「ダイレクト・リクルーティング(ダイレクトソーシング)」とは、従来のように、応募や紹介を待つ採用方式ではなく、facebookなどのソーシャルネットワークや、人材バンク、写真紹介などから必要な人材に企業側からコンタクトをとる方法です。

海外では主流ですが、日本では、ビズリーチ社が日本に持ち込み、「攻め」の採用手法として急速に広まっています。ダイレクト・リクルーティングは和製英語で、このような方式は英語ではDirect sourcing(ダイレクトソーシング)と呼びます。

ダイレクト・リクルーティングのメリットといえば、必要な人材にピンポイントに、かつスピーディーにコンタクトをとることができること。アベノミクス効果により、活気を取り戻しつつある日本の採用マーケットは、求人数が増加し、人材獲得競争が激化しています。そこで課題となるのは、いかに優秀な人材を確実にとりこめるかとなります。優秀な人材は企業間でも取り合いになり、待ちの採用方法では、優秀な人材の確保が難しくなっています。

グローバル企業の1つであるGE社では,全世界でリクルーターと呼ばれる元ヘッドハンターや長年採用に取り組んできた人事担当者などの採用のプロフェッショナルを500人も雇用し,ダイレクト・リクルーティングによって2万5,000件もの採用を成功させているという事例や、2011年には、コカ・コーラ社幹部の約95%をダイレクト・リクルーティングによる転職者が占めるほどになっているという事例もあります。

ダイレクト・リクルーティングでは、必要な人材にピンポイントにアプローチできるほか、転職活動を積極的に行っていない潜在的な候補者にもアプローチでき、グローバルな人材、国境を越えた人材など、多様な人材にアプローチできるというメリットがあります。また、経営者や採用担当者が直接アプローチすることで、候補者に高い動機づけができ、また直接面談にとりつけられるので、選考のステップが少なく済むということもあります。

しかし企業側が、自身の魅力を候補者に伝えなければならず、そのベースづくりが難しいため、日本ではなかなか爆発的には広がっていかないのが現状のようです。日本では、採用についてのノウハウが浅く、また転職文化が発展してきたのは最近のため、採用者自らが「口説く」という行為がなかなか難しいというデメリットがあります。また、1対1の採用方式であるため、大量採用できないという点もあるようです。

ダイレクト・リクルーティングを奨励しているビズリーチ社でも、従来のハローワーク、紹介会社、求人媒体、縁故などに加えて、ダイレクト・リクルーティングを採用方法の1つとして活用するようにアピールしています。これからは、人材採用のプロ、ダイレクト・リクルーティングのプロなどがどんどん増えて、就職活動、転職活動もよりグローバル化していくことでしょう。