「コーチング」とは人材開発の技法の1つで、質問型のコミュニケーションを使い、目標に対して相手が取るべき行動を自ら選択することを促す手法です。「コーチ」(COACH)とは、馬車を意味し、馬車が人を目的地に運ぶところから、転じて「人を指導する」、つまり「コーチングを受ける人(クライアント)を目標達成に導く人」を指すようになりました。

コーチングは、目標達成に向けて必要な「知識」と「スキル」と「ツール」を装備し、より早く成果が上がるよう継続的にサポートしていく双方向のコミュニケーションプロセスを指します。クライアント自身が、自分の能力に気がついていない、適性がない、知識が足りない、技術が足りないなどといった事に目を向け、気づき、自らの行動パターンを変えていこうとすることを促す事がコーチの役割であるといえます。

コーチングには大きく分けて「メンタルコーチング」と「スキルコーチング」があり、「メンタルコーチング」ではクライアントの情報の整理を手伝い、願いを実現させる方向へと潜在意識が向くことを意図した言葉がけや質問をし、心理セラピーや脳のプログラムを書き換える手法(NLP)を取り入れて進めることで、真の欲求や想いを引き出します。願望実現にブレーキをかける潜在意識からの抵抗を解消していくことにより、潜在意識のモチベーションを上げ、自発的な行動を促進します。

「スキルコーチング」は、コーチングする側がその分野に対しての知識とスキルを持ち、それを基にして個人のスキルの向上を目指すことができるものです。目的がはっきりしており、適切な課題を設定できることから、メンタルコーチングのみの場合と比べて大きな効果を期待できます。メンタルコーチングにさらに効果的な、学ばせるスキルをプラスしたものだと考えなければなりません。

他の学習法、練習法に比べ、コーチングの手法を取り入れた場合は、個人の能力をより大きく伸ばすことができ、「学ぶ」ということに対しての普遍的な原理に基づいているため、学生から会社員、管理職など幅広く適用できます。ですが、当然コーチングスキルのないコーチに形だけのコーチングを受けても役には立ちません。クライアントがコーチの力量を判断することは最初は難しく、相性の合うコーチを見つけることが難しいのがコーチングの短所なのではないでしょうか。

企業がコーチングを導入する理由としては、社会情勢の変化により「自律的な人材」「状況対応力の高い人材」を企業が求めるようになってきたということが挙げられます。今までのように指示通りにきちんと仕事ができることはもちろんですが、上司の指示を待つだけではなく「自ら考え、自ら行動を起こし、結果も自分で評価できる」そうした人材を育成するために、コーチングが新しいマネジメント手法としてビジネス界で注目されています。