い。その他、役職を問わず、ざっくばらんに話し合える風土の企業であれば、ミーティング内で意思決定まで行うこともある。

・情報共有
現状や方向性などの情報共有、トラブル発生の報告をミーティングで行う。一人ひとりに伝達する手間を省き、メンバー間の情報格差を防止する目的で、ミーティングが活用されている。

・アイデア出し
より良い販売方法や商品開発のアイデア出しの場として、ミーティングを活用する企業もある。一人で考えて煮詰まった場合でも、複数人で話し合えば、良い案が出ることもある。

・問題・課題の深堀り
ミーティングを問題や課題を深く話し合う場として使うこともできる。その際は、短い時間で済ませるのではなく、ある程度の時間を取って話し合える場を設けたい。また、終了時間をしっかり決めることも、効率良いミーティングのためには重要だ。

非効率な「ミーティング」を招く7つの要因

「ミーティング」を行うのはいいのだが、中には効率が悪く、思うような成果が出なかったという場合もある。非効率なミーティングになる7つの要因について解説する。

(1)参加者が多い

テーマに関係がある社員だけでなく、全く関係のない社員まで参加することで、話し合いが上手くいかない可能性が高くなる。効率化のためには、テーマに沿ったメンバーのみを集める必要がある。

(2)ミーティングの長さ

終了時間を決めずにミーティングを行うと、無駄な時間が多くなる場合がある。開始時に終了時間をメンバーに知らせ、時間が来たら即終了することで、メリハリのある話し合いができるだろう。

どうしてもミーティング時間が長くなりそうな場合は、間に休憩を挟みながら行うと良い。ただし、その際も終了時間は明確にしておこう。

(3)何も決定しない

方向性等を決めるために集まったにもかかわらず、ほとんど何も決定しないミーティングは開催するだけ無駄となってしまう。最終的な意思決定は会議で行うとしても、「○○の部分まではミーティングで決める」など、ある程度ゴールを定めておきたい。

(4)一言も喋らない参加者がいる

ミーティング中に一言も喋らないメンバーがいる時は気をつけたい。改めて、そのメンバーが本当にミーティングに必要だったのかを精査する必要がある。また、ファシリテーターを活用し、メンバーが意見を言いやすい環境を作ることも重要だ。

(5)目的やゴールが決まっていない

「なぜこのミーティングを行うのか」、「今日はどこまで決めるか」が設定されていないと、参加者同士の認識のすり合わせができず、無駄な時間を過ごすことになる。ミーティングを行う際は、「何について話し合うミーティングか」、「今日は〇〇について決定する」など、目的やゴールを設定することが重要となる。

(6)「ミーティング」の頻度や時間が不適切

「ミーティング」の頻度についてもよく考えたい。頻度が不適切な場合、「打ち合わせたいタイミングでミーティングが行われない」という事態に陥る恐れもある。

また、「メンバーの不在が多い時間に開催される」、「始まる時間が遅すぎて集中できない」、「長時間に渡るミーティングで議論が停滞する」など、時間が不適切な場合も、非効率なミーティングとなる恐れがある。

(7)準備や役割分担をしていない

準備不足は非効率なミーティングの要因となる。準備ができていないと、時間どおりに開始できない恐れもある。また、司会役、記録係など、メンバーの役割分担をしていないと、どう議論を進めていけばいいのかが分からなくなる。

効率よく「ミーティング」を進めるためのポイントを一挙紹介

非効率な「ミーティング」になる7つの要因について紹介したが、効率よくミーティングを進めるにはどうすればいいのか、14のポイントについて解説する。

●意見を出しやすくする

ミーティングには、意思決定の前に、様々な意見を出し合い、問題点・課題を深く考えるという目的がある。なかには対立するような意見も出るかもしれないが、相手の意見を否定することは避けたい。誰もが考えを自由に述べられるような環境作りを心掛けよう。

●自組織以外の意見も取り入れる

幅広い意見を求めるために、自組織以外の人物を招くのも良い。例えば、企画部門のミーティングに営業部門の社員に参加してもらうことで、自組織だけでは発想できなかった新たな発見ができる可能性もある。

●気軽に実施できるようにする

ミーティングを行うことを特別にせず、気軽に開催できる環境を整えておきたい。また、ミーティング開催を呼びかける人を限定せず、誰もが開催できるような仕組みづくりもしておきたい。

●時間を明確に決めて実施する

活発な意見交換は結構だが、振り返ってみると無駄な時間を過ごしてしまったという場合も少なくない。事前に終了時間を決め、効率的な話し合いを心掛けるようにしたい。また、ミーティングの開催が決定した時点で、開始時間もしっかりと決める必要がある。

●議事録をつくる

ミーティングで話し合ったことについて、議事録に必ず残す。結論に至った経緯やメンバーから出たさまざまな意見など、細かい部分まで残しておくことで、内容を忘れるという事態は避けられるだろう。

●ミーティングの意義や目的を明らかにする

事前に、ミーティングの意義や目的を明らかにしてから始めることが重要である。「このミーティングは何のために行うのか」をメンバー全体で共有することで、意義のある話し合いができる。

●事前に議題を共有する

ミーティングの議題の資料を共有することも重要だ。事前に配布しておくと、メンバーは各自の意見をまとめてミーティングに参加することができるため、有意義な話し合いができる。なるべく、資料はミーティングの前日までの配布を心掛けたい。

●ファシリテーターを決める

ミーティングの司会を行うファシリテーターを決めると、スムーズな進行が可能となる。特に、意見を出さないメンバーに対して、発言を促せる能力があることが望ましい。

●参加者を厳選する

ミーティングの参加者が多すぎると、主体的に参加しない人が出てくる恐れもある。議題に関係する人のみに参加者を厳選することで、責任感のある意見や活発な意見交換が期待できる。

●コストの認識を持つ

ミーティングは必要ではあるものの、営業活動等とは異なり、直接的に利益を生み出すものではない。日常業務を中断してミーティングを行う場合は、準備にかかる時間も含め、コストであるという意識を忘れないようにしたい。

●開始と終了の時間を厳守する

ミーティングの効率化のためには、開始時間・終了時間の厳守が必須である。そのためには、「集合は開始時間〇分前」という事前の徹底も必要だ。また、ミーティングの開始時に「終了は〇時」との宣言、終了近くには「終了まであと〇分」といったアナウンスまで行えればベストである。

●共有する資料はシンプルかつ最低限にする

ミーティングの資料が多すぎると、資料説明だけで時間を取られる恐れがある。できれば、資料はシンプルで最低限にし、資料作成担当者や発言者の負担軽減を心掛けたい。

●会議の頻度や実施自体を見直す

ミーティングの効率化に向けては、「定例ミーティングは週2回から週1回に減らす」、「進捗報告だけならば、ミーティングではなく社内チャットで回覧する」などの改善策で、開催頻度や実施自体を見直すことも重要である。

●オンラインの場合は環境を事前に確認して臨む

オンラインでミーティングを行う企業の場合、「開始時間になっても、アクセスできない」、「音声が度々切れて聞き取りづらい」という状況は避けるようにしたい。参加者のインターネット環境に問題がないか、接続は安定しているか、の確認は必須である。あわせて、オンラインミーティングに不慣れな社員のために、社内マニュアルを準備することも検討しよう。
「ミーティング」とは、意思決定をする会議の前に行われる複数人での話し合いのことである。課題や問題点を事前にミーティングで話しておくと、後日、会議の進行がスムーズになることが期待できる。

最近ではミーティングをオンライン上で行う企業もあり、今以上の効率化が求められている。ミーティングの効率化を図るのならば、「開始時間と終了時間をしっかり決める」、「事前に課題を共有する」、「ファシリテーターを準備する」等の対策も必要だ。

ミーティングは営業活動や商品開発とは異なり、企業に直接利益をもたらすものではない。しかし、ミーティングを行い、社内で意見をすり合わせておかないと、効果的な営業活動や商品開発にはつながらない。より良いミーティングを行えるよう、社内で改善を重ねていくことが重要である。
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