HR総研では、神戸大学大学院 経営学研究科の服部泰宏准教授による監修のもと「2021年入社予定者の入社前意識調査」を2021年2月25日〜3月11日に実施した。
本調査は、企業における新人研修や育成の施策や取組みの検討に際し、2021年入社の内定者の志向性の傾向、不安感や期待感の内容等についての的確な把握及び効果的な活用を支援することを目的として、2021年4月入社予定の内定者を対象にした匿名アンケートとなっている(回答者の内定先企業名は識別される)。
以下に、調査結果に関する服部泰宏准教授による分析及び考察レポートを掲載する。

なお、本調査に引き続き、入社後における意識の変化等の確認を目的として、入社後調査も複数回実施することを予定している。

【服部泰宏氏のプロフィール】

神戸大学大学院 経営学研究科 准教授
神奈川県生まれ。国立大学法人滋賀大学専任講師、同准教授、国立大学法人横浜国立大学准教授を経て、2018年4月より現職。日本企業における組織と個人の関わりあいや、ビジネスパーソンの学びと知識の普及に関する研究、人材の採用や評価、育成に関する研究に従事。2010年に第26回組織学会高宮賞、 2020年に日本労務学会学術賞などを受賞。

【今回の調査名および概要】

調査名称:【神戸大学・服部泰宏准教授監修】2021年入社予定者の入社前意識調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年2月25日〜3月11日
調査方法:WEBアンケート(SurveyHR)
調査対象:2021年4月入社予定の内定者
参加企業数:42社
有効回答数:1,542件

内定者の4割が不安を抱える、対面メインの業種で高い傾向か

内定者が、4月からの入社に向けた不安度を5段階で評価し回答した。
その結果を見ると、全体の40%ほどの学生が働くことに関する不安を抱えている(図表1-1)。

【図表1-1】4月からの入社に向けた不安の分布
1〜5の値をとる不安のスコアを比較すると、業種によって、不安の度合いにかなりのばらつきがある。
それぞれにおいて、なぜその程度の不安のレベルであるかということを簡単に解釈することはできないが、不安の上位を見る限り、主として顧客/同僚との対面による相互作用を伴うことの多い業種であるように思われる(図表1-2)。

【図表1-2】業種ごとの不安度の比較
企業規模と不安度の間に、特に顕著な傾向は見られない(図表1-3)。
大企業だから、もしくは小規模企業だから、不安が大きい/小さいということではないようである。ただし、501〜1,000名規模の企業において、不安が他よりもやや高くなっていることが気になる。例年この規模の企業は、ターゲットとする学生が数千名規模の企業と一部重複しており、必要であれば面接回数を減らして大企業よりも内々定時期を早めるなど、様々な工夫をしているようである。コロナ禍にあって、そうした努力が返って求職者の不安を高めることにつながっている可能性がある。

【図表1-3】企業規模ごとの不安度の比較

最も多い不安の内容は「仕事についていけるか」、テレワークやコロナへの不安は小さい

不安の内容について見てみると、半数以上の学生が、「仕事をちゃんとこなし、成果出せるか」という点について不安を抱えていることがわかる。テレワークについて、またコロナによるリスクなどについては、不安として選択されることがほとんどない(図表2-1)。
今期については、オンライン化されたコミュニケーションの中で、企業の仕事内容、会社の雰囲気などについて、深い理解と納得にまでたどりついていない学生が多い。そうした事情が、最もベーシックで最も重要な諸点について学生の不安が大きい、という結果に現れているのであろう。
内々定の「納得」に至るまでに必要なコミュニケーションの密度は、大まかに言えば、やりとりにかける「時間」とその「密度(やりとりにおいてどこまで率直に、深い話ができるか)」の積で決まる。オンライン化によって密度が下がっているならば時間をあげる、あるいは面談中にあえて雑談をするなど、密度をあげることで、納得度の総量をキープするという意識が重要になる。

   納得度 = コミュニケーションにかける時間 × コミュニケーションの密度

ただし、どのくらい納得しなければ先に進めないかということ(つまり時間×密度の総量)については、かなりの個人差があるということも重要である。

一部の企業ではこの点を踏まえて、(面接や説明会だけでなく)内定後のフォローに割く人員を例年よりも多く配置し、この問題に対応しているようである。納得に至るまで多くのコミュニケーションを必要とする学生に対しては、人事担当とは別にこの種の人員が、彼ら彼女らの不安に寄り添うことで、個人差の問題に対応するということなのだろう。まだこの種の対応ができていない企業についても、何らかの形で、この不安に対して寄り添うことが必要である。

【図表2-1】不安の具体的な内容に関する全サンプルの度数(N=1,542)
不安のレベルが高いグループと低いグループとで比較をすると、当然ながら、不安要素として選択される項目の多さは、不安の総量が多い人の方が多い。
ただし、どの項目を多くの人が選択するかということに関して、両者の間には明らかな違いが見られる。不安大のグループについては、全体の傾向と同じく、仕事についての不安を多くの人が選択しているが、不安小グループについては、仕事についての不安を選択する人の割合が減る一方で、テレワークへの不安、コロナリスクへの不安などを選択する人の割合が多くなっている(図表2-2)。図表2-2では、2つのグループの間に、特に顕著な差が見られた項目について不等号を記している。例えば「仕事について行けるか」という不安については、総量としての不安が大きいグループの方が、これを不安としてあげる割合が明らかに多い、ということである。

【図表2-2】不安度ごとに比較した不安の内容
※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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