「厳選採用」とは、採用枠は決めるものの、自社の採用基準を満たす候補者が少ない場合は、採用枠に満たなくても採用しないというものです。

企業はいち早く人材を確保するために採用活動を早期化させ、少数の採用枠に対して数多くの候補者を比較して採用します。企業側の採用活動は数ヶ月を費やして行われ、学生の就職活動の早期化・長期化の一因となっています。

1952年、企業と学校の間に就職協定が制定されました。しかし、協定を破って早期に活動を開始する企業や学生協定が多く、制度が無意味化したことから、1996年で廃止されました。同協定が廃止された後は、徐々に就職活動は早期化、長期化しました。専攻分野に関する教育が本格化する時期に就職活動が始まることが問題視されています。

企業側は大学の人材育成プログラムを完了する前の人物を評価するため、学生の何をもとに採否を決めるのかが非常に難しく、採用後のミスマッチのリスクが増大する懸念があります。また、多大なコストをかけて早期から採用活動を行うにもかかわらず採用の精度が高まるわけではなく、かえって内定から入社までの期間が長引くことによって内定辞退者が出ることも考えられ、採用業務の効率が低下するおそれがあるといわれています。