グローバル展開で直面しがちな「課題」にも有効

タレントマネジメントで会社を変える
   グローバル人材の評価、育成に関しても機能が強化されてきている。特に最近、よく人事の方がお困りだとお聞きするのは、グローバルに事業を展開したとき、人事考課を含めて人事の評価あるいは研修の仕組み、キャリアパスをどうするかが非常に問題になってしまうということだ。

 たとえば、海外拠点で日本人上司が現地の人を評価するとき、「なぜ私はこういう評価なんですか」と相手が納得しないケースが多いようだ。そうならないためには、事前にあなたの仕事はこれですよと役割を明確にして伝え、きちんと目標設定することが不可欠になる。日本人と外国人、あるいは拠点によって評価基準やキャリアパスへの不公平感が出ることも多く、これも問題になってくる。

 そこで、こうしたことにまつわるいろいろなことをあらかじめ決めてシステムに入れ、運用していくと、海外拠点で仕事をする人に対しても評価などが比較的公平にできるため、非常に有効だ。その地域ではマーケットがどれくらい伸びているかといった環境要因を、あらかじめシステムに入れて評価することなどもできるようになってきている。

注目が集まる、組織やビジネスプランのシミュレーション機能

タレントマネジメントで会社を変える
   タレントマネジメントシステムの新しい機能の中でも、いま、「こういうことをやりたかった」と多くの企業の方々からご期待いただいているのが、シミュレーション機能だ。この機能を使うには、あらかじめ社員ごとの売上やコストといった数値パラメータをタレントプロファイルにセットしておく。たとえば、この人が所属している組織全体の売上はこれだけで、この人の貢献度、ポテンシャルはこうだから、個人での年間売上額はこれくらいだとか、使っている経費や給与はこれくらいだといった、多岐にわたる数値パラメータだ。

 そうすると何ができるかというと、まず組織のシミュレーションだ。この部門のこの人をあの部門のあの人と入れ替えるとどうなるかというのを、数字的な部分も含めてシミュレーションすることができる。これまでのタレントマネジメントシステムだと、この人は優秀だからというように能力的なところだけに注目してシミュレーションするが、これからは、人材を入れ替えると、単に組織が活性化するだけではなく売上がこれだけ上がるというところまで見て、適材適所のシミュレーションができるようになる。

 いまのは簡単な例だが、もっと複雑になると、たとえば2年後に売上を1.5倍にするために組織をこう拡大するとどうなるか、人材は部門内や社内でまかなえるか、売上とコストはどうなって、利益は出るのか出ないのかといったところまで、数値的、能力的な部分をあわせてシミュレーションすることが可能になる。従来、こういうことはアカウンティングの観点からは行われているのだが、それとタレントマネジメントを連動させてシミュレーションするケースはほとんどなかった。ビジネスプランをシミュレーションしたいとき、タレントマネジメントシステムも使えるということを、覚えておいていただければと思う。

 また、こうしたシミュレーションを行うために、タレントマネジメントシステムの分析機能もかなり強化されている。シミュレーションの結果はわかりやすくビジュアル化することができるから、たとえば、経営委員会、取締役会などで、非常に説得力をもって説明することが可能だ。説明して、「じゃあ、ここをこうやるとどうなる?」などと問われたら、その場で「やってみましょう」とシミュレーションして結果を見ていただくことも最近は可能になってきている。

将来の人事データベースはビッグデータ化する

タレントマネジメントで会社を変える
   最後に、人事システムが今後どうなっていくかというところを、ひとつだけお話ししたい。

 人事をシステム化するとき、全ての基本になるのが人事データベースだが、それが変わっていこうとしている。ビッグデータという言葉が最近よく出てきているが、将来の人事データベースはビッグデータ化していくことがほぼ確実な状況となっていて、一部ではすでにビッグデータ化し始めている。

 通常のデータベースとは何が違うかというと、ビッグデータは単にデータ量が多いだけでなく、データの関連性が非常にあいまいだ。昔はGoogleで検索すると、完全に見当外れの検索結果が出てくることがよくあったが、これがビッグデータの特徴で、だんだん技術が進化しているから、いまではそれほど見当外れの結果は出なくなった。
 こういうテクノロジーが入ってくると、人事システムでも、いままでのようにデータを順番に入れていくのではなく、とにかく思ったことをどんどん書き込んでいくと、いつのまにかコンピュータ側で整理してきれいなデータをつくってもらえるといったことが可能になる。膨大なデータ量をスピーディに処理できるようになってきたため、データベース、コンピュータの機能が人間に近づいてきているということだ。

 社員は人間であって、人間の持つデータ量は、一個人でもそれ自体がビッグデータだ。今後、企業の方々が人事システムを構築していくときにも、こうした流れを見据えた上で取り組まれると、うまくいきやすいのではないかと思う。
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