なぜ日本企業は、アジアで人気がなくなっているのか? 〜欧米グローバル企業とアジア現地企業と日本企業の違い〜

HRサミット2017/HRテクノロジーサミット2017講演録

一般的に日本企業は海外でも人気だと思われていますが、現実はまったくそうではありません。むしろ、どんどん人気がなくなってきています。それは昔ながらの日本企業の考え方から少しも脱却していないのが原因です。日本企業がグローバルで展開するにはどのように人材を育成し、活用すべきなのでしょうか?

講師

  • 森田英一

    森田英一氏

    beyond globalグループ President & CEO

    大阪生まれ大阪育ち。現在、シンガポール在住。

    大学院卒業後、経営コンサルティング会社アクセンチュアの人・組織に関するコンサルティング部門に入社。
    その後、2000年にシェイク社を創立、代表取締役社長に就任。10期経営の後、会長、フェローに就任。
    その後、beyond global社を日本とシンガポール、タイに設立し、グループのPresident&CEOに就任。
    テレビ東京系「ガイアの夜明け」 「ワールドビジネスサテライト」等メディア出演多数。
    著作「会社を変える組織開発」(php新書)等多数。

異文化マネージメント能力に欠如している日本企業

私は現在、シンガポールに住んでおり、日本と行き来しながら仕事をさせて頂いています。そのなかで日々、感じることも含めてお話しさせていただきたいと思います。
海外に進出している日系企業の多くでは、人事制度と運用の仕方がかなり曖昧です。日本特有のある種、曖昧・平等主義的な考え方は、海外ではまったく通用しません。ですから、海外の優秀な人材にとって、日系企業は魅力的ではありません。そのため優秀な人材は確保できませんし、確保してもすぐに辞めてしまうという問題が起こっています。

グローバル人材育成、日本企業のグローバル化支援などをやっていて一番ご相談を受けるのが、「外国人のマネージメント」についてです。
海外の日系現地法人から聞くと、日本人なら頑張るところでも、ローカル社員は自由奔放ですぐに辞めてしまう、受け身なことしかやらない、給料アップ以外にモチベーションを上げられない、というご相談を多くいただきます。
しかし、これは私に言わせれば日本企業の海外現地法人の構造上の問題であり、ローカル社員の問題だけではありません。むしろ、日系企業のほうが変わるべきだと思っています。

シンガポールにおける大学生の就職人気企業ランキングを見ると、100 社中、日本企業は2社しか入っていません。1位はGoogle、2位はシンガポール航空、ほかは欧米企業や、シンガポールの一流ローカル企業、政府系などたくさんの企業が入っている中で、日系企業はUNIQLOとSONYの2社だけ。
UNI QLOとSONYに共通するのは、日本人と非日本人の区別なく採用し、育成し、上にあがるチャンスを作っている、というところです。ローカルの人たちはそこを見ています。
一方、タイでは日本系企業のトヨタなど多くの企業が進出していま。しかしそれでも、大学生の就職人気企業ランキングでは100 社中、日本企業はたった6 社。トヨタ、UNI QLO、資生堂、SONY、ホンダ、パナソニックだけです。全体的に見て東南アジアでは、ホワイトカラーにとって日系企業は人気がなくなってきている、という現実に、私は危機意識を持っています。

ところで今、「従業員エンゲージメント」というキーワードがホットトピックスになっています。従業員エンゲージメントを上げると業績が上がる。相関性が非常に高いと言われています。従業員満足度を上げても業績は上がりません。従業員エンゲージメントとは、「企業の目標の達成に向けて自発的に貢献したいという意欲」であり、企業のミッション、ビジョンと社員のベクトルが合致している状態をいいます。従業員エンゲージメントを上げることで、企業から言われなくとも自分から主体的に成果を上げたいと思うようになります。

横浜国立大学と共同で、シンガポールとタイの日系企業・欧米企業・ローカル企業で働く、ローカル人材からみたそれぞれの企業イメージとエンゲージメントを調査したのですが、その結果、日系企業には、エンゲージメントレベルの高いローカル人材が少ない、ということがわかりました。逆に欧米企業には高い人が多い。シンガポールでは4流の人材が日系企業に就職するという事が言われたりもしています。日系企業は仕事にやる気がなくてもクビにならず給料は上がっていく。厳しいプレッシャーもない。仕事は楽だし、失敗しても日本の駐在員が残業してやってくれると思われている。つまり、やる気のない人の巣窟になっている。これが現実です。低コストで安定したオペレーションだけやっていたらいい、という昔ながらのマネージメントから脱却できていない。辞めずに真面目にコツコツやる人が優秀と言われていた時代から、ビジネスで結果の出せる人が優秀と言われる時代に変化しているのに、そこに対応できていないのです。

日系企業の海外現地法人では「育成してもすぐに辞めるから育成しても仕方ない。だから重要な仕事は任せられない」という考えがいまだに残っています。これでは、やる気のある人ほど辞めていって当然です。日系企業はなぜ人気がないのかというと、ひとつには上にあがれないことがあります。上に日本から駐在員がくる。加えてマネージャー以上の給料が低い。何かと日本語のできる人が優遇されてしまう。要するに、異文化マネージメント能力に欠如しているのです。
気になる続きは、下記をダウンロードの上ご覧ください!

  • 1

著者プロフィール

HRサミット2017/HRテクノロジーサミット2017 講演録

2017/9/19-9/22開催

HRサミット2017 アフターレポート一一覧はこちら

関連リンク