「エバンジェリスト(evangelist)」とは、IT業界の新しい職種、あるいはその役割を担う専門人材のことです。

もともとはキリスト教の「伝道者」の意で、ITのトレンドや技術について、ユーザーやエンジニアなどに分かりやすく説明し、啓蒙することを仕事とします。自社技術の価値を伝え、高める専門職として、最近、IT関連企業でポストとして新設するところが増えています。当然、技術やサービス全般に精通したエンジニアや開発者出身の人がほとんどです。

今やIT技術は、あらゆる業界でビジネスの効率化や円滑化になくてはならないものになっていますが、最適なシステムを構築するためには、テクノロジーについて広く深い知識が必要です。

しかし、ユーザー企業の担当者はもちろんエンジニアにとっても、大変なスピードで高度化・複雑化するIT技術をすべて理解するのは、不可能に近いといえるでしょう。
 
そこで、顧客の問題解決をサポートするために営業に同行したり、ITエンジニアなどを対象に開催されるイベントで講師を務めるなどして、自社製品・技術の説明やプレゼンテーションを行う人が求められるようになりました。

顧客への説明という部分では、以前からエンジニアが営業担当者に同行するという形がとられていましたが、エバンジェリストがそれと違うところは、公益性や中立性を重視する点です。自社の技術や製品でも短所はきちんと伝え、他社の技術でも利点があればそれを説明します。

また、イベントでの講演はエバンジェリストにとって重要な活動であり、有名な人ともなると、年間160~190回もの講演をこなします。そのため、最新テクノロジーについての広く深い知識だけではなく、優れた情報発信力やプレゼンテーション能力も必要とされます。