一般的なタレントマネジメントシステムで何ができるか

   タレントマネジメントシステムは、最近、機能が追加されて、これまで以上にいろいろなことができるようになっていることをご存じだろうか。今日は、コンピュータを使って人事をやっていくということについてお話しし、最新の人事システムでできることをわかりやすく解説させていただきたい。
タレントマネジメントで会社を変える
   まず、人事関連システムのいままでの進化の流れをおさらいしたいと思う。もともとは、1990年代から普及が始まった人事給与システムが、人事分野の最初のシステムだ。これを使って、住所、氏名といった個人情報の管理に始まり、入社後の職歴の記録、給与・賞与・社会保険などの管理、労務・勤怠管理、そして最後に人事考課をやった。これが人事システムの最初の成果になる部分だ。


 人事考課をやっていくと、その流れでもっと人材開発、人材管理をやりたいということになり、登場したのがタレントマネジメントシステムだ。登場自体は1990年代と早いのだが、普及したのはもっと後で、コンピュータの能力が上がってうまく使いこなせる状況になってからだった。

 一般的なタレントマネジメントシステムでできることは何かというと、まず、人事考課プロセスのシステム化だ。期首に上司と部下が話し合った上で目標を設定してシステムに入れ、期末になると半年か1年に1回評価して、ボーナス査定をしたり給与に反映させたりするという流れを、システムを使って行っていく。これはタレントマネジメントシステムの基本機能だ。

 さらに拡張機能としては、目標設定や評価にコンピテンシーの考え方を取り込むということができる。性格、将来展望、ポテンシャルといった行動特性、また、技能や語学力といったスキルについても、あらかじめ社員ごとにシステムに入れておき、能力を管理するわけだ。能力が足りない部分については研修でカバーするというように、スキル強化策に反映させることもできる。

 ここまでが現状のタレントマネジメントシステムの一般的な機能だが、これらができるためには、社員ごとの能力のプロファイル、すなわちタレントプロファイルをあらかじめデータとしてシステムに入れておく必要がある。

機能強化が進む、最近のタレントマネジメントシステム

タレントマネジメントで会社を変える
   タレントマネジメントシステムは、現在では、これまでの発展形としていろいろな機能が強化されつつある。たとえば、採用はタレントマネジメントシステムの機能のひとつだが、採用前からタレントマネジメントが始まるという考え方で、どの部門でどういう人材がいつ必要なのか、なぜそういう人材が必要なのかというところまで踏み込み、定期的にデータを入れておくような使い方ができるようになってきた。面接、評価プロセスのシステム化、面接官のスケジュール管理、採用候補者の管理なども可能だ。

 また、人事考課や採用といった全社員を対象とする機能のほかに、会社を引っ張っていく一部の方だけを対象とする機能がある。管理職、経営職や、組織の中の重要ポジション、あるいは将来、会社を背負うであろうと期待される幹部候補生を選抜、育成して、きちんと管理していこうというものだ。こうした機能もさまざまに強化されている。このようにターゲットを絞ってタレントマネジメントを実践するというやり方は、うまくいくことが多く、成果も出しやすいようだ。

グローバル展開で直面しがちな「課題」にも有効

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