ソニー製品を高い技術力で縁の下から支える“ものづくりのプロ集団”ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社(以下、SGMO)による、人材育成や技術の伝承を主眼とした「ものづくり総合大学」(企業内人材育成機関)の取り組みが、今回「第10回 日本HRチャレンジ大賞」の『大賞』を受賞した。2019年に設立された同大学は、多様なテーマのもと80以上の講座を展開、そのうち9割を現場主導で内製化し、職種や階層を問わず、すべての社員が好きな講座を自由に受講できる。まさに“全世代が学び続け、活躍し続ける機会”を、大学を通して提供している形だ。そこで今回は、「ものづくり総合大学」の学長を務める長谷川直司氏と、事務局である同社人事部の富士明子氏に、大学設立の目的や経緯、取り組みの成果などを伺った。

第10回 日本HRチャレンジ大賞『大賞』

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社

ものづくり総合大学(企業内人材育成機関)の設立による「学習し続ける組織」の実現

「ものづくり総合大学」は、社員が能動的に学習し、ノウハウを蓄積しながら人間力と専門性を高め、真のプロフェッショナルとなることを趣旨に設立され、75講座を展開しており、徹底したスキルの棚卸と全社員対象のスキル調査を基にした講座展開であるとともに、講座の9割を内製化することで暗黙知であったスキル・技術を形式知化して伝承、現場のニーズを直接的に反映した人材育成を実現し、全社的に学び続ける組織の構築に繋げていることが総合的に優れた取り組みであると高く評価されました。

プロフィール

  • 長谷川 直司 氏

    長谷川 直司 氏

    ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社
    ものづくり総合大学 学長/メディカルセンター センター長/湖西サイト サイト長

    1982年入社。製造や技術、商品設計の課長、部長職を経て、2018年よりソニーのライフサイエンス・医療機器の生産に取り組む。2020年よりものづくり総合大学の学長として人材育成も担う。
  • 富士 明子 氏

    富士 明子 氏

    ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社
    人事総務部門 人事部 人材開発課 統括課長

    1992年ソニー(株)入社後、採用、人材育成、組織開発などを経験。2019年7月より現職。ものづくり総合大学の運営、人材育成を担当。

「人間力強化」と「専門性強化」の2軸からなる教育体系

――まずは「ものづくり総合大学」の概要についてお聞かせください。

長谷川氏:ものづくり総合大学は、人間力強化を目的とした「一般教養コース」と、企業の競争力の源泉といえる技術力、すなわち社員一人ひとりの専門性強化を目的とした「専門課程コース」の2つの柱で活動しています。「一般教養コース」は、全階層でキャリアに応じた必須研修を充実させながら、同時にグローバル人材や経営人材の育成も実施。一方の「専門課程コース」は、個々の技術・技能レベルに応じて、座学と実践を有機的に繋げたスキル講座を展開しています。ちなみに講座の9割は内製化しており、企画から講師の決定まで、すべてを現場主導で行っているのが特徴です。

富士氏:「一般教養コース」は、さらに4つのコースに分かれています。まず1つ目は、新人からマネージャーまで、階層ごとの役割を遂行するために必要な能力やスキルを習得する「階層別育成」。2つ目は、語学や体験を通じて、グローバルに活躍できる人材を育成する「グローバル人材養成」。3つ目は、課長級、部長級、グローバルリーダーなど、さまざまな切り口で次世代リーダーを育てる「ものづくり経営人材育成」。そして4つ目は、ダイバーシティの推進に必要な意識と行動変革を理解し、職場に浸透させる「ダイバーシティ」です。一方、「専門課程コース」に関しては、プロフェッショナルの育成を目指し、ものづくりに関連する技術、品質保証、調達など、領域別に必要なスキルを学んでいきます。
――必要なスキルは、どのようにして見極めるのでしょうか?

富士氏:まずは各部門が必要とする技術スキルを、「重要度」、「充足度」、「緊急度」といった指標に則って棚卸していきます。一方で、約4,000名にのぼる全社員を対象にスキル調査を実施し、現在社内にある約2,000のスキルの中から、自身の保有スキルとそのレベルを5段階で回答してもらいます。これら「スキルの棚卸」と「スキル調査」の結果を参考に、部門別に強化すべき技術領域を設定し、講座化するという流れです。設立当初は52講座でスタートしましたが、その後も少しずつ拡充させていき、現在は約80の講座を開講しています。

この後、下記のトピックで、インタビューが続きます。
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●「次世代のプロフェッショナル」へ技術を伝承するために
●人に教えることで、講師自身も成長できる
●「講座×OJT」の掛け合わせで、成長スピードが格段に向上
●「技術を先取りする力」を現場でいかに伸ばすか

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