「同一労働同一賃金」とは、職務内容が同一または同等の労働者に対しては、同一の賃金を支払うべきという考え方。

安倍内閣が推進する働き方改革のコアであり、その行方によって、企業は賃金制度の大きな改定を迫られることになります。政府が同一労働同一賃金の実現を目指す背景には、正規雇用者との格差が大きく、結婚や子育ての障害にもなっていると問題視される非正規雇用者の待遇を改善することで、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」を実現し、個人消費の拡大にもつなげたいという意図があります。

パート労働者や契約社員、派遣社員といった非正規雇用者は雇用者全体の4割ほどを占めますが、非正規雇用者の時間あたり賃金は、欧州では正規雇用者の7~8割であるのに対し、日本は6割程度にとどまるのが現状。これを欧州並みの8割程度に引き上げたいというのが政府の考えです。

同一労働同一賃金の法制化に向けては、「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」が設立されて議論が進められ、2016年12月20 日、「同一労働同一賃金ガイドライン案」が公表されています。これは、正規雇用者と非正規雇用者に待遇の差を付けることに合理的な理由があると認められるケース、認められないケースについて、今後の混乱を防ぐために、政府が具体的な指針を示したものです。

(1)基本給(職業経験・能力に応じて支給する場合、業績・成果に応じて支給する場合、勤続年数に応じて支給する場合など)、(2)手当(賞与、役職手当、特殊作業手当、交代制勤務などの特殊勤務手当、精皆勤手当など)、(3)福利厚生(福利厚生施設、転勤者用社宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障、病気休職など)、(4)その他(教育訓練など)と、対象が細かく分類され、具体的な事例が挙げられています。

例えば、基本給について、職業経験・能力に応じて支給する場合、問題となる例は、「正規雇用者Xが非正規雇用者Yに比べて多くの職業経験を持つことを理由として、Xに対してYよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない」というもの。あいまいな理由による待遇差をなくそうとする意図がうかがえます。企業としては、今後の法制化の行方を見守り、制度改定に向けて準備を進めておく必要があるでしょう。