HR総研:「働き方改革」実施状況調査【1】全般:取り組みと効果・課題取り組み施策が「労働時間削減」に偏っている傾向も

HR総研では、働き方改革実施状況に関するアンケート調査を実施した。
昨年6月に可決された「働き方改革関連法」が、いよいよ4月から施行される。企業規模によって適用時期に差はあるものの、全体で8割の企業が「働き方改革」を実施していることが分かった。
だが一方で、取り組みの施策が「労働時間削減」に偏っている傾向も見られた。
今回は「働き方改革全般」について、企業の取り組み状況をレポートする。

●8割の企業が働き方改革に取り組み中

「働き方改革に取り組んでいるか」という問いに対して、「積極的に取り組んでいる」(29%)、「一部、取り組んでいる」(54%)となり、総じて83%の企業がなんらかの取り組みを実施していることが分かった。
従業員規模別で見ると、規模が大きいほど実施状況が高い。従業員数300名以下の企業では、「取り組む予定はない」という回答が6%も存在した。
昨年6月末に可決された「働き方改革関連法」は、2019年4月施行だ。中小企業には時期的な優遇措置が取られているが、全ての項目に時間的余裕があるわけではない。「理想的な働き方が実現できているから」という理由であれば良いが、そうでなければ、不安を感じざるを得ない。
【図表1】「働き方改革」に取り組んでいるか?

●働き方改革の目的は「長時間労働の是正」「生産性の向上」が大半

以下は、前問で「積極的に取り組んでいる」「一部、取り組んでいる」と回答した企業に対する調査結果を報告する。まずは、「働き方改革の目的」について質問した。
トップから順に「長時間労働の是正」(83%)、「生産性の向上/業務の効率化」(69%)と続く。この傾向は、昨年度調査でも変わらない。
しかし、これだけ社会的に注目されているトピックであれば、企業のブランディングにも充分活用できるはずだ。最近では、採用ページで「自社の働き方改革への取り組み」をアピールする企業も見られるようになった。「雇用促進/採用ブランドの強化」を目的に挙げた企業は20%とまだまだ低いが、自社の採用ブランド向上の施策として、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。
【図表2】働き方改革の目的

●「働き方改革」実施企業の6割が「効果の実感」あり

取り組み全体の効果については、「効果が出ている」(9%)、「やや効果が出ている」(53%)となり、全体の6割以上の企業が効果を実感している。一方で、「あまり効果が出ていない」(23%)、「効果が出ていない」(3%)など、実感できていない割合は全体の26%だった。
この傾向は、従業員規模別、メーカー/非メーカー別で比較しても変わらない。ただし、従業員数301〜1000名規模の中堅メーカーでは、「あまり効果が出ていない」(31%)の割合が、他と比較してやや高かった。
【図表3】取り組みの効果は出ているか

●効果が出たテーマのトップは「長時間労働の是正」(71%)

続いて、効果が出たテーマについて質問したところ、「長時間労働の是正」(71%)がトップとなった。「長時間労働の是正」は、前項で見たように「働き方改革」の目的のトップであり、効果もしっかり感じられているようである。2位の「生産性の向上/業務の効率化」(35%)以下を大きく引き離している。「生産性の向上/業務の効率化」は、目的でも2位になっているものの、指標の数値化が難しく、効果の実感までは時間がかかりそうである。
4月施行の法施行でも、残業規制、有給休暇取得、勤務間インターバル制度の導入など、まずは労働時間削減に向けた取り組みが項目として挙げられている。労働時間の管理は、数値化が容易で最も効果が測りやすいからだろう。しかし、タイムマネジメントに偏りすぎている感は否めない。「生産性の向上/業務の効率化」に続く、2位以下の項目でも、効果が実感できる指標の確立を目指したい。
【図表4】効果が出たテーマ

●具体的な取り組みは「法律対応」が優先か

具体的な取り組みは、「残業時間の削減」(75%)、「有給休暇の消化促進」(69%)、「多様な勤務時間の導入」(45%)がトップ3となった。
うまくいっていると思われる取り組みも、「残業時間の削減」(51%)、「有給休暇の消化促進」(39%)、「多様な勤務時間の導入」(28%)となり、同じ傾向が見られた。
これらは、働き方改革関連法の主要項目でもある。やはり、法律への対応が優先されているのだろうか。
「働き方改革」のゴールに至る道は多種多様だ。「その他」を選択した企業にその内容を聞いたところ、「利益率の悪いユーザーとの契約終了による業務量削減と高利益化」(1001名以上/サービス)、「英語力のアップ(当社はグローバル化推進中です。英語力は、働き方改革の1手段です)」(300名以下/情報・通信)など、様々な取り組みが寄せられた。
働き方を改革することで、どのような企業に脱皮したいのか。改めて、自社固有のゴールを設定してみてはいかがだろうか。
【図表5】具体的な取り組み
【図表6】取り組みのうち、うまくいっていると思われるもの

●課題は「管理職の強いコミットメント」

改革を実行する上で、どこに課題を感じているか質問したところ、「管理職の強いコミットメント」(51%)が半数を占めてトップとなった。2位は「経営層の理解と強い推進力」(42%)、である。
改革の断行には、やはり経営陣による旗振りと、実務に落とし込んでいく管理職のマネジメントが必要で、これは当然の結果と言える。
注目したいのは、3位の「目指すゴール・方針・指標の明確化」(36%)と4位の「業務量に対する適正要員の不足」(35%)である。
「強将の下に弱卒なし」という言葉もあるが、いかに強将といえども、ゴールや指標がなく、人員が足りなければ、充分に力を発揮できない。とはいえ、「採用難の時代」である。少ない人員でいかに勝つか、を模索すると同時に、まずは、目指すゴールや指標を、改めて定めるところから始めてみてはどうだろうか。
【図表7】「働き方改革」を推進する上で、どこに課題を感じるか

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】働き方改革実施状況に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2019年2月8日〜2月15日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事ご担当者様・働き方改革ご担当者様
有効回答:218件

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