メンターの圧倒的コミットで成り立つ5日間

自分のやりたい事と徹底的に向き合うインターン
─ 個人的にはワーキンググループの取り組みを深掘りしてお聞きしたい気持ちがあるのですが、今回はインターンがテーマですので、インターンに関する質問をさせてください。そもそもインターンはどういうきっかけで始めたのですか?

秋山:インターンを始めたのは、2012年卒の学生の新卒採用からですので、2010年の夏からになります。当時は、今のようにインターン自体が社会的に根付いていたわけではありませんでしたが、ワークスアプリケーションズさんをはじめとしたいくつかの企業でインターンが実施されていて、私達も存在を認識していました。
ネットプロテクションズはそんなに知名度がある会社ではなかったので、3年生の秋からの選考だとなかなか学生が集まりませんでしたし、来てくださる学生と採用したい人物像にギャップも多い状況でした。
なので、学生の軸や具体的な方向性が固まる前の3年生の夏から、採用したい学生に刺さるであろう「圧倒的に自己成長に繋がる」というテーマにフォーカスしたインターンを始めました。弊社を志望する・しないに関わらず成長機会をつくることで、採用したい学生との接点を増やしていけるのではと考えました。

─ 学生の集め方は、当時と比べて変わってきていますか?

秋山:大きくは変わっていません。ただ、おかげさまで「ネットプロテクションズのインターン、面白いから行った方がいいよ!」といった評判が、学生の間で広まってきたこともあって、先輩や友人の紹介がきっかけでインターンに来てくれる学生も年々増えています。
また、インターンを始めた当時は他社の手法を参考に「インターン参加で3万円!」みたいなこともやっていました。お金が目的ではありませんが、より成長意欲の高い優秀な学生に参加してもらうためにです。
もちろん報酬はお渡ししているのですが、インターン後には「本当にお金もらっていいんですか?」と、そんな感想をもらったりもしました。


─ それは「こんなに学びが多い上に、お金までもらってしまっていいんですか?」ということですか?

秋山:おっしゃるとおりですね。

─ 素晴らしいですね。たしかに、就活会議に投稿いただく御社のインターンの口コミには、「とても成長できる」という感想が数多く記載されていますし、評点も非常に高い。何故、御社のインターンに参加した学生は強い成長実感を抱いているのでしょうか?

秋山:まさに今回賞をいただいた「メンターのコミット」のおかげだと思います。ネットプロテクションズのインターンは、5日間で「つぎのアタリマエをつくる」、つまり今後世の中のスタンダードとなるような新規事業をつくりましょうという内容です。正直、枠組みとしては、他社で多く行われているスタイルとそこまで変わらないと思います。なので、違いがあるとすれば、まさにメンターの取り組み姿勢だと思います。
じゃあ、どのぐらいコミットしているのかという話ですが、実施される5日間は毎日ほぼ24時間コミットしています(笑)。まあ、24時間はさすがに言い過ぎですが、学生が動いている時間は、メンターも丸々ワークに参加しています。メンターはその期間インターン業務最優先で、ぶっちゃけ日々の業務を他メンバーに任せてもOKという許可を得ていますので、こころゆくまでインターンに没頭することができます。

─ それはすさまじいですね(笑)。私も自社採用のインターンでがっつりメンタリングのワークに参加したことがあるのですが、3日で限界を超えました…。
1回のプログラムにつき、何人の学生とメンターがそれぞれ参加されているのですか?


玉城:1回あたり学生さんが約20名、社員が10名です。5名1チームに分かれてワークをするので、学生1チームに対してメンターは2名つきます。

─ 学生5人に対してメンター2人が5日間付きっぱなしは、確かに強烈なコミットですね。すごい。

秋山:実施されるのは基本的に木曜日から月曜日の5日間です。最後の日なんて食事や電車の時間も忘れるくらい学生さんは集中しているんですが、そこでも当然一緒に寄り添いながらコミットしています。

─ ほんと半端じゃないですね!口コミでは前半2日間は相互理解がメインという内容があったのですが、実際5日間はどのように進むのですか?

秋山:中間発表が2日目の夕方にあるので、まずはそこに照準を合わせて1日目と2日目のワークをおこないます。多くの学生は、中間発表までは通り一遍の社会課題から始まって、この辺が落としどころじゃないかという感覚でビジネスプランを作ってきます。いわゆる置きにいく感覚です。
そのプランで中間発表をするのですが、フィードバックでは「みんなは本当にそれをやりたいの?」と、「本気で自分がやりたいなと思うものをやれている?」ということを問い詰めます。そこで学生ははじめて本気で自分と向き合います。「本当は何がやりたいのか」、「チームとして何を実現するべきなのか」、そんな自問自答や、さらにチームメンバーのそれを知り、擦り合わせるためのディスカッションが始まります。このプロセスを相互理解と表現してくれているのかもしれないですね。
中間フィードバックやこうしたディスカッションを経て、事業プランを作り上げるために最終日まで自分たちのやりたいことにとことん向き合っていく流れです。
もちろん、メンターからは事業プランに対するフィードバックも行いますが、あくまで自分や自分たちと向きあうためのフィードバックを大切にしています。

─ それはやっぱり、御社に入社された後も同じような問いが投げられるからですか?ある種リアルな問いを学生にもぶつけているというか。

秋山:はい。弊社の7つのVisionの中に、志を尊重する、みんなで会社をつくるというものがあるように、個人の想いをかなり大事にしています。ひとりの人間としての欲求というか、強い想いが仕事と重なってはじめて人は輝けるし、それが結果的には会社のパワーになっていくと考えているので、実際の業務でもよく意思を問われます。だからこそインターンでも学生に対して問いかけています。

─ リアリティーはキーワードですよね。私たちの会社も、特に新規系の話では社長の村上から「それ本当にやりたいの?」と必ず問われます。インターンになった途端に仮説精度やらロジカルシンキングにフォーカスされがちです。

秋山:あとは、メンバー同士が「お互いに本気でぶつかり合っていますか?」といった観点で結構フィードバックしていきますね。中間発表までは学生の自主性に任せていることが多いのですが、2日目の中間発表が終わったタイミングで、メンターもファシリテーターとしてがっつりディスカッションに入って、お互いが本音を言い合える空気や場をつくっていったりしていますね。

─ 出会って2日の5人に本音をぶつけ合わせるのはメンターがいないとなかなか難しいですよね。メンターの手腕も問われます。
メンターの皆さんは、100名以上社員がいらっしゃる中で、どういう観点で選抜されていらっしゃるんですか?


玉城:もう挙手制です。選抜ではなく、基本的に「メンターやりたい!」と立候補してくれたメンバーには参加してもらう感じです。かなり負荷がかかる役割では有るので、強い意思がないと務まらないです。なので、メンター経験がない社員が参加する時は、経験豊富な社員とペアにして参加してもらい、メンター自身も先輩メンターから学びながら……という仕組みを作っています。

─ 熱意とスキルが共存しているからこそ、学生の成長を引き出すことが出来ているのかもしれませんね。うちも見習いたい(笑)
でも、現場の社員が定員オーバーになるくらいインターンのメンターに立候補するって、すごくないですか。5日間手を止めていいと言われていたとしても、当然自分の仕事は溜まるわけで。実際いろいろな会社の採用担当にお話を伺うと、現場のメンバーを巻き込みに結構苦戦されている。
何か現場社員のモチベーションを掻き立てる工夫があるのですか?


玉城:メンターってめっちゃ楽しいんです!私は新卒2年目の年にサブメンターで入って、3年目にメインメンターで入って、もう来年もやりたいと思っている感じです。
うーん。なので、強いて言えばやった人が「めっちゃ楽しかった!」と発信すること。私だったら2、3年目とかでやっていない人がいたら、絶対メンターやった方がいいよと言うので。

─ たしかに参加した人が楽しそうにしてたら、自分もやりたくなっちゃいますよね。ちなみに玉城さんはメンターの楽しさって、どんなところに感じますか?

玉城:そうですね。何かが激変する瞬間や、感動の場面に立ち会えるところが大きいと思います。
やっぱりインターンってどうしても、学生同士で牽制し合う雰囲気が生まれてしまったり、賢く見られたくて小ぎれいにやろうとしてしまう学生が多かったりします。そういう小手先のテクニックのようなものがワークの中で破壊されて、さらに自分にもチームメンバーにも本音で向き合わないといけないとなったとき、学生は変わり始めます。
メンター自身もそこに正面から向き合えると、学生1人1人の、そしてチームの変化を強烈に実感します。それに学生の変化量は、メンターのコミットメントによってもだいぶ変わってきます。そこが一番の面白さかもしれません。

メンターと学生の関係はフラット

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