「リフレクション」(reflection)とは「内省」の意味です。人材教育の分野では、業務をいったん離れて、自分の仕事の進め方、行動、考え方などを振り返り、自分を見つめ直すことを指します。そしてその結果をもとに直すべきところは直していくわけです。

人材教育のもっとも効果的な方法の1つは、実際の仕事を体験させることです。ただし、体験させるだけでは十分な教育とはいえません。先輩社員のアドバイスやフォローアップが不可欠なのはいうまでもありません。加えて、対象者自身に考えさせ、気づかせることが重要です。この、自ら考え、気づくという部分がリフレクションといえます。

リフレクションに初めて注目したのは、マサチューセッツ工科大学のドナルド・ショーンであるといわれます。組織学習の研究を行っていた彼は、企業の管理職、医師、科学者、建築デザイナーなど、さまざまな職種の人達を観察しました。その結果、彼らは働きながら、変化する状況を振り返り、自分はどうあるべきかを考えていることに気づいた、といいます。こうした仕事のあり方を彼は「行為の中の内省(reflection in action)」と名づけました。

リフレクションを行うことによりマネジメント能力やリーダーシップを高めることができます。また、業務の改善・効率化も期待できます。役職者やチームリーダーが行えば、チーム全体の行動規範の改善、業務の効率化につなげることもできるでしょう。部下の自律的なリフレクションを促していくことにもなります。

リフレクションは、一人で行うだけではなく、他の人との対話を通して行うこともできます。むしろ自分の経験を他者に語るという行為を通したほうが、より深く自分を見つめ直すことができるかも知れません。参加者相互の内省を支援しあうワークショップといったものを研修のなかに組み込むことも考えてみてはどうでしょうか。